幸太、幸せに

Dec.21,2002

今年最後(のつもり)のビッグイベント・・・SOSたぬき君改め幸太の旅立ちの日がやって来た。朝からそわそわと落ち着かない。あいにく氷雨降る連休の初日となってしまったが、無事に新神戸を発ったという知らせが携帯メールで入る。面白いから、別に用事もないのに何度も返信をしてしまう。これではコギャルのノリではないか。

11時10分新横浜着の新幹線で、ヒロコ・ムツコの美人姉妹とヒロコの息子タクマが到着するので、10時半少し前に家を出た。雨の土曜日・・・さぞかし道が混んでいるだろうといつも通りの予想をしていたのだが、今回は予想通りであった。それでも20分前にはついてしまう。しかし私達にとって、この程度だったら待ち時間が少ない方だ。下手をすると1時間も前に待ち合わせ場所に着いてしまう事が多い。それにつけても寒い日になってしまった。新横浜の駅舎の中も凄く寒い。

定刻になり、先週会ったばかりの顔が3つ現れた。さあ、病院へ直行だ。全員、お腹がぺこぺこなのだが、まずは先生に退院の時刻を、休診時間に少し食い込ませて戴けるようお願いしなくては。帰りの新幹線の発車時刻は15時9分だ。コンテナに入れたまま、こうたんを連れ回すことは可哀想だから、ご飯を食べながら時間を見計らい、最後にお渡しとしたい。

病院では、こうたんが一人でにゃ〜にゃ〜鳴いていた。ご飯を与えられて、必至で食べているのだが、取り上げると怒ってフーフー言っている。しかし食べているときには触っても怒らない。一度マルガリータにされたけれど、少し毛が伸びていていた。今の状態はシャムのようだが、毛が伸びてくるとヒマラヤンに戻る。とてもハンサムだ。そして声もとても可愛い。身体は小さくて、まるでメス猫のようだ。外に繋がれていた時も、多分ずーっと下痢をしていただろうという診断だ。そのくらい、コクシジウムが半端な数ではなかったと言うし、なかなかそれが落ちなかったようだ。

保護して来てくれたKさんも合流して、みんなで昼ご飯を食べる。安くて美味しい店が目の前にあって、決して洒落た店ではないが、温かみのある手抜きのない調理をしてくれる。今日も味噌汁の具はボタン海老の頭であった。トンカツにした人とちらし寿司にした人、鯖の塩焼きにした人、そして私は牡蠣フライ・・・美味しい。初めて気づいたのだが、この店ではポメラニアンを飼っていた。抱っこして連れて来てくれたのだが、白内障でよく見えていないらしい。かわいらしい顔をしていたし、店の奥さんも「うちの子はとびっきり可愛いんです」と親ばか振りを披露していた。

こちらがどういう集まりであるのかの事情も話して、7年間も風雪にさらされて繋がれていた事を説明した。聞いた人は、一様に「信じられない・・・」と顔を曇らせる。そうだ。失明するほど、風邪をひいても放置され、寒さと熱さと孤独と恐怖に耐え続けて来た7年間は、どれ程長い地獄だっただろう。いっそロープを解いて野良猫にしてくれていた方が、どれだけ増しだったか知れない。しかし、もう地獄はおしまい。病院でも大切に可愛がってくれていたけれど、今日からは一気に極楽だ。猫の仲間も出来る。里親ムツコ(私は大王なので、この際呼び捨てで御免)の家には、そっくりの盲目のシャム「あらた」もいる。この猫家族については、年末に時間をとって全て紹介するページを作る予定なので、皆さん、どうかご期待下さい。

2時に忘年会を予約していたらしい集団が入ってきたので、そのタイミングで店を出た。いよいよ退院だ。持参したコンテナに、新しい猫家族の匂いのついた毛布などを入れて貰ったせいか、こうたん(幸太)は自発的にしかも一刻も早くその中に入りたがって、せめて今日の記念に写真を撮りたい私は、先生にこうたんを押さえて貰って辛うじて1枚撮影出来た。奥さん先生も来てくれていて、ヒロコ・ムツコ姉妹は念入りに状態の説明を聴いていた。そのときの様子を、ご覧戴こう。

紙芝居『神戸ヒロムツ姉妹』
左:奥さん先生
「これはこうたんの為のご飯ですから、飼い主さんが食べないで下さいね。」
右:ムツコ
「え〜っ!あたしらのご飯とちゃいますの?」
真ん中:ヒロコ
「うちら、いつも食べてますよぉ・・・」
左:先生
「いけません!」
右:ムツコ
「お姉ちゃん、食べたらあかんで〜」
左:ヒロコ
「あんたに言われたないわ!」
ヒロコ・ムツコ
「でも誰もおらんところやったら、食べてもわからへんもんなあ・・・・ニコニコ」
以上の会話は、全てフィクションであります。

先生に何度もお礼を言って、ぞろぞろと病院を出た。寒い寒い。雨も大粒だ。再び新横浜へと向かうが、今度は大分渋滞がひどい。そしてまたまた20分はたっぷり時間を残して到着し、寒い所ではこうたんが可哀想だから、改札を入ったところの待合室で待って貰う事にして、いよいよお別れだ。コンテナの扉のところから指を入れると、こうたんがすりすりしてくれる。うっ・・・とこみ上げてくる。とても嬉しい日なのだから、笑ってお別れしたい。だけどね・・・。

新幹線の中から、メールが届いた。「無事に乗れました。それ程鳴かないしお利口さんにしてます。本当にありがとうございました。」よかった・・・凄い強行軍だったと思うけど、明日と明後日がお休みで良かった。ヒロコ・ムツコ姉妹、お疲れ様。そして有り難う。今夜は、戴いた酒で乾杯します。みんな、これを見ていたら夜の11時に乾杯してね。

SOSのページの更新は、この後少し休憩させて戴いてからします。支援金をお送り下さった皆さん、そしてリンクや励ましを下さった皆さん、応援本当に有り難うございました。ムツコさんは新幹線代を受け取らないと頑張ったのだが、お一人分だけ持たせていただいた。イ実はムツコ子さんには、既に《猫の手倶楽部》への支援者にもなって戴いているのだ。これでは逆だ。こうたんは里子に行けたものの、まだ原因の解からない症状(好酸球増多症)を抱えており、それが腫瘍によるものである可能性が高いのだ。今後の治療に費用もかかるのを覚悟で、それどころか喜んで迎え入れてくれたムツごろうには、たとえ足を向けて寝ていても感謝し続けるつもりだ。

その《猫の手倶楽部》の会計報告は年末年始休暇に一気に更新の予定ですが(今はとても時間が足りないのでごめんなさい!)、SOSの終了報告は今夜致します。素晴らしい出会いと、またひとつ新しい幸せを戴きました。有り難うございました。

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