アイン

くっきり

Jul.29,2003
世の中には、一握りの天才と数少ない才能ある成功者と多くの凡人とかなり多くのクズがいる。クズの話はどうでもいい(時間もないし、不愉快だ)。

ある午後、ふとした言葉の閃きが頭の中に起こり、「これは!」と思って浮き立つ心で先ずは煙草に火をつける。楽しい時ならではの楽しい習慣のひとつでもあるからだ。深々と煙を吸い込む事を続けているうちに、「閃き」はその言葉の意味する如く、一瞬でその輝きを失っている。形を成さない言葉は、また闇の中にモヤモヤと広がりながら沈殿してしまう。これはひとつの喩えだが、私はそういう凡人である。そうして今がある。

才能ある成功者の場合、そこで煙草など吸わずに・・・あるいは煙草を好むとしたら、場所を変えて煙を吸う事など選ばずに、閃きに形を与える事を模索しながら、キイボードに灰を落としつつも、その閃きが奔流となるプロセスを辿れる。それは努力とも呼べるだろうし、そう意識せずに努められる事自体が才能であるとも言える。

天才の事は良く判らない。身近に殆どいないからだ。結婚生活1年余りで別れた最初の夫は、この天才に近い男だった。彼には「プロセス」すらも必要ないように見受けられた。ある分野に於いて、彼の脳は異常に短い回路で真理を見出した。数学や物理、計算学、そして哲学に極めて近い科学分野に於いて。しかし長年極めて親しく付き合っていたにも拘わらず、私が彼を理解出来ていたとは言い難い。結局のところ、彼の未成熟でロマンチストな少年期にのみ恋させる(あるいは、そう錯覚させる)事は出来たにせよ、彼はある時期から何を見、何を感じ、何をしたいのか私には判らなくなっていた。彼にしてみれば、私もまた理屈を超えた獣のような不思議な存在だったかも知れないのだが。

彼の話もまた、どうでも良い。多少の懐かしさは否定しないが、今では何ら痛みもなく、単なる過去の事実として思い起こすだけだ。他に天才に極めて近い人間を知らないというだけで、彼の事を書いてしまっただけだ。不明晰な啓示は、こうして更に密度を減らして拡散してしまう。それが凡庸な能力しか与えられず、またそれを磨こうともしなかった私の在り方だ。

自分の凡庸さを嘆いている訳ではない。そして開き直ってしまうつもりもない。クズの仲間入りをしないで済むよう、辛うじて「ここ」に踏み止まっていられるよう、実は日々精一杯の精進をしているのだという事を認めない訳にはいかない。従って、決して食い物にのみ心を砕いている訳ではない(かなり砕いているだろうが)。仕事もサイト運営も、凡人が自分の最低限の誇りを失わずに済むべく、苦しさを楽しみに変える錬金術を使っているだけだ。

ゴマ

マルコのキス

Jul.29,2003

体調が悪いままだ。仕方なく病院に行く。ハヤカワ先生は憎らしい事ばかり言うけど、とても名医だ。そして薬の説明も症状を引き起こす原因も色々と説明してくれる。しかし話に夢中になっているせいか(医者仲間でもないのに、専門的な事を私が当然知っているという前提で話すのがちょっと困る)、採血など気もそぞろに見える。駆血用のゴムバンドなど、2度も床に取り落とした。しかし注射針を刺しても痛くない。いつも「上手だな。」と思う。

利尿剤を10日分(と言うより10回分)貰った。これが浮腫みが引かないようであれば、とてもマズイ。兎に角、ここ数日またまたオシッコが出なくなっているので、調子悪くて当然だろう。今日は気持ち悪くて仕方なかった。おまけにエサ場に行くと、新たにベンツを停めるスペースを作った傍らに、明らかに人間のものと思われるウンコが2つもしてあった。何故にこんな所でする?!道具がなくて、とても片付けられるシロモノではなかった。

しかしあそこで野グソを見つけたのは初めてではないのだ。これで3度目か?もの凄く臭くて、とても近寄れない。管理人は片付ける意志がないのだろうか?猫のウンコが臭いと文句を言う猫嫌いに、あのウンコを嗅がせてやりたかった。人間のウンコもここまで臭いよ!と言って。猫のウンコは片付けるが、人間のウンコなんか触りたくない。

昨日一時預かりのお願いを呼びかけた、夜は会社の外に出されて保護されていた茶トラ君は、ナカムラさんが直ぐに預かりの名乗りをあげてくれた。今日、既に彼女の手元で可愛い写真を撮って貰っている。病院で健康診断も済ませて貰った。良かった。有り難う、ナカムラ@お初キン●マ。預かりボランティアは簡単な事じゃないだけに、本当に感謝してます。

ちなみに私の周囲の預かりは「ボランティア」だと思って下さっているので、ご飯代から通常の治療費まで全て預かりさんが負担してくれる。お金を払えば大事に預かってくれるならそれも頼みたい位だが、そういう問題ではない。もちろん、多額の医療費がかかる場合はみんなで支援したいと思う。うちだって無料で預かって、搬送からヒコーキ代から自腹で里子に出す。そういうのが善意の預かりだもの。

また雨が強く降り始めた。今頃あのウンコは雨に打たれて、周り中に広がっているのだろうか?片付ける事が出来なかった自分が情けない。砂でも撒いて処理しない事には、とてもじゃないが酷い臭いだった。絶対に同じ人間がしていると思う。嫌な町だ。しかしアカやゴマ、カワムラやハナクソは、あの町で生きていたのだ。

帰ろうとすると、よりこが歩いているのが道の反対側の遠くに見えた。もうこっちの汚い一角には近づかないようだ。ご飯も殆ど減らなくなった。何とかしてエサ場を変える心づもりをしなくちゃ。もうアソコは駄目だ。ほとほと愛想が尽きた。ハナクソも姿を見せない。気分が沈む。

やっと晩ご飯を終えたところで、まだ直ぐには眠れそうもない。

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