ペルちゃん
里親募集中

Jan.10,2003

ペルちゃんと掲示板事件の顛末


さて、常連の皆様は既にご承知の事と思うが、この写真はもしかしたらうちに来るかも知れなかったペルちゃんだ。掲示板に緊急SOSの形で他所の掲示板から転載されたものだったが、曰く里親さんが懐かないこの猫を処分すると言っているという、お定まりのキメゼリフがあった。一刻を争う雰囲気で、しかも処分したくなければお金を出してしばらく動物病院のケージで過ごしででも里親を新たに探すという事も出来るけれど・・・とは思ったが、あまりにも忙しいし湿っぽい話は嫌いなので、手っ取り早く私が引き取ると宣言した。単純に考えると、この私が引き取れる位であれば誰にでも引き取れるはずなのだが、なかなかそうはいかないらしい。

飼い主として安楽死させる事の是非に関しては、私はここで何か言おうとは思わない。しかし安楽死させるつもりならば、黙ってひっそりとやれ。多くの人たちを巻き込んで騒がせる結果になった一点に於いて、この里親は馬鹿だと思う。軽々しく口にすべき事ではない。

ペルちゃん自身の保護から現在までの経緯はこちらに詳しいので、ご参照下さい。それを読む限りでは、確かに問題点は幾つかある。しかし前向きに努力して成功のイメージを確実に持ち、その為の具体的な努力を腰がひけずに続けられれば、必ずこういう子は良いご縁と出会えると思う。だって境遇が可哀想なだけでなく、頑張っている保護主の猫を貰いたいと思う人たちがいるのだから。そういう意味では、気持ちを強く持って、悩まずに前に進んで欲しいと切に願う。

すっかり引き取るつもりで覚悟を決めた私達であったが、一昨日からめまぐるしく状況が展開した結果、兎に角ペルちゃんは2月に入ったら東京の一時預かりさんのお宅に移される事に決まった。その為の努力をして下さった「みち猫」さんを始め「こげんたサイト」のスタッフの皆さんに感謝します。おおもとの保護主のキオさんが大勢の善意に支えられて、強く確信を持って最後まで事にあたれるよう私もサポートをしていく約束をし、当面我が家にこの子が来る事はなくなった。新たにこのペルちゃんをSOSという形で里親募集する事になると思うが、私の身の処仕方をご心配下さっている皆様へ、いち早くお知らせしておきたいと思う。ペルちゃんは安楽死処分などされず、一時預かりしてくれる方が現れ、そこにいる間に新たな(そして今度こそ永久の)里親さんを探す事で動き始めました。

それにしても・・・だ。人に理解されたいと思って始めた事・続けている事ではないのだが、時々は繰り返し大上段からものを言わなければならない事があり、メッセージを送り続けなければいけない事もあるのだと痛感している。それは今回のこのペルちゃんの件をめぐって私が何を思い、行動しようとしているのかが、やっぱり誤解されているように思えたからだ。私ごときの人格に対しては今更多少の誤解は恐れないが、多くの人に影響を及ぼしてしまったので、ここで一度信ずるところを整理させて戴く。

思い起こせば、1年ほど前の「赤いちゃんちゃんこを着せられて山奥に捨てられていた末期ガンのニャムちゃん」の時も、本当に誰も引き取れないのであれば私が引き取ると宣言したのだが、結果としては発見し保護してくれた女性が最後まで看取ってくれたのだった。多くの人達が簡単に「うちには置けません」というが、保護したからには兎に角先ずは家に置いて、やるべき事(健康診断、成猫であれば出来れば避妊も即座に、トイレのしつけ、ノミ駆除や駆虫、食べ方や排泄の観察などなど)をやってみて、そりゃあその都度私だって不安だし「困った事になった」と途方に暮れるのは確かなのだが、冷静に腰を据えて対処して行こうよ。絶対に信じた通りになるから。いや、信じた通りにしかならない・・・と言っても差し支えないだろう。

今回、様々な「NO」の理由は言えるにせよ誰も引き取れないのであれば、うちが喜んで引き取ると発言した。それはどこに対するでもない怒りでもあった。インターネットという手段で里親募集をして来た私が言うのはおかしなものだが、このインターネットというものは便利なものでもあり、ひとつ間違えばその匿名性ゆえに自己をもバーチャルなものにしてしまい勝ちな世界であるという胡散臭さに関しては、私には吐き気がする程嫌だ。大切な事は掲示板で大騒ぎする前に情報の発信元をひとつにカッチリ決めて、そこで管理者が内容に対しての全責任を持って対応しつつSOS発信すべきだと私は考えている。

