ゴマ

ワンワン

Feb. 3,2002

昨夜はお線香を絶やさないようにと徹夜してしまった。しかし、お陰で処理出来た諸々もあるので、有意義ではあった。朝一番で遺影用に引き延ばした写真が届き、お花やら弔電やらも届き、お布施とお車代に筆で名前を書き込んだ。これが実は一番厄介だった。

以前、書道をたしなもうと思い立ち、先ずは硯から求めた。子供の頃に書道は習っていたので、太字はそこそこ書ける。しかし細筆で大人っぽく、くずし字など書けたら素敵だろうな・・・と思ったのだが、まず気に入った硯を探してしまうところがモノ好きの悲しい性である。墨も筆も幾つも買った。そして墨を擦って、ひととき「しみじみ」としてみた。しかし先生について習う訳ではないので、お手本になる参考書は買ったものの、なかなか同じように書けなくて苛々し始めた。間もなく飽きてお手本は放り出し、好き勝手に自由に楽しめば良いのだ・・・等とほざいては「うんこ」だの「ちんちん」だの「げろげろ」だのと、お下劣な本性丸出しの習字をしていたが、それもやがて飽きた。当たり前である。あんなもの発表も出来ないし、誉めてくれる人がいないと続かないのさ、子供の習い事は。

しかしあの時、自分の名前くらいは身沁みて(上州弁で「身を入れて」という意味である。)練習しておくべきだった。川口という二文字の何と難しい事か!今日、私が何度か練習していると、こうちゃんが「オレも書いてみようかな」と言う。失敬なヤツだ・・・どうも見るに見かねたらしい。渋々と筆を渡す。しかし自分の字を観ては大笑いしている。「もういいよ、私が書く!」と言って、いきなり熨斗袋に書いたらば、練習のどの時よりも下手糞に書けた。自分の事は棚に上げたこうちゃんが「なんだ、今までで一番下手じゃないか」と言いやがるので、頭に来て「じゃ、こっちはこうちゃん書きなよね!」と再び筆を渡す。結果は痛み分けである。筆でさらさらと自分の名前を綺麗に書ける人は、尊敬してしまう。この点に関しては、我々夫婦は最悪かも知れない。あまりにお粗末なので、「スミマセン、ネコに書かせたので・・・」と言おうかと思う。ああ、恥かしい。

大分別府マラソンを観ながらようやく昼ご飯を済ませ(オムレツとイカキムチ・白菜キムチにご飯)、1〜2時間仮眠をとりたいと思いつつPCを立ち上げてしまった。傍らでは、一日中ゴマがうるさくしている。今日のゴマはジャムよりうるさいのだ。部屋を出ようとすると追いかけて来て「ワン、ワン」(犬ではなく猫なのだが・・・今更ではあるが)。戻ると「ワン、ワン」。キッチンでお湯を沸かそうとすると「ワン、ワン」。寝ていても、少しでも私達が動くと飛び起きて「ワン」。どうなっておるのだ。不安がらないでもよろしい。

マラソンでは、在日10年だというジェンガがVTRの中のインタビューで素晴らしい日本語を話していたが、それは外国語訛りのない「てにをは」もイントネーションも完璧な日本語であった。多分、ピーター・バラカンやセイン・カミュよりも、遙かに流暢というか日本人らしい。それに比べて、外交官のオスマン・サンコンの日本語などひどいものだ。フランソワーズ・モレシャンもそうだが、何10年日本にいようと駄目なものは駄目らしい。

サンコンで思い出した。昨日立ち寄ったペットフード店で流していた有線放送で、往年のヒット曲の『恋するシャンソン人形』の歌がずーっと耳に残っていたのだが、ふと思いついて帰りの車の中でこうちゃんに歌ってあげた。♪ワタシはお洒落なサンコン人形♪・・・ちと怖いか。

さてさて、これからお通夜だ!


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