マルコとジャム

窓辺

Jun.19,2003
昨夜からゲロッパの嵐。アインも吐く、ミュウも吐く、そしてジーコも吐く。唾液の泡だったような水ゲロあり、空腹時のドロリとした茶色いゲロあり、食べて少ししてのドライフードの粒々感そのままのゲロあり。年寄り猫たちはぐったりしている。

何だか虚しい。自分がここ数年して来た事は、この子たちへの負担を増していただけ(「だけ」というのは、もちろん間違っているのは解かっている)のような気もしてしまうし、去年までのキチガイ舅による地獄の10年は、この3匹にとってはあまりにも可哀想な環境だったとも思うし、しかしここで住む選択をしたのは他でもない私自身なのだし、何だ、結局私が一番悪いんだな・・・と久し振りにネガティヴな気分になる。過去を振り返って、悔やむ事は原則としてしない事にしているのに、この家に来た事をつくづく悔やんだ。ミュウたちの一番若くて良き時代を、舅の為に犠牲にしてしまった。本来だったら寝不足が続いて、今日あたりはかなりハイになっているはずなのだが、全くどうした事か。

ジーコたちには、もはや療法食に切り替える程度では駄目かも知れない。慢性腎不全である事は、免れようもない事実なのだから。どこの猫もいずれはこうなる運命だし、歳をとるまで生き長らえて来たからこその病気なのだ。もっと若くして亡くなった猫の飼い主から見たら、私など何とへこたれの贅沢である事か。

ハイになれず落ち込んだのは、昨日の帰り道の出来事も引き金になったような気がする。小雨の中、産業道路から右折して入った道の交差点内で、猫の遺体を発見。車の往来が激しい道だから、はねられたのだろう。血も内臓も出ておらず、綺麗な体のまま横たわっていた。その遺体を大きく避けて前に回り、降りてどうにかしてやるべきだな・・・と思った瞬間、先が詰まっているのに無理矢理交差点内に進入して来た赤い軽自動車が、その猫の身体に乗り上げるのがルームミラーで見ていてはっきり解かった。

運転している人間は、もちろん手応えがかなりあったはずだが、乗り上げたまま涼しい顔をしている。それだころか、前が進み始めたのに発進しない私にクラクションを鳴らした。心臓がドキドキした。私はもう下りて行けなかった。何て意気地がないのだろう。ずるいとも思う。汚いとは思わないが、むごたらしい姿を正視出来ないのだ。

道に横たわっていたのはサビ猫だった。顔を見た訳ではないので、あるいはキジサビかも知れないが、まるでゴマが寝ているようにも見えた。どうしてあんな道を渡ろうとしたのだろう。あの後、どうなったのだろう。引き返して遺体を処理してやれなかった自分が情けない。家に戻ると、3匹が具合悪くなっていた。駄目な私に罰が当たるのは甘んじて受けるが、猫に罪はない。この子たちをこのまま死なせる訳にはいかない。しかし私に何が出来るのだ。

出来る事は、傍にいてやる事しかない。今日はリフォームが入る予定だったので、こうちゃんはそちらの対応に追われるだろうから、私が仕事を休んで一緒に居る、そして病院に連れて行く事にした。じっとしていて落ち込んだり、鬱になるのは最悪だ。多少へこたれていても、そこまで堕落したくはない。そこまで甘えた人間になり下がるのならば死んだ方がマシだ。猫たちの為にも死にたくはないから、やる事をやって身体を動かして無理矢理にでもハイになってやる。

ペリー

ボクの毛布

Jun.19,2003

病院から戻ってみると、リフォーム屋が来ている様子はない。「どうしたの?」と訊くと、面格子を特注で4センチピッチにして貰ったので、今日は工場でその作業に時間がとられているらしいと言う。明日に持ち越しとなった。怒ってもどうしようもないから、ジーコが眠っているのを確認して、レメディやプロポリスを飲ませる為のスポイトを買いに行こうという事になった。

スポイトは、横からつまんで押し出すタイプは、実は使いにくい。お尻が蛇腹になっていて注射器のように親指で押し出すタイプが使い易いのだが、そういうスポイトがなかなか売っていない。100円ショップのコスメコーナーで、詰め替え用の容器と共にセット売りしているものが、唯一探し出せた。容器は無駄になるが仕方ないだろう。

帰り道、以前から気になっていたイラン人経営のリサイクルショップ屋で、シシカバブを2本、ザクロジュースを3パック買ってみた。イラン人の青年は、真面目そうで感じが良かった。丁寧に焼いた肉を不器用な手つきで串からはずして、笑顔で見送ってくれた。美味しそうだったのだが、実際に食べてみたらそれは羊肉だった。そうだよなあ・・・イランはイスラム教だものな。何でも食べる私たちなのだが、羊は苦手だ。食べると鼻から抜ける独特の臭いが、どうしても駄目なのだ。これはフランス料理だろうが、ジンギスカンだろうが同じ。ごめんなさい、捨てちゃいました。

死んでしまった子あり、闘病中の子あり、オシッコ問題を起こしている子あり、猫仲間の間でも色々だ。大変なのは私だけではない。辛いが、しばらく続くとしたら、この思いを振り切って仕事には行かねば。この数ヶ月ボロ雑巾のように酷使されて来ても、ここにきて3回休んだだけで「このところ休みが多いけど」なんてツマキさんの掲示板では書かれちゃうし(ま、ツマキさんて、そういう無邪気というか、あんまり解かっていない鈍感なところが魅力の人だから仕方ないけど)、人の評価なんてどうでも良いけど、休むとますます士気が下がるような気がするのは、やっぱり貧乏性なのかな。どうせ休むなら、もう一生休んでいたいよ。カネさえ唸るほどあればね。

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