ミュウ

アインと抱き合う

Mar.23,2002

桜が満開になったと思ったら、寒さが戻って来た。冷たいおろしうどんにしようと思って買った生麺は、昼に熱いかけうどんにしてしまった。具は油揚げと糸三つ葉(長ネギを切らしていたのだ)とカマボコ。身体が温まったところで、エサやりと捕獲に出掛ける。こうちゃんは来なくていいよ・・・と言ったのだが、結局一緒に行ってくれた。

公園や空き地ではないので、捕獲器を置ける場所は限られている。そういう場所に猫が出て来てくれるのは、陽の高い暖かい時間帯である事も判って来た。かつては会社の行き帰りだったので、早朝と夜だけだったのだ。それでもアカとゴマ、ハナクソは私を認知してくれていたけれど、今いる野良猫たちは余所から流れて来た子ばかりなので、まだこちらも個体識別の最中である。一度に出て来てくれたら、数日で済む事なのだろうが・・・。

今日は、どんどん雲が出て来て空が暗くなり、とても寒かった。雨が落ちて来そうなので、諦めて引き揚げた。無理をしては、私達も体調が続かない。家に戻って、熱いコーヒーを淹れ、かあたんのお土産のどら焼きを食べた。そして2〜3本の電話の後、少し眠った。疲れた。

目が醒めたのは、こうちゃんの奇妙な声のせいだった。「あ、あぁぁぁ・・・・」と言う情けない声だ。どうしたのかと身体を起こしたら、ゴマが私の脇でオシッコをし終えたところだった。ゴマの問題行動復活なんだろうか?何事もなかったかのように、淡々と洗濯を始めた私達に、ゴマはニャンニャンと鳴いて付いて回る。ひっきりなしに啼いて、どうして欲しいのかが判らない。頭やお尻を撫でて、安心して良いんだよ、ゴマはうちの子なんだからね・・・と話しかけてみるが、ゴマは啼きやまない。

ジャムが来て以来、不思議な位にピタッと止まったゴマのオシッコ問題だったが、今年になってこれで2度目だ。ジャムが大きくなり過ぎたのだろうか?ジャムは要領が良いし屈託がないので、いつも自分が一番良い部分を独占出来る精神である。ゴマの場合は、いつも何かを心配しているように思えて仕方ない。膝に抱いていてもギュ〜ッと爪をたててしがみついている。私がトイレに立っただけでも啼きながら待っている。

何度も同じ事を書くようだが、ゴマは捨てられた心の傷がとても深くて、決して癒える事がないのではないかと思ってしまう。想像ではあるが、汚い柄だから嫌われて(まったくバカな人間だ!)捨てられて、心細くて仕方なかった時にアカという気の好い男の子と出会って、連れて行かれたのが私のエサ場だった。そしていきなり私に甘えて啼いてスリスリしたら、ご飯も貰えて撫でて貰えてやっと一安心したのに、自分を守ってくれると思った私は「じゃあまた明日ね・・・」と言うと車で去ってしまった。翌日から毎朝毎晩ご飯はくれるしお喋りもしてくれるけど、食べ終わるとまた置いて行かれてしまう。最初に捨てたのが誰かは判らないものの、毎日毎日私がゴマを捨て続けていたのだ。少なくともゴマはそう感じていたのかも知れない。

初めての出産の時に、まだ産んでいる最中だというのに私が探し回っていたら出て来て、大声で啼きながらまとわりついて助けを求めていたゴマ。雨音に紛れそうな仔猫の弱りかけている鳴き声を聞いて、仔猫3匹とゴマを連れ帰ったあの夜。ゴマのお尻はとても熱くて、家に落ち着いてからもう2匹産んだのだ。そしてそれからの日々は、素晴らしい母親ぶりを見せながらも、一体何を思っていたのだろう?仔猫を全て取り上げられてしまって、大きなアメショー家族の中に入れられて、ゴマはオシッコを始めたのだ。

小さなジャムが来てオシッコが止まった事でも言えるように、仔猫を取り上げられた事の心の傷も大きいのだと思う。しかし今回の問題行動は、何か他にもゴマには埋めてやりきれていない心の空洞があるように思えて仕方ない。ただの我が儘なのであれば、それで良い。オシッコくらい、幾らでもしなさい。パパのママも、洗濯も掃除も厭わないから。オシッコが出ないで死んで行った怜ちゃんの事を思えば、オシッコが出るのは大変結構。ただ、気になるのはゴマの心の問題だけなんだよ。寂しがっているのか不安なのか、兎に角一人にされる事を極端に恐れているように思えるから、やっぱり私達は多少の不便はあっても家で出来る仕事を選ぼうと思う。私達だって猫たちの傍にいられる事は、かつてのように収入が多くても全く家に居られない生活よりはマシだと思っている。

それにしても、私達がオシッコで濡れたものをガサゴソとひっぺがしたりしているのに、それが鼻先をかすめても微動だにしないミュウとジーコの態度には恐れ入った。アメショーって、もしかしたらバカなのかなあ?だけどアインとミュウが抱き合って眠っている姿や、そこにジーコが割り込んで3つの顔をくっつけ合って私の腕に3匹がメザシ状態で寝ている様子は、本当に可愛い。そしてそれを見る時、ゴマはどんな気持ちでいるのだろう?また仔猫を貰ってあげなきゃ駄目なんだろうか?
ゴマの独り言

あたし、またベッドでオシッコしちゃったの。オシッコする前に尻尾を立ててビリビリさせていたら、パパが気付いて「ああ・・・」と叫んでいたけど、ママはあたしのオシッコが終わるまで全然気付かないで寝ていたのよ。今度はまた、ママのズボンにオシッコかけてやろうかしら?

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