ミュウ

愛してる

Oct. 1,2003

今夜、ミュウが大きな発作を起こして死にかけた。心臓だと思う。アインの心筋症の発作と全く同じ状態に見えた。急いで獣医の自宅に電話して、利尿剤を注射すべきか訊いてみた。しかし本当に心臓なのかどうか確認がとれなければ、注射すべきであるとは言えないと言われる。

ミュウの場合には慢性の肺炎があり、3年前に既に片肺の半分が真っ白だった。今までにも、断続的に咳の発作が起きていた。それをなるべく進行させないように、少しでも炎症を抑える事に腐心して来たのだった。

今夜、帰宅してPCを立ち上げたら、掲示板でまた仔猫を保護して預かって欲しいという内容の書き込みがあった。保健所という言葉には、どうにも腹立ちを隠せない。厳しい返事をしてから、それでも助けたいのであれば電話を寄越すように書き込んだ。そして電話が入った。

既に何人もの人が、自分が預かると名乗りをあげてくれていたので、仔猫が姿を消す前に引き取りはしたいので、同じ松戸市内に住むアジャパー西村に保護に駆けつけて貰い、横浜からお初キンタマに迎えに行って貰い、預かって貰う・・・という計画を煮詰めて行った。私が掲示板を覗く前に名乗りをあげてくれたぴょんちゃん、そして和田さん、ツナミさん、有り難うございました。西村さん、直ぐに動いてくれて有り難う。遠くから迎えに行ってくれているお初ちゃん、有り難う。

そんなこんなで、あちこちと連絡し合っている時、こうちゃんが切羽詰まった感じで私を呼んだ。「ミュウちゃんが変だよ!」

ミュウの息はとても荒く、心臓か肺のあたりからお腹にかけての広範囲が、非常に速い動きで膨らんでは萎む事を繰り返している。鼓動が、身体を何センチも膨らませている。鼻の穴が広がり、口を開いて息をしている。ミュウまでが心筋症なのか?!それで思い余って、利尿剤を急いで打った方が良いのか獣医の自宅に電話してみた・・・という訳だ。

先生は、診てあげたいけれど、今夜は駄目なのだと言った。私はそのままお礼を行って電話を切った。呼吸困難になっているとしたら、もう末期症状なのだと言われ、処置なしなのだとしたら、見守り、祈るしか出来ないのだから。こうちゃんと二人で、手をミュウにあてて話し掛けた。愛してるよ、大丈夫だよ・・・と。

1時間半ほど経ち、呼吸が少し落ち着いたようだ。途中、仔猫の件で電話をくれた和田さんにもツナミさんにも、余計な心配をかけてしまった。ごめんなさい。ミュウは今、まだ苦しいのか、自分で少しでも気道が広がるような体勢を作って、安静にしている。猫ベッドの縁に顎を乗せて、喉と胸を広げるようにしているのだ。猫は賢い。自分が今どうすべきなのかを、ちゃんと知っているのだ。

傍に密着していたのだが、私が触れてしまうと、ミュウはそれに応えようとしてしまう。結果、また動悸が激しくなり、呼吸が苦しくなるだけなので、今はなるべく私の近くに猫ベッドを移動させて、静かにさせている。見守ってやるしかないのだろう。いつかは命が尽きてしまう事を覚悟しているつもりでも、まだ早過ぎるといつも思う。まだ早過ぎる。

アメ汰の里親さんの長男ケイタ君が、掲示板を見て可哀想だから何とかしてあげたいと泣いたそうだ。そして自分で辞書をひきながら書き込みを読み、自分の思いを書き込んでくれた。あとで一件落着した事を電話でお母さんに話していたら、ケイタくんは、自分のお小遣いを数えては松戸の地図を見ていたという。なんていじらしい。アメ汰の元飼い主めぐちんこの息子さんの書いた「にゃーちゃんとぼく」という作文も読ませて貰ったのだが、子供ってなんて健気で可愛いのだろう。

ケイタくんの弟ショウタくんは、カワムラがとてもお気に入りで、うちの子にしたいとまで言ってくれているそうだ。茶色の縫いぐるみをあてがってやったところ、カワムラ、カワムラと呼びかけて、抱いて寝ているそうだ。こんな話を聞いたら、カワムラを里子に出しても良いのでは・・・とすら思った。カワムラは確かに素晴らしい猫だ。どこへ出しても恥ずかしくない。蓄膿で息は臭いし、歯抜けジジイだが、自分の猫だから可愛いのではなく、尚且つ偏見を持たずに見れば端正な顔立ちだし、こんなに性格の良い猫はまたといないだろう。

ともあれ、人の情けと子供の愛らしさを思い知った一夜であった。ミュウは壁を向いて、喉を真っ直ぐにして休んでする。まだ動悸も激しいし、呼吸も苦しそうだが、一時のうつろな瞳ではなくなった。これでもちなおすと信じたい。どうか、ミュウの命がまだまだ尽きませんように。私はクリスチャンだもの誰に遠慮する事なく神を信じていると言えるし、堂々と祈るさ。神様、私からミュウを取り上げないで下さい。

