ルス・リマとカワムラ

おかえり!

Jun. 22, 2003
「一旦寝る」とか「もう寝る」と宣言して、叶った試しがない。

昨夜も結局2時半。今朝は少し寝坊して、起きたら7時。それでもしっかり寝た感じがする。仕事に行く日はやはり緊張が持続していて、寝ているようで寝ていないらしい。尤も「寝ているようで・・・」というのが4時間が関の山だが。

要は気持ちの問題さ。まだまだ甘いね、私も。



昨夜は初めて、1階のリビングに布団を敷いて寝た。面格子が付いたので、安心して夜でも外出中でも窓を全開しておけるのだ。

この場合の「安心」とは、防犯上の事ではない。どうせプロの手口に掛かれば、こんな程度の防犯対策では入られるだろう。私が失いたくないものは、猫とこうちゃんだけだ。あとは何も失うものはない、もとい、失ってもまた手に入るものばかりだ。こだわりの若干のコレクションも巨額の預金(嘘です)の通帳も。



しかし折角、カワムラさんが寂しかろうと思って一緒に寝たのに、どうした事かカワムラは私に添い寝しなかった。こんな事は初めてだ。

居住スペースが和室から広いリビング替わったせいか?リビングはダイニングと続き部屋で、更に先には廊下も洗面所も風呂場もある。新しい環境で探索の途中なのか、それとも一晩入院中のルスとリマを探しているのか、「アオッ、アオッ」と変な声で鳴きながら徘徊し続けていた。私が呼んでも全然傍に来ない。

出窓のカーテンの陰も探し、暗い廊下の隅まで行っては鳴いて探した。

まるで母猫が、離された仔猫を捜し求めるかのようだった。今までは「来なくていいよ」と言ってもさっさとやって来て、暑くても一晩中離れてくれなかったというのに。私も寂しいが、カワムラも心配で寂しいのだろう。つくづくいい奴だな、カワムラって。



床に布団を敷いて寝るのは、腰や背骨の痛む私にはちょっときつい。かと言って、いかにもベッドというものをリビングに常設するのは如何なものか?

そこで籐製の折り畳みマットレスのようなものを買う事にした。2ツ折にして、立てかけて片付ける事も可能だ。籐のフレームだけのいわば「高床式布団敷き場」であるので、湿気が篭もり難いという利点もある。早く届かないかと待ち侘びているのだが、お届けは3〜4週間後だという。



カワムラさんは、昨日いらした「イル」の里親さんと、里親さんのお勤めする会社の社長(仙台から運転手として車を出して下さったのだ。会社では迷い犬も大事に飼ってくれているらしい)さんにも大人気だった。

兎に角お客さんも大好き、みんなの輪の中心に入りたがる、真ん中でリラックスして寝そべる・・・いつもご機嫌でとぼけたカワムラは、人間も猫も大好きらしい。

このでかいオス猫が、小さかったルスとリマを育てたようなものだ。



そのルス・リマの初めての不在。カワムラは突然の事で戸惑っていたのだろう。

気持ちは一緒だよ、私だっていつもの事ながらルスとリマが心配で仕方なかったんだ。麻酔のリスクは、やっぱりあるのだから。

ルスとリマ

わが家


Jun. 22, 2003

午前10時という約束で、カトウ先生の病院へルスとリマを迎えに行った。

家に戻ると、コンテナの中で可愛い声で鳴いてせがんだ。「早く出して」と聞こえた。

出してやるとカワムラの熱烈歓迎に遭い、それぞれが軽やかな足取りで広い部屋のあちこちを駆け回った。しばらくは落ち着かないかも知れないが、もうどこへも行かないよ。ずっとここに居るんだよ。

カワムラの「アオン、アオン」の徘徊も、嘘のようにピタリと止まった。



手術の際、血液検査をして貰った。

他の子はそんな事はしなかったのだが、リマが生後2ヶ月位で検査してFIVの陽性反応が出て里親さんの話が流れたという経緯があったので、手術の後の感染症予防の気構えの為もあり、検査を勧められたのだ。

