ジャム

今昔物語
(ポインタを置いて見て下さい)

May.14,2002
ミュウじゃないよ、ジャムだよ!

先に仔猫の時の写真を載せるのもどうかと思うが、ポインタを置いた時に今の状態になれぱ充分だ。同じ椅子の上で、同じ猫である。ああ・・・去年は昔の事なんだなあ・・・。海洋生物どころか、化け物のようになって来た。困っている。それでいて、性格は赤ちゃんだ。末っ子のままでは、いつまでも赤ちゃんのままかも知れない。(ヤバイぞ、仔猫を入れなくちゃ!)

朝、タローズの小林さんから電話を戴いた。取り扱い品目が変わると知ってちょっと今後の事を聞いておきたかったので、先日留守番電話に吹き込んでおいたのだ。相変わらず誠実で正義感・使命感に燃えた仕事ぶりが我々購買側には有難いのだが、あれでは儲からないと心配になってしまう。今後どういう展開になるのかが決定したら、私からもお知らせのお手伝いが出来ると思うけれど、プロパックの缶詰が無くなるのは我が家では痛手かも知れない。

夕方エサやりに出掛けたら、家を出た途端にお腹がとても空いていることに気づいた。朝ご飯が早かったので、お昼も早めに済ませた。そうしたら6時にはお腹が空いてしまった。簡単なものを食べてしまおうか?という事で、日吉と元住吉の間にある「サイゼリア」に入った。ここは坂夫妻や加納さんと会った店だ。先日、みきこちゃんと二俣川で入ったのもこのチェーン店であった。値段がとても安い事と味がまあまあであることが判っているので、安心して入れる。

二人とも同じサフランライスと仔牛のシチューを盛り合わせた1品と、二人で1皿のスパゲッティ・アラビアータを取る。料理を待っていると、レジで盲目の女性が支払いを済ませていた。ウェイトレスが、道まで手を引いて行こうとしていた。しかしフロアにはそのウェイトレスしかいなくて(安い価格の店だけあって、人手はとても少ない)先ほどからてんてこ舞いしているのが見えていたので、「私がお連れしますよ。」と申し出た。

店の出口を出ると、U字型に階段を下りなければならない。訊いてみると、その女性は隣のヤマハに行きたいらしい。ならばエントランスまでお送りします・・・と言って、お喋りしながら同行した。歩道が変な形に途切れたり、工事中の部分があったり、ヤマハの敷地に入ると若者がたむろしていて自転車が乱雑に停めてあってそれを縫うように往かなくてはならなかったり、歩きにくい事と言ったらありゃしない。いくら杖を使って外を歩きなれている盲人でも、これはあんまりだ・・・と感じた。

手を引くだけではとても危ない箇所もあるので、肩を抱きかかえるようにして歩いた。「あと5歩くらいで段差を下りますよ。」とか「階段を4段登ると平らなところに出ますから。」等と予告しながら歩く。自分が目を瞑って導かれて歩くとしたらどうして欲しいかを考えて、先を説明しながら誘導する。

エントランスでさよならして、急いで店に戻る。パスタが伸びてしまったかな?しかし、まだ何も運ばれて来ていなかった。

先ほどの盲目の女性の手を引いていて、近くにいた誰一人としてドアを開けてくれようとしなかったり、エントランスの前広場でたむろしていた若者達は道を空けるでもなく、全く無関心なのに驚いた。しかし私が特別に優しいという事ではないのだと思う。簡単に出来る事をしないのは手抜きな生き方だと思うし、お互い様の助け合いをしているだけだ。

しかし、過去のあるエピソードをふと思い出した。私が大学生の時、翌年に全盲の学生を受け入れるかどうか大学側が迷っていたらしく、全校生徒にアンケートをとったことがあった。「授業中に黒板の字を読んで欲しいと頼まれたら、あなたはどう思いますか?」「喜んで読んであげる・迷惑だ・判らない」といった類のアンケートだった。私はどう答えたのか、実は覚えていない。つまり、私自身にも戸惑いがあったのだろう。

