アイン

いつも一緒

Apr.30,2002

我が家には、安物だけどとっても長生きしている熱帯魚がいる。死に絶えたらもう止めようと思いつつ、ずっと生きているものだから、時々水を替えたりしてやりながら愛着も湧いている。しかし「熱帯魚」と呼ぶのは長くて面倒なので、専ら「金魚」と呼ばれている。別に金魚に似ている訳ではない。ネオンテトラとかその辺の雑魚である。

「金魚」へのエサやりは、こうちゃんの仕事となっている。しかし私も時々気にしていて「こうちゃん、金魚にエサやった?」と確認する。特に電気を消そうという時には、「今日、金魚にエサやった?」と尋くのが習慣なのだ。毎日が同じようで、しかもひとつなぎになったかの日々で、こうちゃんがその日にエサをやったのか昨日の事なのか勘違いしていると困るので、一応尋いてみるのだ。

いつもなら「やったよ」と言われると何も疑問に感じないで終わるのだが、「ウソ!」と言ってみた事があった。「ウソじゃないよ」とこうちゃん。「証拠はある?」と下らない事を言って、突然頭に浮かんだのが次の歌である。
  ♪金魚はなんにも言わないけれど 金魚の気持ちは良く判る 金魚可愛いや 可愛いや金魚♪
今日も熱帯魚たちは金魚呼ばわりされて、間もなく電気を消される。(しかし今日が終わると言うには、朝が近いなあ・・・。)

昨夜は、頑張ってサザエを調理した。自分でサザエを扱うのは、実は初めてであった。頭の中では色々と調理プランがあったのだが、実際にはサザエのガードが堅くて、なかなか思い通りにならない。

そうだ!実家の母が昔、お祖父ちゃんに壺焼きを作って出していた・・・と思い出す。それで電話して尋いてみると、「サザエなんか買った事ないから知らないわねえ・・・」等とウソを言う。ウソを言っている訳ではないのだろうが、多分その記憶の入っていた脳細胞が死滅したのだ。

とりあえず一番ぜいたくに味わう為に、そのまま火炙りの刑にしてしまった。生きながら焼かれる苦しみは、ジャンヌ・ダルクにでもならないと判らないだろう。「ゴメンネ」と言いつつも、強火で焙って酒と醤油を垂らしてまた焙る。焼き上がるにつれ、家中に磯臭さが漂う。ジャムがグリルの前で背伸びして、鼻を覗き窓に押しつけんばかりにして興味津々だった。写真は、焼き上がりを点検しているミュウ大王であるのだが。

固く閉じた蓋の隅を力一杯ぐっと押し下げると、意外と最後はあっけなくクルリンと蓋ごと身が持ち上がってくる。アワビのように締まった身の下に、ブルプルとした肝(?)が渦巻いて付いて出てくる。その色が緑だったりクリーム色だったり、あるいは黒かったりして、しかも目玉模様のような模様付きで、なかなかに人をおどかす効果がある。その昔(昔ばかりで恐縮だが)、伊丹十三のエッセイにイラスト付で、サザエのここのところはなかなかにグロテスクだね・・・というように記述があったのが忘れられない。

サザエに関しては素人なので、果たしてどこまで食べられるのか判らないのだが、アワビだって肝を食べるのだからきっと大丈夫だろうと判断して、グロテスクな模様ごと全部食べた。なるほど肝は濃厚な味とほろ苦さがあり、身の部分はコリコリと固い。口中に礒の香りが一杯になる。美味しい。大人の味だ。言葉少なに、ひたすらサザエを食す時間が続く。

頂いた半分はそうして壺焼きにしてしまい、残りの半分は酒蒸しにした。大食漢の我々ですらとても全部を一度に食べきれないので、残りを加工する為の下準備である。蒸したものは身の部分だけを薄切りにして、半分は肝和えにし、もう半分は瓶詰めの練りウニ和えにしてみた。一口ずつつまんでみたが、なかなかいける。あればここにししゃもとかトビの卵など加えても良いかも知れないが、もちろんそんなものは常備していない。写真も撮りたかったが、もはや疲れてしまっていて、そのまま容器に入れて冷蔵庫行き。

兎に角、満喫しました。ミィ,キィ&ナッちゃんのお父さん、ごちそうさまでした!丸ごとサザエなど食べた事がないというのに、お腹いっぱいになる程にサザエをバクバク食べたなんて・・・凄い贅沢をしてしまいました。

昨夜、アインにだけはステロイドを飲ませた。アインに錠剤を飲ませるのは簡単。上を向かせて上手に喉の奥に落としてあげれば、ミュウのように泡を吹いて吐き出す事もない。きちんと体重から割り出した分量なのだが、それでも強いのか、飲んだ後で興奮していた。それがクスリのせいかどうかは私には判らないけれど、一人でオモチャで遊んだり(歳をとってからは、普段そんな事は皆無)、ゴマを追いかけたりして私を驚かせた。

しかし、昨夜からアインが吐く事はなくなっているのは確かだ。お目覚めが遅いのは最近いつもの事だし、目覚めた時の特有の「いななき」も大きくなって来た。一過性のものだったのだろうか?そういう部分が良く判らないだけに常に気掛かりではあるのだが、それは何も動物に限らず人間の身体に関しても同じかも知れない。私だって今日は、また熱がある。持病の熱なのか風邪気味なのか、クシャミも出たので余計に判らないし、クシャミだってアレルギー体質だからしょっちゅう出るのさ。あまり神経質になるのは良くないと自分に関しては思うけれど、猫に対してはついつい過保護だ。

そのアインはPCデスクに上がって私の手の傍に居たがるので、どうせ下ろしても下ろしても来てしまうのだったら・・・と思い立ち、キイボードの傍らにムートンのマットを置いてやった。それがいたくお気に召したらしく、そこで甘えたり眠ったりしている。こんな事ひとつとっても、デスクを買って本当に良かったと思う。いつも一緒が良いんだよね。具合の良くない時には尚更、ママの傍にいたいんだものね。しかし、キイボードの上を歩くのはやめなさい。

て、今夜はおクスリをどうしたものか。数日は続けるようにと言われているのだが・・・。
ミュウの独り言

サザエって螺旋状になっているんだよ。ママたちが取り出しているのを見て、ボクはビックリしちゃった。凄い生き物がいるんだね、海には。

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