両方ともに検査して貰った。結果は、どちらもFIV陽性。引き取った時点で覚悟していた事だし、FIVだからって何なんだ?!という気持ちが強いし、これからも他のわが家の猫たちと隔離するつもりはないという気持ちに変わりはない。

尤も、過度なストレスを避ける為と、ルスとリマが持っているウィルス性の風邪を心臓に持病がある年寄り猫たちにうつす訳にはいかないので、2階と1階は隔離であるのだが・・・



サイトによっては堂々と「グルーミングによる唾液感染の惧れ」をうたっているところもあるのだが、随分と無責任な事を言っているなあ・・・と感じた。

唾液中のウィルスが噛み付いて直接血管の中に入るほどの濃厚感染がなければ感染は成立しないという事を、エイズ猫を長年他の猫たちと飼っている人はみんな知っている。



ちなみに保護猫は、里親さんの心情を考え、本当は必要ないと思いつつもきちんと部屋を隔離しているので、どうぞご安心下さい。しかし1ヶ月や2ヶ月の仔猫に血液検査はしませんけどね。

自分だけはエイズキャリアの猫なんか飼いたくないという潔癖症で無知な人には、そもそも差し上げるつもりもないのだが。

何度も繰り返し言うが、こういう直ぐには発症もしなければ発症しても直ぐに死に至る訳ではない、しかも極めて感染力の弱いレトロウィルスの感染症よりも、発作と共に死んでしまうかも知れない心臓疾患やどの猫であろうと決して免れることは出来ない腎臓の疾患の方が、ずっと苦しく怖いのだ。



しかしそれにも拘わらず、この稀に見る天使の心を持つ美しい姉妹が生まれながら持たされた運命を思うと、少し不憫で涙が出た。こういうハンディがあるからこそ、神様は他のどんな猫よりも美しい容貌と一点の曇りもない程素直な性格を与えてくれたのだろうか?

今後がどうあろうと、この子たちを何よりも大切にしてやりたい。楽しく幸せに生活させたい。



少しでも部屋が落ち着く雰囲気になるよう、家具の配置を色々と変えてみる。トイレの場所も、休憩用のケージ2個も、向きや置き場所を色々と変えてみた。

数十年分のホコリやススが出てくる。舅・姑の垢をどんどん洗い落とすつもりで、捨てるものは捨て(まだまだ捨てきれない量だが)、あちこちを徹底して磨く。体を動かすと暑くて、流石に汗が出た。しかし気持ち良い。

ギリギリ残した家具は、キャットタワー・キャットウォーク代わりになる目的で残しただけだ。

ソファなどは出窓に上がり易いよう、いざという時に隠れる場所が確保し易いよう、猫の都合だけを考えて配置を決める。ケージやたくさんの猫トイレの置き場所や向きも、当然猫の立場で考えないといけない。

お客が来てこれらを見たら変な部屋だと思うだろうが、それでいいのだ。人間の都合なんか糞食らえだ。



ルスとリマを私がどれほど愛しているか。他の子たちだってかけがえのない我が子だし、それぞれに大切で可愛いのだが、ルス・リマの存在はまた特別なものがある。健気過ぎるのだ、この子たちは。



そのルス・リマの元ママは、昨日こんなメールをくれた。今日避妊します・・・と報告したメールへの返事だった。

川口さんへ

ごぶさたしてます!
ルスリマも避妊手術する年頃になったんですね。お届けしてから6ヶ月以上経ったんですもんね。

先日、ルスリマの「産みのママ」とおぼしき長毛っぽい三毛ネコを捕獲して手術しました。(リマのちょっと長めの毛並みが似ている感じでしたし、顔もなんとなく…)

