ミュウの優しい顔
Oct.10,2003
2003年10月10日(2)
朝の7時頃から、ミュウを抱き抱えるようにして添い寝した。ミュウの身体はまだほのかに温かく、柔らかい毛に触れていると、いつも通りに一緒に寝ているだけとしか感じられない。こうちゃんと川の字で1時間ほど寝た。いつもだったら私とミュウの間にジーコとアインが次々と割り込んで来て、ミュウは結局追いやられてしまうのだが、今日は誰も邪魔に入らなかった。久し振りで、目覚めるまでずっと抱いていられた。

ミュウの表情は、時間が経つにつれ、死んだ直後よりもますます穏やかになった気がする。こうちゃんが、毎日替えているお供えの水を見て驚いていた。半分も減っていたのだ。毎日替える時には、殆ど量が減っていないのに。ミュウちゃん、お水を飲んだんだね。昨日は、お水も飲めなかったからね。

以前、ここでお通夜の事を書いた。線香は、もしかしたら遺体の腐敗臭を紛らす為の先人の知恵だもあったのではないかと思う・・・というような事を書いた。すると、闘病中の猫を抱えた人から激しい抗議のメールが届いた。現在闘病している子がたくさんいるだろうに、そういう人の心をえぐって、自分の心の痛みを減らすのは楽しいですか?という言葉があった。同じ人からは、私の日記に以後そういう事を書くなという要求もあったし、掲示板でのミヨコの言葉・・・たくさんの野良猫を見送ってきたミヨコの辛さ・悲しみなど知りもしないで、ミヨコの「猫たちの死を経験する事も大切な事だ」という内容を削除せよとも言ってきた。どうやらヒステリーらしい。

私は婉曲表現で以って同じ現象にオブラートをかける事は嫌いなので、物事は出来るだけ端的に言い表したいと思っている。「腐敗臭」や「死」という言葉が、闘病中や亡くなったばかりの子を抱える人の心を仮に傷つけていたとしても、それは致し方ない事だと思っている。私が気に入らなければ、黙ってこんなしょうもない一個人のサイトを覗くのをやめて戴ければ幸いだ。

私のミュウを失った痛み・悲しみは、決して誰とも分かち合えない。こうちゃんとだって、それは不可能なのだ、こうちゃんの悲しみもまた、私では癒せない。いつも人の痛みを理解しようと最大限努めてはいるものの、決して軽減させてあげる事など出来ないのだろう。

ミュウとのお別れをしている時に、誰かが「死」だの「腐敗臭」だの「自家溶解」だのと言ったり書いたりしているのに触れても、そんな事で私の心が傷つけられる事はあり得ない。そんな子供じみた過敏さは捨てているし、だからと言って私個人に向けて罵詈雑言を何度も送りつけるとしたら、人の心を云々する資格はない。先ずは自分の言動から慎んではどうか。自分に対して甘いのは見苦しい。

正直言えば、一緒に死にたい位にミュウを求めている。ミュウがいなくなる事は受け入れられそうもない。焼いてしまうのも辛い。永久にこのまま私のベッドに寝かしておきたい。冷やす事すら可哀想で出来ない。馬鹿だとは思うが、むしろ暖かくしてやりたい。だから今日の午後、もう焼いて貰う手はずを整えた。こんなに綺麗なままのミュウの姿を、忘れないようにしたい。

3時にお迎えが来て、一緒に行かせて貰い、立ち会いで個別葬して貰ったら、お骨を拾ってそのまま持ち帰る事にした。あまり遠くない神奈川区にあったので良かった。うちの子は皆、車で遠くまで移動するのが嫌いだから、遠い火葬場では可哀想だ。

マツモト先生にも朝一番で電話で報告したが、名乗ると直ぐに事情を察して下さった。「お力になれなくてすみませんでした。」先生はそう言って下さったが、充分過ぎる位に力になって戴いた。野良猫の避妊手術がたてこんでいると言うのに、時間外でも嫌な顔ひとつせず処置して戴け、私たちの気が済むまで最善を尽くして下さった。奥さん先生は、私の身体も気遣って下さっていた。腫れあがった私の顔を見て、「寝ていらっしゃらないんでしょう?」と言葉控え目に、押し付けがましくなく心配して下さった。お骨を持ち帰る帰り道だから、ご挨拶して来ようと思う。

ミュウを失う日がいつか訪れるだろうと想像しただけで悲しく、それはミュウと暮らし始めた最初の頃から、それだけで眠りに落ちるまで泣いた事も何度もある。その日の事を思うと、それが一番恐ろしかった。でも、もう失う心配をしなくても済むのだ。これからは永久に一緒なのだから。私の心は、ミュウとこうちゃんのものだ。もちろん他の子たちも、何度も言うが掛け替えのない大切な子供たちだ。しかしミュウが特別である事を明言しても、誰にも責められないだろう。(誰に責められたって、私は平気なのだが。)

私の不幸を待ち望んでいた人たちというのがいる。そういう人たちから、どれだけいわれない事を誹謗中傷され、非常識な時間に電話までよこしては罵詈雑言を聴かされた事か。「貴女は悪魔だから、貴女にだけは何を言っても構わない。この事を『猫雑記』に書く時は、ハンドルネームじゃなくて本名で書いて下さいね。」と言っていた情緒不安定な人もいたっけ。しかし残念だったわね。ミュウは私と永遠に一緒だから、これは不幸でも何でもない。身体が失われるだけで、ミュウは永遠に私の傍にいる。幸せを貰いこそしたが、何も失ってはいない。姿が見られず、触れなくなる事は悲しいけれど、今夜からもミュウは一緒に暮らしていくのだ。

さあ、お迎えが来るまでは、いっぱい撫でさせて貰うよ。私のミュウ。

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