ゴマ

デカい娘に甘えられ

Mar.21,2002

お彼岸の中日だ。そういう日が四十九日に当たるし、早くも桜は咲いているし、最初から最後まで自分だけが偉いという思いでいられて周囲は全員自分より下だと思い続ける事が出来て、さほどの能力もないまま地位と収入はついて回り、また周囲も献身的に尽くしてくれて、何とラッキーな人生だったのだろう、舅は。本当はもう少し、思い通りにならない事も世の中にはあるし、自分は最高ではないという事を思い知ってからあの世に行って欲しかったと思うのは私だけだろうか?いや、こうちゃんは私以上にそう思っているはずだ。世の中は不公平過ぎる。舅を見ているだけでもそう感じた。

この四十九日を迎える迄の毎晩、こうちゃんは素人ながらお経を上げ続けていた。きちんと着実に彼岸に行って欲しいという願いから、彼はどんなに疲れていてもお務めに励み(?)とても努力していた。行ったきり、お盆にも帰って来なくて良いと言っている。こっちには愉しい事は何もないぞ。捕獲でも手伝うか?

そうだ、その捕獲だ。納骨から戻った後で、急いで行ったよ、今日も捕獲とエサやりに。ポイントは3箇所。最初のポイントは、飲み屋が休みとあって野良猫は誰もいない。しかし駐車場にはドライフードがばらまかれていた。困るなあ・・・捕獲するのに。でも、誰があげているのかが判らない。通りすがりに、アスファルトの上にばらまいて行くのだ。しばらく持久戦で待っていたが、ここは駄目そうだ。

次のポイントは、いつものエサ場である。ここにも誰も来ない。捕獲器を仕掛けてから、こうちゃんに後を頼んで私は見回りに出掛ける。キャバレー(というのかどうか判らないが)の裏の廃屋のような家とビルの間には、別の誰かがあげているドライフードの箱と水入れがあり、水は残っていたがフードはカラッポだったので、そこに3キロ程入れてやる。すると、その路地の奥に茶トラが見えた。「な〜〜〜あ!」と啼いているそいつは「チャッキー」だ。顔の怪我はすっかり綺麗になり、首のまわりの疥癬もとても良くなっていた。この子は元々が元気なのだろうなあ・・・。廃屋の方を見た時、ブロック塀の上に「クロヅラ」が現れた。慌てて捕獲器を取りに走る。

戻ると、何と塀の上には「クロヅラ」と「よりこ」と見かけない白黒が並んでいる。「よりこ」が懲りないで捕獲器に入ろうとする。「バカ、よりこは入るな!」と言うのだが、「よりこ」は度胸が良いみたいでなかなか立ち去らない。ホタテに味をしめてしまったのか。廃屋風の民家の木戸のところから何度も住人のオジサンを呼んで、中に入れて貰う事にした。捕獲器を置いてしばらく待つが、「クロヅラ」は何の興味も示さない。そのうちどこかに行ってしまったので、またいつものエサ場に戻る。いつまでも変なオジサンの家の敷地内に居させて貰える雰囲気ではないのだ。どうして捕獲なんかするの?と尋かれるし、もちろんきちんかと説明しているのだが、あまり耳に入っていないようだ。オジサンはどこかへ出掛けたいらしいし・・・(ちびた下駄履きなので、多分パチンコだろうと踏んだ。向かいはパチンコ屋だ)。

エサ場に戻ると、一昨年「ハナクソ一家」を捕まえた印刷会社の塀の上にハナクソが姿を見せた。あらあら・・・今日はオールスターキャストじゃないか。他の猫がいる時にはハナクソは塀から降りては来ないのが判っているので、思い切って塀の上にトレイを置いてやると、ちょこっと食べてくれた。実は、今日は美智子さんからの贈り物の笹カマボコも持ってきていたのだ。ハナクソ・・・もしかしたら知っていたの?ハナクソにも食べさせてあげてね・・・という手紙が付いていたのを。

ハナクソは、とってもふくふくと太っていた。身体は小さいのだが、むしろおデブと言える程に丸々している。(どうです?この写真、シャスケではありませんよ、ハナクソですよ!)良かった・・・生きていたどころかデブになっていた。。一時は死んでしまったのかと密かに嘆いていたのだが、ハナクソは賢いからちゃんと生き抜いているのだ。でも、たまにはこうして姿を見せてよね。いつもいつも心配しているんだからさ・・・。

お目当ての「クロヅラ」が捕獲器に入らないまま時間ばかり経過して、ご飯が欲しいらしい「よりこ」も来てしまったし、見上げると「チャッキー」も屋根の上から降りようとしていた。「クロヅラ」もまだその辺にいるようではあるのだが、辺りが既に真っ暗で、顔は殆ど黒くて全身が濃い三毛のクロヅラがいるのかどうか判らなくなって来た。「今日も駄目だね・・・」と言って仕方なく引き揚げて来た。口惜しい。間近に姿を見ていたのに。

でも廃屋(廃屋じゃないってば!)に入れて貰ったお陰で縁の下がある事も確認出来たし、あの廃屋がf何よりの隠れ場所だ。変なオジサンは一人暮らしみたいだし、掃除をしている様子も無いほどに荒れ果てている。野良猫の住処にはピッタリだ。しかしみんなで仲良く隠れられるとは限らないし、こういう家がいっぱいあると良いのになあ・・。兎に角、また出直しだ。今日だけで10匹の個体識別をしているので、たっぷりと缶詰とドライを置いて来る(ここだけ読んで、置きエサをするなんて・・・と咎めないで欲しい。そうする事の出来る場所であり、人間の捨てた粗大ゴミだらけの場所なのだから。)。当分は、捕獲器を積みっ放しにしておいて、チャンスがあればいつでも捕まえよう。しかし、ぐずぐずしていたら仔猫が生まれてしまう・・・。だからと言って、捕まるまで一晩も二晩もキャンプして待つ訳にもいかない。くそ〜!家から近ければなあ・・・。

家に戻ると、全員がわらわらとお出迎えしてくれた。今日は朝からミュウが特に落ち着かなかったのだが、何か特別な雰囲気を感じていたのだろうか。お葬式の頃もミュウはそわそわしていた。猫って何か不思議な力があるような気がする。

今日の写真は真上から撮ったので、あまり遠近法とは関係ないはずだ。そう・・・ジャムはこんなに大きくなってしまった。顔はまだゴマよりも僅かに小さいばずだが、胴体のたくましさはジーコを凌ぐ。ジーコなんて軽いものだ。やがては、ミュウに次ぐ大きさと重さを誇るようになるだろう。その日はもう近い。
ジーコの独り言

そうなの・・・ボクって軽いのよ。頭はとっても大きいんだけど、ボクは痩せているからね。パパと一緒だよ。

そのパパは花粉症らしくて、クシャミがうるさいんだ。ママにも「うるさいなあ〜」と文句言われているよ。ボクにとっては、ママのクシャミ5連発も相当うるさいけどね。ママは言ってる・・・パパは掃除機もかけてうるさくするし、ママよりずっとうるさいわよ!って。可哀想なパパ・・・。じゃじゃ馬に威張られて・・・まるでボクみたいだね。

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