川口さんの掲示板でも相談させて頂いたのですが、この時期のメス猫の捕獲は「授乳中」かどうか、見極めが難しいんですね。おととい、ルスリマの故郷で捕獲した三毛は見た感じ「乳首が大きかった」ので、どうしようか迷ったのですが、「あそこはメスが共同で子育てをしてみんなで代わる代わるオッパイを上げている」という証言(無責任な餌やりオヤジ)を信じ、逃がさず手術しました。

今日、病院に引き取りに行った際、先生に恐る恐る「出産していたのか?」聞いたところ「1週間前に交尾したみたいで、まだ妊娠してませんでしたよ」とのこと。乳首が大きくなっていても、オッパイ自体が大きく膨らんでなかったら授乳していない。オッパイを使っている場合は、もっと毛の中から「もさっ」とオッパイが出ているそうです。「捕獲器の中から授乳中か見極めるのはなかなか難しいと思う。麻酔をして仰向けにしたら分かるけど・・・」と言われました。

じゃあ、掲示板で相談した「リリースした子」も…。と思いましたが、過ぎた事を後悔しても始まりません。次の機会を待ちます。

ただやみくもに捕獲していくのではなく、「猫のためのネコホカ」を勉強します!

実は、プチポンの小原さんたちと一緒に「野良猫が多い地区」で地域猫活動をしています。活動と言っても今の所、子猫の保護、治療、里親探しですが。子猫が一段落ついたら、母猫の避妊手術に取り掛かる予定です。(私と小原さんの家の近くなんですよ。とりあえずは自分たちの足元からやっていこうということで)

川口さんと出会えて「避妊去勢活動」に踏み出せました。それまではただ、「かわいそう」と保護して、里親を見つけるだけでした。それじゃあ野良猫は減らない。根本原因から解決しないと。とは考えていたのですが、なかなか腰が重くて・・・でも「やり出したら止まらない」ですね!

今では、繁華街(ルスリマの故郷に捕獲器を仕掛けに行く)を歩いている若者に「お前らも遊んでないで避妊去勢活動しろよ!」と心の中で説教してます。

目標「盛岡から野良猫をなくす!」に向けて自分の足元から固めていってます。

ルスリマは、川口さんに貰ってもらえて幸せ者です。彼氏と交代で、朝昼夜とガンバッテ看病したかいがありました。本当にありがとうございました!

まだまだ現役でいて下さいね。

夜、ミヨコの家に行き、帰って来るとリマは一瞬隠れようとしたのだが、直ぐにママだと解かって鳴いて駆け寄って来た。そのまま膝に乗ってくつろぐリマ。ルスも出窓から下りて来て寄り添う。

何ていじらしいんだろう?男が、いじらしい可愛い猫撫で声女にイチコロなのが解かる。私だって女は可愛い方が好きだ。何かと寄りかかるヤツは男も女も嫌いだから、表面的に付き合うだけだったら素直で可愛いに越した事はない。

猫は・・・可愛かろうと憎たらしかろうと、どちらも愛しい。当たり前だ。



映画【八甲田山】的に言うと、この子たちは私の命だ。

全てに優先して全力で守る。結果を突きつけられて動揺こそしなかったものの、多少感傷的になっているのかも知れない。しかしそういう精神的カラクリだとしても、それがエネルギーに変わっているのも事実だから、この心の揺れもまた自分の生きる力に変えるのだ。



今夜も里親募集の掲載依頼がたくさん届いているけれど、日曜の夜なので即日処理はご容赦下さい。

具合の悪い子たちも抱えており、この時期ご相談も多く、私ももはや時間一杯です。月曜日から寝不足の顔で出勤したくないので、明日以降またコツコツと編集して載せさせていただきます。宜しくご理解の程、お願い申し上げます。(見てくれてないよね、こんな日記まで)

前日の「猫雑記」へ 翌日の「猫雑記」へ


月別INDEXへ戻る

「猫雑記」INDEXへ戻る

inserted by FC2 system