これまでにも、ひとつのSOSに対して情報の錯綜が多く、同じケースに対して内容が少しずつ違うSOSページがたくさんあったりして、その内容次第では保護主や里親さん候補の心を傷つけるものであったり、折角の良縁が流れたりした事もあった。情報伝達をきちんとしないと、インターネットでの里親募集は難しいものがある。善意のつもりの行為が、決して責任の取りきれないものになってはならない。情報を送り出す側のモラルと責任感を改めて世に問いたい。

しかし純粋に善意の人たちがいる事も事実だし、小さな助けを求めている命を何とかしたいと願っている事も確かだろう。やり方に対して、完璧さを求めている訳ではない。人には様々な背景とふさわしい「時期」というものがあり、全ての人が同様に頑張れる訳ではない。しかし、ひとところに留まって「私には何も出来ませんが、祈っています」的な事を続ける人がいたとしたら、その人に対しての興味が失せても仕方あるまい。飽きっぽいと私を責める方が間違っている。

かく言う私も、同じ過ちを繰り返してきた。簡単に人を信じて受け入れ裏切られ続けているが、そんなものは一瞬の不愉快であって、私はまた顔を上げて立ち上がる。見ろ、結婚だって3度もしてねその結果こんなに幸せだ。懲りないというのは、バカな証拠でもあるだろうが、私の中に純粋なパワーが湧き続けているという事でもあると信じたい。

幸太が7年間の過酷な運命に耐え、Kさんの月日をかけた努力のお陰で救われ、ムツコ(呼び捨てごめん)の愛のチカラで幸せな日々を送っている事は、決して奇跡が起きた訳ではない。当然の結果だと思っている。動物に性格の悪い子もいなければ、どの子も等しく愛される権利を持ち、純血だ雑種だと区別する事は頭が悪いとしか思えない位にどの子も賢く、人間を幸福にしてくれる力を持っていると信じて「気」と「行動」を見せた人は、必ず結果を出しているという好例に過ぎないのだ。

幸太のドラマを見た人は、是非そこから学んで欲しい。飼い主が諦めずに力強く静かな愛情をかけ続け、嫌がる事を押しつけず、自分の都合でものを考えず、時間に限度を設けたりしない限り、そして懐いて甘えるという表現の仕方も一通りではないのだという事を知って、強い者が弱いものを保護して生きるというのがどういう事なのかを、もう一度考えてみて欲しい。

昨日の話題の猫ペルちゃんは、若干思いこみの強い飼い主の女性に懐いていないからと言って、決して女性全般に対して「トラウマ」があるとは思いにくい。1頭飼いでなければ無理だという事もないと思う。だから多頭飼いで一応戸籍上では「女」の私が里親に名乗りを上げた。純潔のペルシャで被毛は真っ白・・・ときたら、多くの猫に接してきた人であればある程度は解かるのだが・・・類型的に言えば我儘で気難しいだろうという事くらいは。それでも必ず、甘えん坊の良い子のはずだ。

少し前にもここで書いたけれど、リスクを負って自分で発言した事に対してのみ、私は相手をしようと思う。言わなくとも解っていてくれるだろう・・・という世界には、私は踏み込まない事にした。だから具体的に問題を提示されれば、それに対してはどんな小さなアクションでも起さずにはいられない。私はそうする事なしに偉そうな発言もしたくない。かと言って、困っている日本中の猫を全て引き取る程の無茶は決してしないつもりだ。身の破滅を招くような保護活動など真っ平である。我が家は9匹という、多いのかそうでもないのか判断がつきかねる数の猫と共に暮らしているが、別に経済的にも精神的にも限界であるとは思っていないし、劣悪な環境で飼っているような事はないと言い切れる。

もちろん貧乏人ではあるが、時々は浄水器だの水フィルタの掃除機だの車だのも買える程度には心に余裕がある。体の方はきついて言ってしまえばきついが、9匹が10匹になったところでさほど変わりはない。しかも6匹と3匹は部屋を分けている。掃除は徹底させているし、医療費もフード代も健康補助食品の類にも金は惜しまない。誰にもケチをつけられるような猫の飼い方はしていないと言い切れるのだ。

