アイン
ヤスリ娘

Aug.20,2001

最近はゴマがベッドでオシッコしなくなったので、敷き詰めていたシートははずして私が寝ているのだが、昨夜は寝ようとしたら猫たちが全員ベッドの上で寝ていた。大抵ジーコはソファでミュウはこうちゃんの隣(PCをしている私の傍ら)という図式が出来ていたのに、珍しい事だと思ってそのまま寝かせておいた。高々5匹の猫たちではあるが、ダブルベッドの上に集まって居るのを見るのは壮観だ。仕方なくこうちゃんの隣に寝ようとしていた時にふとアインと目が合ってしまったら、もう顔の傍に駆けつけてくれてしまった。「判ったわ、ママ!今すぐ行ってあげる!」とでも言っているのだろうか・・・キャアキャア騒ぎながら来るのだ。

アインが来ると暫くは寝かせて貰えない。兎に角サービスのつもりらしく、いつまででも二の腕や顔を舐めてくれる。ジャリジャリと大きな音が聞こえる。背中を向けて寝ているこうちゃんにも良く聞こえるらしい。「ザリザリ舐めているね。」幾らお断りしても、このジャリジャリはアインの気が済むまで続くのだ。「もういいよ、アインちゃん」・・・ザ〜リザ〜リ・・・「痛いよ、アインちゃん」・・・ジャリジャリ・・・「痛いっ!って言ってんの!」・・・ザリザリ・・・アインがこんなにしつこく舐める相手は私だけだ。息子ジーコの事だって、あんなり舐めてはやらない。ミュウにだってゴマにだって舐めて貰う一方だ。ゴマはジャムを愛おしそうに良く舐めている。抱え込んで舐めるという行為は、どういう気持ちの表れだろうか?どうも母性本能から来ているようにも思えるし、独占したい相手に自分の匂いをつけているようにも感じる。つまり猫に対しては母性のかけらも見せないアインが、私には寝かしつけてあげているような感覚で精一杯サービスしてくれているような気がしてならないのだ。だから無下に断っては悪いと思い出来る限り堪えているのだが、被毛に覆われていない私は兎に角痛い。他の子はこんな力一杯舐める事はないのに(チロチロと舐めるだけだ)、アインだけ凄く痛い。紙ヤスリでゆっくり擦られているようだ。腕の内側の柔らかい皮膚は、やがて赤くなってくる。

どうしてもガマン出来なくなったら一発でアインが逃げる撃退方法は判っているのだが、何とかアインの気が済んでコトリと頭を腕に乗せて「フゥッ」とひとつ大きなため息をついて、そのまま静かに眠りに入ってくれるのがベストだ。そしたらこの夏ですら1時間は一緒に眠ってくれるのだ。撃退法と言っても大した事じゃない・・・「アインちゃん、アインちゃん、大好き!」と言いながら大袈裟にチューしてやると、嫌さうに身をよじって逃げて行くのだ。「アインちゃん、ママの事が大好きなんじゃないの?」と言っても戻っては来ない。よしよし・・・今のうちに眠らないと、入れ替わりにミュウやミュウのフンのジーコが来たらまた眠れない。あっと言う間に睡魔が来て、次の瞬間には朝だ。

晩ご飯を食べながらニュース番組を見ていたら、子供達が朝も晩も家族と一緒に食事していない様子、更には食事内容がファーストフード化している傾向にあるという特集をしていた。例え家族一緒に食卓に着いても、銘々の好きなものを作ってあげている母親もい。スパゲッティミートソースを食べる弟にカルボナーラを食べるお姉ちゃん、母親はカルボナーラに野菜サラダ。子供達にはサラダは無し。子供には食べさせないのですか?と尋かれた母親は、自分も子供の頃は生野菜は好きではなかったし、無理に食べさせる必要はないと言って平然としていた。そして「余所のお母さんもそう言っている。」と付け加える。美味しく食べさせる工夫という事はしないのだろうか?そう言えばこのお母さん、カルボナーラもミートソースもレトルトを使っていたが、だからこそ簡単に別々のものを食べさせる事も可能な訳だ。

我が家の舅は好き嫌いが多い。身体の為にと信念を持って食べない物もある。肉や赤身の魚、ニラやニンニクなどは決して1階の食卓に上らない。姑は元気だった頃は、とても料理を工夫する人だった。毎日目先を変えて色々と作っていたのだが、何を作っても舅がろくに食べないから張りあいがない・・・といつもこぼしていた。姑はたまに牛肉のスキヤキやステーキも食べたいと言っていた。しかし舅が食べないというだけでなく、食べていると腐すので食べる気がなくなるとも言っていた。それだけではなく、きっと夫婦で別々のモノを食べるのも味気ないと感じていたのだろうと思う。その気持ちは良く判る。私だって嫌だ。

兎に角、仲良しさんの自分たち(笑)だけは食事の時間を大切にしようと思い、頑張って色々作って食べていたらすっかり遅くなってしまった。今夜は炊きたてご飯に鯖の塩焼き、千切り大根の味噌汁、グリーンアスパラとしめじとベーコンのバター炒め、ぬか漬けは大根と茗荷、胡瓜に人参、そして安い烏賊を圧力鍋で煮ておいたもの。かなり身も心も満足したが、洗い物が一杯出た。ま、それはこうちゃん仕事だから(笑)。


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