ペリー

ひんやりトレイの上

Sep.5,2003
昨日、掲示板で全国を騒がせた相談は、本人からのメールでうちの意外と近いところ(港北区の大倉山あたり)である事が解り、これはもう、うちが引き取るしかないと決意して電話を入れ、今夜引き渡して貰う事にして家を出た。私の口調は大変にきつかったと思う。頑張れない人の相談は、出来たら受けたくないのだ。ストレスで、道中に5本も煙草を吸ってしまった。いつもは1時間の道のりで、2本も吸えば充分なのに。

道中ずっと、これからどうすべきかをシミュレーションしていた。何たって、シミュレーションチームだからな(意味不明だろうな・・・読んでいる人には)。

先ず授乳の必要がある大きさの仔猫であるという点、頚動脈のあたりを噛まれているらしいので容態がかなり悪いという点、それを考慮すると、たくさんの人が預かりを申し出てくれたけれど、とても長距離の移動は出来そうもない。大倉山からうちまでだったら、駅にして2つだ。私が引き取るのが正解だろう。こうちゃんには、また負担を増やして申し訳ない。私もサイトを縮小してでも、猫たちに手をかけてあげる時間を増やそう。エサやりは交代で行こう。寝るのも交代で、更新は週末だけにして・・・と、色々とプランを考えていた。

ラボに到着してエサやりと水撒きをし、30分ほどで今日の仕事の段取りをつけてから、9時になるのを待って件の動物病院に電話を入れた。私が引き取る事にしましたので・・・と申し出て、詳細を色々と確認させて戴いた。その仔猫は、外に出しているオスの飼い猫がくわえて連れて来たものだという。傷は首の頚動脈のところだけ。それでは、やはりそのオス猫がハンティングして、飼い主に「お土産」として持って帰ったのでしょうね?と訊いてみると、「そういう事でしょうね。」と先生も言う。

首の筋肉が噛み切られているので口が閉じられず、ミルクも飲めないと言う。まだ生後5日ほどの赤ちゃん猫だったらしい。どんなに性格の良い愛らしい猫だろうと、ハンティングは猫の本能だ。うちの天使のような猫たちだって、室内でゴキブリや蜘蛛を惨殺した事があるし、窓を開けていて入って来た蝶々も胴体だけにしてしまったし、イモリの尻尾だけを発見した事もある。ジーコはベランダのプランターから大きなカマキリをくわえてお土産に持ち帰り、寝そべっていた私の髪の毛の上にそっと置いたので私は気づかず、猫たちが私の頭を囲んでハンティングしようとしているのでやっと気づいたというエピソードもある。

ネズミが出れば、猫は当然襲うだろう。猫族は、食べなくても狩りをするのだ。だからと言って、猫を責めたり叱ったりいるのは間違いだ。それは本能なのだから。

しかし、あれだけ大勢の人たちを心配させ私を眠らせずに苦しませたにも拘らず、その仔猫は昨夜のうちに亡くなってしまっていた事を告げられた。ずっとこの事を考え続けて覚悟しただけに、何が起きたのか俄かには飲み込めなかった。頭がボーッとした。その後、頭の中で半鐘を鳴らされているかのように、ガンガンと脈打って痛み始めた。

聞くと、飼い猫がハンティングして来たのは初めてではないらしい。最初の時は、既に死んで運んで来たと言う。このまま外に出し続けていたら、また犠牲を出すばかりか、交通事故のリスク、病気感染のリスク、そして近所に迷惑を掛ける可能性も高い。飼い猫は、きちんと完全室内飼いをするのが、少なくとも都会では常識だ。これは猫の為でもあるのだから。昨日からの展開を鑑み、外飼いを続ける限りは貴女を告発する事も辞さないと言った。

一戸建ての家に親と子供がいては、よほどの努力をしない限り完全室内飼いに切り替える事は難しいだろう。しかし感心した事には、その後きちんと掲示板で謝罪をしていたし、努力して室内飼いをするとも言っていた。是非実践して欲しいし、今回の事を無駄にしないで戴きたい。じっくり考えた末、うちに来るはずの子だったのだ。あまりの結末に、外に出てついみょーこの職場に電話をしてしまった。人の職場になど電話するのは慎んでいるのだが、悲しい気持ちを紛らす必要があった。

負担を増やす事になっていたので、一応こうちゃんに電話して結果を報告した。「そうか。後味が悪いな。」と一言だけこうちゃんは言った。

さて、私たちはこの事件から何を学ぶべきだろう?いや、私個人は今後ここ数日の一連の事件から、何か教訓を得ただろうか?問題を相談するアプローチの方法は間違っていたとしても、それを知ってしまった私が無視を出来るかどうか?多分、それは出来ないと思う。性懲りもなく、手と口を出すのだろう。頑張っている人の1匹も、放棄しかかっている人の1匹も、重さは同じだ。他生の縁でたまたま知ってしまった命を助けられるようにと、私が出来る事をする事は、きっとやめられないのだろうと思う。馬鹿だし・・・。

明日にも、《Catpeople Net Magazine》に新しいメンバーが増える予定。頑張り屋の若い女性だ。ちゃんと紹介出来る状態にしたら、きちんとご報告したいと思う。乞うご期待。

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