ジャム

ながなが

Feb.20,2002

ジャムは長い。本当は猫じゃなくてイタチではないかと思うのだが、その証拠が無い。しかし猫だという証拠もないのだ。体型は確実に猫ではない。キャットフードもたくさん食べるが、刺身やササミには目もくれず、モヤシや春菊、その他の葉もの野菜を好んで食べ、冷蔵庫の野菜室が開く音で、どこで眠っていてもすっ飛んで来る。真冬でも水浴びが大好きで、シンクの中の洗い桶の水を自分にバシャバシャとかけている。手頃な大きさの物はこっそりと運んで、自分の寝床に隠してある。食器洗いのスポンジや歯間ブラシは特に好きらしい。ハッカ系の臭いも好きで、私が歯磨きしていると寄ってくるし、湿布を剥がした跡を舐めたがる。蜜柑の匂いも好きだ。

どうです?これだけ揃うと、ジャムを猫だと言い張れますか?

さっき美保さんから電話があり、予定していた捕獲が無事に済んだという報告をしてくれた。「大和・隼人」の捕獲・避妊以来コツコツと続けていたエサやりの中で、他のエサやりボランティアの人達とのコミュニケーションもとれるようになったし、1匹ずつ愛着を持って観察した結果、今回どうしても捕まえて避妊してあげたい女の子が出て来たのだった。「日和」と名付けたその子を捕獲し手術するまでを、今回は全部自分独りで全て頑張ろうと決心していたようだ。「明日決行します」というメールが昨夜遅くに届いていたので気掛かりだったのだが、夕飯が済んだ頃連絡がきた。

聞くと、2匹を一緒に捕獲したという。「日和」を追いかけ回していた、身体の大きいオスの「マサル」が先ず捕獲器に入ったので、手でおさえて扉が閉じないようにしつつ、食い意地の張ったマサルが中のエサを食べている間に、その後からおそるおそる日和が入ったところで扉を閉めたのだと言う。お見事!こういうワザは、毎日心を通わせながらエサやりをしていた人にしか出来ない事だ。

近くに動物病院はないので、自分の住む高円寺まで捕獲器をショッピングカートにくくりつけて、電車で運んだと言う。美保さんはもしかしたら40sもない程の手弱女である。2匹の入った捕獲器を、通勤ラッシュの中央線で独りで運んだのだ。周囲の乗客が白い目で見ていたと言うが「全然気になりませんでした」と言っていた。(電車が猫のストレスになるのなんのとケチをつけたがる人が必ずいるだろうと思うが、そんな事は承知の上である。美保さんは馬鹿ではないのだ。)

計画的に事を運んだので、協力獣医の予約もきちんと入れてあったし、手術費用も貯めていたそうだ。今日の事は、きっと何度も頭の中でシミュレーションした事だろう。美保さんは衝動的な人ではない。初めて知り合った半年前には、むしろ考え過ぎて、理想通りに行かなければ自分を責めてしまいがちな人だった。それがどうだろう・・・この逞しい成長ぶりは。

私がいつも「100点満点の事が出来なくても良いんだよ」と言って励ましていたのだが、今日だけは自分に100点をあげたいと思います・・・と弾んでいた。電話の向こうの笑顔が見える気がした。「ほらね、人生、気合いでしょ?」と私。「はい。気合いでした!」と美保さん。良かったね、凄いわ。半年前には、大和・隼人の事で押し潰されそうになっていたか弱い女の子だったけれど、今では色んな人を励ます側に回っているし、自分の歩幅できちんと前に進んでいる。偉い!

こうちゃんと「若い人は成長するね!」と言って喜び合う。オバサンも頑張らなくては!

《猫の手倶楽部》の通帳を久し振りで記帳したら(通帳更新しなければならず、なかなか銀行窓口までは行けないでいたのだ)、パステル兄妹の元親さんからの寄付があった。他にも、SOSチビちゃんへのカンパ、そして遣い道非限定の支援も何人も頂いている。きららちゃんの保護主さんからは、きららちゃんが一時預かり先で発情・避妊もした事を知って、費用を自分で負担した経緯があった事もご報告しておきたい。ありがとう、皆さん。今夜は《猫の手倶楽部》会計を更新します。
ジーコの独り言

ジャムってば女の子のくせに、いつもボクを苛めるんだ。やっとアインママがボクを苛めなくなったと思ったら、もっとお転婆なのが出現しちゃった。

だからボクは、ミュウパパが好きなんだ。なにをしても怒られないからね。ママに言わせるとボクも相当わがまま息子らしいけど、それは仕方ないと思う。だってパパとママが2組もある状態で育てられたんだからね。ボクは王子なのに、毎日逃げ回っているんだよ。可哀想なボク・・・・・!


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