ジーコ

僕もここが好き

Jul.16,2001

昨夜サンちゃんの新しいお母さんが掲示板に書き込みをして下さり、サンちゃんは「SUNちゃん」と名付けて貰った事を知る。太陽の子・SUNちゃんである。お母さんの肩に乗ったり、フードもウンチも無事クリア・・・それどころか今日の様子は(先程メールでお知らせ戴いたのだが)、部屋の中を我が物顔で歩き、昨夜はお母さんの枕元で鈴で遊び続けて寝かせてくれなかったらしい。SUNちゃんの心はすっかり解放されて、既に我が儘一人息子状態のようだ。恐るべし、SUNちゃんの適応力。いや、お母さんの与えてくれる安心感のなせる業なのだろうが、心配していた事はなにひとつ杞憂に終わった。むしろ元気過ぎて、手を焼くのではないだろうか?早くSUNちゃんのコーナーを作って、お便りもご紹介したい。

今日は大仕事が残っていたの。舅の精神科受診。正確には、精神科の管下病院での診断を受けて先に進まなければならないという、厄介な事が今また改めて必要になってしまった。しかし昨年の総合病院の精神科での判断だけでは、今対策を考えるには裏付けが少ない。今後の方針をシビアに立てるには、様々な判定が必要らしい。昨年の入院でもあれだけ手こずったし、退院してから数ヶ月間は「誰が入院させたんだ?」という犯人探しが執拗に続いた。だからよもや舅本人を精神科に連れて行けるとは思いもよらなかったが、昼間はこのところの夜の徘徊の影響で眠くてぼーっとしているものだから、その間に意外と簡単に連れて行けた。これはもう、その事だけでも尋常ではない。決して人の言う事など聞かない人だったのだから。

結果から言うと、もはや老人性の痴呆などという生易しいものではなくなっていた。脳に損傷があり、運動機能にすら支障が出ていた。例えば足を動かそうとしても、脳からその指令が出ない。歩行困難とさえ判定されてしまった。しかし、それならばどうして夜中に素早く2階への階段など上れるのだろう?駆け上がっているかのスピードなのだ。かと思えば、家の中で何度も転ぶ。ホームドクターは、筋力が大部衰えていると言ったが、筋力の問題ではなかったようだ。身体を随意で動かそうとする時、脳からの指令が運動に繋がらないのだ。

原因は不明だが、多分にアルコール中毒によるものが大きいと思う。そしてアルコールばかり摂って、食べるものを食べない。周りが幾ら食べて下さいと言っても、本人が食べると病気になると信じ込んでいたから始末が悪い。何とか手を変え品を変え、なだめるようにして食べさせて来たものの、絶大量が少なくて栄養が足りないのだとも近年では言われていた。今の時代に栄養失調である。食べさせたとしても、たとえ好物でも噛んで味わってから、皿に吐き出してしまうのだ(汚い)。何らかのビタミンの不足が、脳にも障害を起こすらしい。コルサコフ症候群とも言われていたが、アルコール依存症の人に多いものでもあるらしい。

これは普通の病院や老人介護施設では受け入れられないケースなのだと言われる。通常、精神病棟では歩行が出来ない患者の受け入れはまずしないと言うのだ。しかし介護出来る施設では、精神病では受け入れられない。両方を兼ねた病院は、極めて限られて来るらしい。今までさんざん探していたが、あまりに経済的負担が大き過ぎた。結局は経済的利用から、どこの家でも老人の介護は家庭でしているのか・・・と思わざるを得なかった。

しかし連夜の徘徊が続いて我々も夜間の睡眠がとりにくくなった事、一緒の寝室で寝ている姑までも起きるまで大声で呼び続けるなどの異常な行動が、もはや家族の健康をも蝕んでいる。何とかしないともう姑は保たないし、我々だってそう若くはない。まともな生活は営めなくなって来ていたのだ。明日、紹介されたある病院に受付をして貰いに行く事になっている。どうなるかは未定だが、それにしてもやっとここまで辿り着いた。何と長い道のりだったろう。

実を言えば、私自身は「もうどっちでもいいや・・・」と諦めていたのだが、こうちゃんと義姉で今回の事は推進してくれたので、私としては珍しくそれに従おうと思う。私もケチでビンボーな主婦なので、家で世話をしてもいいかな・・・と思ってもみたが、ここまで来たら無理なのは自分でも判っているはずだ。普通の痴呆老人とは訳が違うのだ。さんざん懲りているはずなのに。疲れてしまっていて、考える事が億劫になっていたのかも知れない。そうだ、正直言って考える事すら厭になる程、あの舅の異常な言動に疲れてしまったのだ。そういうのは私らしくもないのだが、余りに異様な8年間だったから。こんな人間がいるのか・・・と驚き続けた年月だったし、理不尽な屈辱を与えられ続けても来た。それを容認している姑や親戚たち。みんなの責任も重い。もっと少しでも若いうちに、何とか軌道修正を図るべきだったのだ。昔のオトコだから・・・と甘やかしては駄目だ。謙虚さを学ばない人間は、やがて孤独に耐えなければいけない。

今はただひたすらバタバタしているが、やがて静寂が訪れるはずだ。いずれかの形で。猫たちも異常な音に怯えなくて済むようになる。さて、明日に備えて少し休みたい。SUNちゃんの顔を思い出して、少し心が和む。可愛い口だったなあ・・・。

アインがご飯を食べに行っているスキに、ジーコがおずおずとアインの寝場所に行ってそっと座り込んだ。どうやら、本当はそこが好きだったようだ。可愛いヤツ。もっと部屋が広いといいのにね。色んなお気に入りの場所を作ってあげられるのに。


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