今朝はシミュレーションチーム総出で、ラボの周囲のゴミ拾い。ロボットチームからも、研究員その２・イノウさんと未公開過激キャラの研究員その３・タキタさんも手伝ってくれた。産業道路で信号待ちしている車から投げ捨てた弁当や缶、そしてわざわざ敷地内に持って来て捨てたと思われる家庭ゴミ。今まで半年間ずっと気になりつつ、チラリと言っても取り上げて貰えなかったゴミ拾いだったのだが、やっと念願叶った。

家庭ゴミには、年賀状もラブレターもそのまま捨てられていた。書いたのは男で、貰ったのは「美保さん」である。美保さんは中学３年生の時にその男に振られたらしい事、そしてこのたびめでたく結婚した事が最初の数行で読み取れた。便箋にして１０枚ほどの大作だった。結婚して引越しする際にごっそり捨てていったものが、ここでこんな風に人目に触れている。美保さんが自分でここまでエッチラオッチラ運んで来たとは思わないが、ゴミの収集場所から誰かが持ち去って要らないものを捨てたと考えるべきか。

洋服も口紅もマニキュアも毛抜きもキティちゃんのポーチもあった。何度も雨に降られ、ぐっしょり湿った衣類を地面から剥がすと、ダンゴ虫やゲジゲジがゾロゾロと出て来る。ヒルまでいた。植え込みの茂みの中は、落ち葉がすっかり腐葉土と化している。当然、虫の寝床だろう。そっと踏み込んで恐る恐るゴミを持ち上げると、でかいナメクジが・・・。うっ・・・となる。ナメクジは嫌いだ。年々嫌いになり、今は吐き気がする程だ。

「ナメクジ大王のくせにナメクジが怖いんですか？」とイノウさんは言うが、感触が乾いているものは比較的大丈夫なのだが、粘液で覆われたものは苦手なのだ。エサのトレイにもずうずうしく入り込むし、歩いた後には粘液が残る。ミミズは土壌改良に役立つが、ナメクジは何の役に立っている？好んで食べようとする天敵もあまりいないみたいだし、間違って触ってしまった日にはもう・・・。必死で威厳を保って「ナメクジ大王じゃない、バカなめくじ大王だ」と言い返すが、似たようなものだと一蹴されてしまった。ちくしょう、自分だってゴキブリが苦手なくせに。

大勢でやれば、あっという間だ。３０分で終了。完全に茂みの中へは入りきれないので手の届く場所だけだが、ゴミ袋１０個分程度は綺麗になった。しかし腰には効いたね。先週から歩き回ったり身体を動かす労働が続いていて、堕落したオネーサンはもうボロボロだよ。

そのボロボロのオネーサンに、突如更なる悲劇が訪れた。普段通り昼ご飯を食べ終え、明日の一般公開の準備を始めた午後、突然歯が痛くなり始めた。正確には、歯茎だ。その歯茎は、１５年前に親知らずを抜いた後の歯茎だ。かなり腫れてきて、舌で触っても痛む。何故急に？痛み止めを美人のタケウチさんに貰って飲んで今日を凌ごうとするが、それがちっとも効かない。明日の準備の為の諸々のプリントをするのに、またもプロッタの調子が悪い。何度やっても、出力用紙の指定が出来ない、指定したフォント通りに出さない、やがてはプリント開始位置まで狂ってきた。そのもどかしさと痛みとで苛々しながら何とか頑張ろうと思ったけれど、遂には口をきくのも辛くなってきた。電話もとれない。歩くのも辛い。

思い余って歯医者に電話する。本当は明日が歯医者の日だったが、出勤なのを思い出してキャンセルしてあった。今日は当然予約など入れて貰えないと思ったが、痛みが酷いようなので来て戴いて結構ですと言って貰えた。残ったプリントはロボットの客員研究員のハダさんにお願いして、５時で早退する事にした。朝、１時間以上も早く来ているのだから、早退扱いにしなくても済みそうだが。

兎に角、ラボからは自分で運転して帰るしかない。歯医者は日吉の駅前でとても車は停められないから、一旦家に戻ってこうちゃんに送って貰う。比較的順調に走れたので、６時ちょっと過ぎには歯医者に着いた。間もなく呼ばれて、治療の椅子に座る。先生は掛け持ちで数人を同時で治療しているので、飛び入りの私はうんと待つのだろうと覚悟していたが、レントゲンを撮ったりしているうちに、あっという間に石原先生は私のところに来てくれた。痛い事は痛いのだが、石原先生は相変わらず素敵だな。しかも優しい。

そろそろ痛くて辛いので、結果から言うと、上の親知らずを抜くきっかけになったのは、下の親知らずを抜いた１０年後に伸びてしまったからなのだが、伸びるついでに顎の骨も一緒に伸びたらしいのだ。その骨は、生意気にも三角に尖っている。それを今後平らに削る手術をしなければならない。今日のところは、麻酔して化膿していた歯茎と膿を掻き出して終わり。

麻酔が切れた後は、顔面神経痛と扁桃腺の痛みと、歯茎を穿り返した痛みの三重奏。電気をつけても、猫が鳴いても痛んだ。貰って来た薬を飲み、あまりにも胃を荒らさないよう痛みに耐えて食べ（根性だ）、里親募集を１件だけ更新して、鶴見のエサやりはこうちゃんにお願いして、私は寝る。電話もいっぱい入るし、あちこちで大変な事になっているのだが、それはまた後日書く事にして、兎に角寝る。明日は休めないのだからな。