今日はこうちゃんの誕生日なので、朝起きたら必ず「おめでとう」と言おうと思っていて、「薬は飲んだの？」等と口うるさく言われているうちにすっかり忘れた。それどころか玄関まで見送りさせた挙句、「あ、煙草忘れた・・・」と言って２階まで取りに行かせた。しょうもない嫁だ。



思えば、出会ってから一度もお互いの誕生日など祝った事がない。

しかしこうちゃんに贈り物はいっぱいした。誕生日だとかクリスマスなど関係ない。そもそも当時の私はプレゼント魔だったのだ。ワイシャツからネクタイ、スーツ（体型が独特なので、「吊るし」は合わず、大変に不経済）、ポケットチーフ（こういうスカしたものを着用する人種であった）、下着（Ｔシャツもトランクスもだ）、手帳、腕時計、万年筆（これは直ぐに失くしてくれた）、彼の身の回りのモノは全て私が選びたかった。また着せ甲斐のあるオトコでもあった。三つ揃いのスーツ姿が一番似合うのに、今や自由業でちっとも着てくれなくなってしまったのは残念。



当時のこうちゃんは、いつも散髪したてのようなきちんとした髪、真夏でも一人だけ涼しげな風貌、だらしない様子など見た事がなかったのに、今ではヒゲも剃らない日が多い。まだ交際前に「傲慢な言い方かも知れないが、わたし以外の人間の言う事は聞かないように。」とキメ科白が似合ったこうちゃん、どこから見てもダンディだったこうちゃんは今いずこ。しかし当時のカズエちゃんも今や影も形もないと言われたらグウの音も出ないのだが・・・。

物凄い突風が吹き荒れた一日だった。朝、真っ直ぐ走っていてもハンドルを取られる程の横風だった。新川通りに入って追分の交差点を過ぎたら、無自覚で一瞬１００キロ出ていた。危ない危ない、捕まったらえらいこっちゃ。熱もあまり下がらないし、湿気は多いし、不快な一日だった。

フルトさんが女性陣にご馳走オジサンと化しているのだが、次はお寿司にしましょうとか、焼肉にしましょうとか、色んな事を言ってくる。きっと美女たちにご馳走するのが楽しみなのだろうと勝手な解釈をしている。それ自体は歓迎なのだが、『海苔巻きONLYというのはいかがでしょう？カッパ巻きをはじめ、鉄火巻き、かんぴょう巻き、お新香巻き、納豆巻き、いろいろと楽しめそうですよ。』などとメールで言ってきたものだから、当然の事ながら私にコテンパンにされた。バカタレ・・・ちょっと考えれば、私がどういう反応をするかくらい解るだろうに。ちっとは学習しなさい。

そのフルトさん、午後に東京駅までカクモトさんに手渡すデータを持って出掛けた。「それでは行って参ります。」と言うフルトさんに「お土産ね〜！」と言い放つツワモノがいる。「何がいいんですか？」「え〜っとね、東京駅でしょ・・・東京ばなな」と良く知りもしないモノを注文する。タケウチさんが『しかしながら、（川崎から）東京いくのにお土産ねだる私たち(川口さん）って、すごいねー。感心しました』と褒めてくれた。男はねだられてナンボじゃ。良かったのお、フルトさん。しかし歯茎の痛い私は甘い菓子など別に食いたくないのだが、女の子たちの為にねだってあげたのだ。優しいな、私って。

今日が締め切りの原稿を苦しんで上げ、やっと会議を終えた所長にチェックをお願いして帰って来てしまった。書き直しが言い渡されると、いつ帰れるか判らない。概ね順調に走れたのだが、鶴見市場の踏み切りがなかなか開かなかった。苛々して煙草を吸う場面だが、今日は同乗者がいたので幾分気が紛れた。煙草の本数を減らすには、非喫煙者と過ごすのは良い方法かも知れない。自らの意志だけでは、とても減らせないのだもの。

帰宅したら直ぐに「こうちゃん、お誕生日おめでとう」と言おうと一日中思っていた。ガレージのシャッターを開ける音で迎えに出て来てくれたので、今度こそ忘れないように車を降りるなり言ったのだが、「こうたん、おちゃんじょうびおめでとう。」になってしまった。良くある事だよね。「カンボジア難民」を「ナンボジアカンミン」とか。

帰ると真っ先にカワムラさんの具合を尋ねるのが常だ。しかし昼間はいつも容態が安定しているらしい。昨夜だって、私はあまりにカワムラが苦しそうで、その独特な顔の表情を見ていたら、切なくて涙が出て来てしまう位、具合が悪かったのに・・・。もしかして私が「エロ爺」だとか「キスだけはやめろ」だとか冷たい事ばかり言っていたので、仮病つかっているのかな？だったら良いのだが。頑張れ、カワムラさん、今夜も抱き合って寝ようね。