ジャム

光と影シリーズ

Jan.23,2004
2004年1月23日 金曜日
この冬一番の冷え込みだという。なるほど寒かった。予め予想していたので、猫たちのいる3部屋ともに暖房はつけておいた。毛の生えている動物だもの寒さには強いだろうが、実際のところ猫は寒がりだし、寒くなればクシャミをしたり、寒さによる免疫低下で風邪をひく猫も多くなる。エイズキャリアの子たちに、風邪をひかせたくない。既に体内に風邪のウィルスを持っているだけに、それが発症しない為の努力をしてあげないと。

風邪そのものは、個体がウィルスや細菌に感染しない限り、寒いからといってひく訳ではないと学者が言っているのを聞いて、目からウロコが落ちる思いだった。しかし冬の風邪のウィルスは、乾燥に強いという。もっと洗濯物を室内に干そうかしら。兎に角、猫たちの為には、部屋をあまり寒くないようにしておきたい。畢竟、電気代とガス代をあわせると、この季節だけは支払いが10万円は軽く超える。どれ位超えるかは、驚かせるし呆れさせるので秘密だ。

しかし戯言を言えば、自家発電したいよ。装置にお金が掛かるから無理だけど。庭に油田だって欲しいよ。温泉が湧くのでももいいかな。それとも庭に大量の大判・小判が埋まっているのを感知したいずれかの猫が、「あそこ掘れ、にゃんにゃん」と言ってくれるともっと嬉しい。でも、庭はもはやコンクリートを流して固めてしまったのだった。

今朝のラボは慌しかった。朝の9時から、「偉い人」が視察に来る事になっていた。ご一行様が来る前に、早めにエサやりしてしまわなければいけない。風が吹くと、物凄く寒い。昨日の帰りには、少しでも風が当たらない所に・・・とあちこち茂みの中を彷徨って置いたフードと水だったが、水の皿に残っていた水は薄氷が張っていた。結局、外はどこだって寒いんだよな・・・。

時間が早いので黒の長毛「黒岩さん」は出て来なかったが、みーちゃんはシーバも缶詰も食べてくれた。先ずは一安心。知事でも首相でも王様でも来い!だ。しかし夕方には捕獲を予定しているので、ご飯の与え方が難しい。本命は「サクら」ちゃんだが、風邪っぴきの食いしん坊「黒岩」さんでもいいし、避妊済みのみーちゃんがもし仮に再度捕獲出来た時には、何とか今後の事を考えたいと思う。

「偉い人」の視察は、超特急の過密スケジュールのようだ。ロボットの見学が10分、所長からのデモンストとレーションが10分、いずれもかなり熱心に聞いている感じがしたし、質問もコメントも発していた。流石、話題の「やる気」ある若い世代の「偉い人」だ。しかし先端科学も結構だが、野良猫問題にもっと取り組んでくれると良いなあ。

ロボットの説明を聞く偉い人

Kハラさん「僕達も大人になったら、偉い人になろうね!」
Iノウさん「ダメだよ、僕達は地球ボウエイグンだもの。ホラ、肩章も光っているし・・・」

視察も無事終わり、たまには真面目にポーズをとるはずが・・・
(注:三人とも研究者です)

まあ、肩章は確かに光っているけど・・・

Hダさん「いやん、あたし怖いわ・・・」

どちらでも、お好みの●をお使い下さい

Kハラさん「Uダさん、愛してるよ」
Iノウさん「うふん♪僕も愛して〜」


午後になると、夕方の捕獲を思って落ち着かない。昨日のように日暮れ時に風が強いと、誰も出て来ないのではないか・・・しかし今週は捕獲を延期したくない。お目当てのサクらちゃんはやって来るだろうか?彼女は不思議な事に、木曜と金曜にしか姿を見せない。車の下に置いたご飯の容器は、すっかり食べ尽くされている。追加したいが、捕獲を成功させるコツは、空腹にさせておく事だ。

必死で我慢していたが、3時半過ぎに黒岩さんがみーちゃんを追いかけようとしていたのを見て決意した。今日は黒岩さんを捕獲だ。彼は抱っこも出来る。呼べばお腹を見せてゴロリと横たわるような子だ。目やにとクシャミが出ているので、風邪の治療として抗生物質入りのご飯をあげたが、そんな事にこだわらずに全部食べ尽くすような大らかな子だ。黒い毛がかなり茶色く日焼けしていて、白髪も出ている。シラミの卵が背中の長い毛の中頃にびっしり付いている。皮膚疥癬もありそうな、ゴワゴワした耳だ。よし、彼を何とかしたい。

しかし簡単なものだった。抱いて捕獲器にそっと押し込み、手で扉を閉める。傍で見ていたアライさんが笑っていた位、あっけない捕獲だった。強風でシーツが飛んでしまうのを、アライさんに手伝って貰って捕獲器を包む。車の後部座席にアライさんが捕獲器を大事に抱いて、入れてくれた。仕事が終わるまで、そこで我慢していてね。

終業時刻にパッと出て、週末で渋滞する道を帰って来た。黒岩さんは、時折小さな声で鳴いていた。ぶーちゃんの声と鳴き方にそっくりだ。やっぱり兄弟なのだろうか?でも黒岩さんは、ぶーちゃんより何歳も年上に見える。声だけ聞いていると、つい「ぶーちゃん、あと少しの辛抱だよ」といいそうになる。1時間15分かかって家まで戻り、クラクションを短く鳴らしてこうちゃんが出て来るのを待つ。

別に一緒に行かなくても良いのだが、こうちゃんも一日中ノートPCに向かいっきりだし、気晴らしの為にも一緒に病院まで行く事にしていたのだ。どうせ家は職場から病院の道すがらにあるのだし。病院の駐車場に車を停め、捕獲器を抱いて持ち込む。先生に色々と伝達事項を話し、「疥癬もありそうですね」と言われて、「疥癬でもシラミでも、風邪の治療のインターフェロンでも、兎に角先生が気づいた事は何でもしちゃって下さい!」とお願いして帰って来た。

ゴマ

光と影シリーズ

Jan.23,2004

このへなちょこな私は、果たして黒岩さんをリリース出来るのか?

そんな事を言っていたらキリがないのだが、リリースする事を考えると辛い。リリースした後はもっと苦しい。しかしどこかできちんと線引きしなければ、自分も破滅するし、他人にも迷惑と心配を掛けるのだ。そういう事を続けられる神経では居たくない。

全て経験値から解かっている事ばかりなのに、いつまで経っても慣れない。人間は機械にはなれない。

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