ともあれ、翌年私の一学年下に一人の全盲の女子学生が入学して来た。講義の内容によっては、同じ講義を受ける機会があった。盲導犬を連れた彼女は、いつも一番前に席を取っていた。私も常に一番前に座るのが好きなので(自動車学校の学科教習でも、真中の一番前に座った程だ)、よく彼女の隣になった。盲導犬が退屈な授業中に居眠りして、可愛い寝言を言う事もあった。

彼女は物凄く優秀だった。あんなアンケートなど全く必要はなかった。黒板を読み上げて欲しい等という依頼は皆無で(そもそも外国語学部であまり黒板は使わない)、先生の言う内容をじっと聞いていたかと思うと、物凄い速さで点字でノートを取っていた。もし点字が得意ならば、みんながノートを借りたい程だったと思う。私は昔から記録魔なので、ノートはきっちり取るので幸いにもお世話にならずに済んだが。

スペイン語の辞書は一部の教授と点訳ボランティアのサークルがコツコツと作っていたが、想像以上に膨大な量になる。当然持ち歩けはしない。彼女は、多分一度聞いたことはその場ですっかり覚えてしまうだけの集中力を発揮し、そして実際覚えこんでしまっていたのだ。

ある時、同じサークルにいた私たちが、学祭の準備か何かで遅くなり、外が真っ暗になってから帰ろうとしたら、突然停電した。廊下も階段も真っ暗で、非常灯もないような建物だ。一歩も歩けなくなった時、私たちはその彼女(「のんちゃん」と言った)に手を引いて貰って無事に階段を下り、表まで出られた事があった。彼女は、いつもこういう状態なんだ・・・と改めて解った出来事だった。

それにしても黒板の文字を読んであげるどころか、むしろ助けられてしまった訳だ。事ほど左様に、健常者は奢ってはいけない。ハンディキャップという言葉は今では使われないそうだが、確かにハンディなどではないのだ。無論、健常者に合わせて作られた世の中で生きて行くのは大変な苦労があるだろうが、神様はひとつ何かを与え忘れた代わりに、健常者が努力しても到底得られない何か素晴らしいものを与えてくれているのかも知れない。

そんなことを考えながらも料理はあっという間に平らげ、少しでも明るいうちにエサやりをしなくては・・・とレジへ急ぐ。レジにいた店員の男の子は、私が頭の中で計算していたよりも千円ほど高い金額を請求する。変だなあ・・・と思いながらも気の弱いA型人間は一応支払ったのだが、レシートを見ると食べてもいないウィンナーピザだとかドリア等と印字されている。そこでようやく「こんなもの食べていませんけど・・・」と付き返す。

そもそも私の差し出した伝票と照合すれば良さそうなものだが、奥に引っ込んで行ってなにやら相談している。ばかたれ・・・・・さてはパニックを起こしたな。裏方に裏を取るまでもないだろう、会計伝票を見なさい、と言いたいが、黙ってニコニコして出て来た。安くてそこそこ美味しくて嬉しいんだから、楽しい気分で終わりたいじゃん。

エサ場には、ハナクソが一番乗りで姿を現したのに、なぜか塀の上から降りてこない。時々覗くと、まだじーっと塀の上で固まっている。これは・・・と思ってエサ場を覗くと、やはりいつのまにかチャッキーが来て食べていた。耳ピアスはまだ健在。毛皮もとても綺麗になって来た。しばらくすると、よりこも来た。こうして避妊済みの子ばかりを見るとホッとする。しかしまだきっとこの辺りにも、避妊していない野良はいるのだ。見たら捕獲。そして避妊にまっしぐら。頑張ろう。
ジャムの独り言

ジャムのあんな写真を無断で載せるなんて、ママはひどい!そりゃあちっとはデブかも知れないけど、ジャムは今でも可愛いって評判なんだよ。どこで評判かって?え〜っと・・・パパでしょ、ママでしょ、みょーこオバサンでしょ、テレサおば・・・アワワ・・・お姉ちゃんでしょ・・・みんなジャムは可愛いってゆってるもん!!

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