どの子も全て等しく可愛いけれど、ミュウは特別なのだ。私がこうしていられるのは、ミュウがいてくれるからだと思える。私は、私が望んだものは全て手に入れた。愛する猫たちとこうちゃん。それだけで充分だ。最悪、インプレッサだって要らないし、サイト運営だってやめても良い。いつかは果てる命だと覚悟しているつもりでも、まだ早過ぎるよ、ミュウ。あんたは私の一部なんだから!私は優しくなんかない、ただ単に「持つ者」としての余裕で、人の世話をしているだけなのだとつくづく思った。愛する者を失ってでも人に優しくなれる程、きっと強くはない。

以下は、ミュウの発作が起きる前に書いていた部分。気分が萎えてしまったので消してしまおうかと思ったが、思い直して残す事にする。暗い話題で終わりたくないしね。

今朝もぶーちゃんは出て来なかった。昨日帰りがけに物陰に置いて帰ったご飯のトレイを洗おうとすると、ジャーキーが何本か入っていた。あ、アライさんが子供達と来てくれたんだ・・・と思った。アライさんの家は、ラボから自転車で5分。真ん中の女の子は、もう全部の猫を識別して名前を呼べると言う。子供が近づくと、私やアライさんの時とは違って逃げてしまうそうだが、早く猫たちも子供に馴れると良いね。

朝晩の気温の変化が大きい。今朝も明け方は寒かった。こういう季節には、人間も猫も具合が悪くなるものなのだろう。私もミュウも喘息があるので、辛いね、特に夜は。

太陽が昇ると次第に温度が上がり、昼間の日向は暑いくらいだった。しかし湿気はない。行楽日和だな。私はどこへも行かないけど、行った人の話を聴くのは割と好きだ。いつもは地図を眺めて想像しているだけの場所に、言葉でイメージが加わる。

地図を見るのは(地図を読むと言い換えても良い位、じっくり見るのだが)もう宿命的に大好きで、例えば酒の肴に地図を見るほど好きなのだ。山の中の、等高線と山の名前、消えていってしまう1本道しか描かれていないような場所ですら、地図を見ていて楽しめる。これは一種の才能かも知れない。それとも何かが欠落しているのだろうか?

昨日ケイト・ブッシュを契機に学生時代に聴いていた音楽の事を色々と思い起こしてみると、当時聴いていたものは圧倒的にイギリスのものが多い。プログレッシヴ全盛期に、多感な少女時代を過ごしたせいか。当時のプログレッシヴロックは、ブリティッシュロックとかなり共通項であったのだが、当時のプログレ好きとしては、「ブリティッシュ」でなければ「プログレ」とは呼んで欲しくないと思うのはマニアの奢りか。

最初にEL&Pを聴いたのは、既に5枚目のアルバムとなる『恐怖の頭脳改革 Brain Salad Surgery』(1973年)だった。アルバムジャケットのデザインは、エイリアンのデザイナーとしてその後アートに興味のない人にまで有名になってしまったH・R・ギーガー(公式ウェブサイトあり)の出世作である。観音開きのアルバム・ジャケットには機械の一部としての骸骨が描かれ、扉を開くと中から現れるメデューサの顔。彼女の閉じられた目が開く時、何が起こるのか・・・といった感じの演出に思える。しかしこのジャケットのデザインは、決して虚仮威しではない。

内部

このアルバムは音楽的にも、当時としてはズバ抜けていた。多重録音で重厚感を出していたクイーンとは違い、たった3人でライブでも再現出来る演奏方法であの重厚でダイナミックなサウンドを作り出しているのは、当時まだ黎明期であったモーグのシンセサイザーという武器を得た事によるものと、両手で別々のキイボードを演奏するようなキース・エマーソンの技巧や、彼のジャズもクラシックもロックも包含した複雑な曲の展開と奔放で洗練された旋律、更にはグレッグ・レイクの包容力ある音楽性とギターテクニックが支えるところであろう。カール・パーマーの叩くパーカッション・シンセサイザーやドラムは、実はあんまり強い印象がないのだが、あの二人(キースとグレッグ)に付いて行けて邪魔にならないのだから、当然上手いのだろうし、気合いも必要だっただろうと思う。

EL&Pがズバ抜けていた・・・と書いたら誤解があるかも知れない。「プログレ」の四天王として並び称されたキング・クリムゾンやイエス、そしてピンク・フロイドはどうなるのか?いずれも嫌いではないし、ピンク・フロイドの『狂気』や『炎』、『おせっかい』などはいまだに時々聴いている位、多分一生の友となろう。それぞれの音楽性が違うので、イエス以外のどれを好きとは言えないが(スミマセン、イエスはプログレと言うにはちょっと私にはポップで・・・)、EL&Pに特有の硬質な音、サディスティックと言っても差し支えないような突き抜けた音・・・それが「抜ける」という言葉を使って評価するにピッタリなのだ。

プロフィールに好きだと書いた位だから、いつかはちゃんと書いておきたかった懐かしのグループなのだ。猫と全く関係ない頃の、音楽浸けだった頃の思い出。でもギーガーのサイトを見ていたら、ムラムラとギーガーの絵が欲しくなり、つい来年のカレンダーと画集を買ってしまった。注文したのはAmazonでなんだけど。

さあ、 今夜はカワムラじゃなくて、ミュウの傍で過ごそう。テトの状態も落ち着いているし、今夜はミュウをずっと見ているからね。安心して眠りなさい。

前日の「猫雑記」へ 翌日の「猫雑記」へ


月別INDEXへ戻る

「猫雑記」INDEXへ戻る

inserted by FC2 system