だから、うちで引き取る事に関しては別に支障はないだろうと思った。こういう私を嫌いで、あんな人には渡せないと言うのであれば別だが、今回の保護主さんは単に申し訳なくてお願い出来ないでいるのではないかと思うが如何だろう。しかし、ともあれ一歩も二歩も前進出来ているので安心した。キオさんとも、みち猫さんとも今後協力態勢をとりながら、一番良い結果を出せるように努力しよう。

何度も言うようだが、重要な事柄を掲示板でやりとりしたくないという思いが私にはある。それでも猫を飼う上での様々な相談は、私だけでなく多くの諸先輩からも受けて貰えたら有り難いと思うので、メールで戴いたご相談に対しても「掲示板に書き込んでみて下さい」と返信したり、私が代理で自分の掲示板に投稿する事もある。しかし里親募集に関しては掲示板方式で運営する意志は一切ないので、掲示板に書き込まれては困る。大げさな言い方をすれば、命を削って里親募集のコーナーの運営はして来ているので、そちらを利用して欲しい。

そして是非、私がくどい程お願いしている要項に沿って掲載依頼して欲しい。緊急SOSの場合も、一度メールで相談して欲しい。どうしても緊急性の高いものは、そこでオーナーとして「掲示板に書き込んで下さい」と言うつもりだ。

私は今度の事では、決して押しつけられた等とは感じていない。しかし私の練り上げた方針で運営している掲示板に書かれた事に対しては、私は責任を取りたい。どうにも出来ない事で、不特定多数の人の涙を誘いたくない。何かアクションを起こすとしたら、それはバーチャルな世界での伝言リレーという行動ではなく、現実的な動きであって欲しい。お金が解決する事は多い。信頼出来る動物病院に預ける事だって出来るのだが、何につけお金が必要なのは自明の理だ。今回、既に避妊の為の支援が集まりつつあると聞いた。そうでなくちゃね。

今回の件に限らず、救いたいと思う悲惨な子の情報を知ったら悲しんでいないで、そして自分には何も出来ないと思わないで、まず必要としているのに足りないお金を少しでも送ってあげよう。来月買うつもりだった洋服を一枚我慢して、あるいは外食を控えて、酒タバコを減らして、自分の懐を痛めて金を捻出したら如何だろう?但し、私やみょーこのように猫に湯水の如く(私は湯水は節約しているが・・・)金を仕えとは言わない。ここまでするのはバカだ。

アインやジーコと同じ「心筋症」や他の症状が激しく出ている猫・チー君の飼い主さんは、毎月2万円を送ってくださっている。毎月これでは多すぎます・・・と何度か申し上げたのだが、これ以上引き取ってあげられない事への免罪符を買っているようなものなんです・・・と言っていた。ミーヤちゃんやシャスケでお馴染みの石井さんも、ほぼ同様の寄付を続けて下さっている。他にもここでは名前を挙げきれない善意の支援者のお金が、たくさんの猫を救ってくれた。

しかしもう一度お断りしておくけれど、私の保護した猫や捕獲・避妊に対しては、支援金を使うつもりは一切ない。私は「趣味」「道楽」として続けるから。私にこれ以上は負担をかけまいとして、川口が引き取る位ならば私が引き取ります・・・と発言していたおニャアニャン、みょーこ、さりげなく「自分で出来る保護をしよう」と発言してくれていたこまさん、そして敢えてこうした局面にどう対処すべきかの厳しい発言をしてくれた暢子さん、ワルモノさん、こうちゃん・・・感謝します。しかし私の決断を見て思いやって下さった方々の厳しい発言があった事は、たとえ「痛い」ものであったとしても、先輩方の経験と信念と愛から出たものだと解釈して、素直に聞き入れて欲しいと思う。それが出来ない場合は、コミュニケーションの場には苦い思いしかなくなってしまう。

自分を大切にしつつ、どうしても譲れない事だけはやる。言葉だけだったら、子供でもたいそうな事は言える。行動によってのみ人は評価されて然るべきだと考えられる大人が少ないのは、(日本人のくせにこんな事を言うのは大変悔しいが)日本人が幼いのだろうか。まず身体を動かしてこそ自分に自信が持てるのだという事は、やった事のある人は知っている。

私にもそろそろ、次の季節が来ても良い。次の季節に移るのは、自分の勇気ひとつだ。

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