ゴルゴとカワムラさん

Feb. 14, 2004
004年2月14日 土曜日
アインは一進一退。2月に入ってから、よく知る猫の訃報が2件届いている。いずれも私自身にも思い入れのある子だったので、飼い主には遠く及ばないとしても悲しみは大きい。でも家猫として愛されて逝ける子は幸せなのだ。飼い主は猫と共に苦し喜び、その存在を全身全霊で求めてくれる。

何時の間にか姿を見せなくなる野良猫は、一人で静かに旅立って行くのだろう。その時には、何を思うのだろう?ミュウの最後を思い出し、私を見ながら居ずまいを正し、声を出さずに「にゃあ」と鳴いたミュウの様子を昨日の事のように思い出すと、鼻の奥にエタノールを嗅いだようなツンとしたものを感じた直後に、バラバラと涙が出て来る。慌ててイメージを消す。今は悲しみに浸ってはいられない。私が死ぬ時にまだ惚けていなかったら、きっとミュウの事を存分に思って逝こう。

アインはまだ頑張れると信じているから、アインの為にはまだ泣かない。だけどこの辺で一度溜まったものを吐き出さないと、もうオーバーフローしそうだ。ちょっと何かの刺激を受けると、それは不必要な溢れ方をしそうだ。だから身体を動かしていなくちゃ。弱気になると、邪気に付け込まれるぞ。

黒岩さんは、昨夜のうちにウンチとオシッコをしていた。シーツの上でして上手に隠して、その上から踏みつけてペシャンコにしてあった。下痢ではなく良いウンチだった証拠だ。浴室に入って行くと、突進して来る。重戦車のようだ。小さなフード付きの猫ベッドでは身体がはみ出てしまうのに、ちゃんとそこで寝ていた。やはり飼い猫だったのだろうな。

テレサ・ちんから黒岩さんへのはなむけとして、3連のゴージャスなネックレスが届いた。ぶーちゃんとお揃いだ。黒猫は何色でも良く似合う。アライさんからは「黒岩さんの為のお買い物の足しにして欲しい」と言って、昨日お金を渡された。私とアライさんが二人で大切に守ってきた猫だものね・・・有り難く受け取らせて戴いた。

その為に二人で買い物に行きたかったのだが、アインから目が離せない。買い物はこうちゃんに頼む。ベッドの中で時々目は開いているのだが、沈鬱な表情でじっとしたままだ。今日は水も嫌がるけれど、時折強制的にスポイトで飲ませている。目の縁が黒くガビガビになっているので、アイオニックシルバーを含ませたコットンパフでそっと拭いてやる。一回り痩せた。横広の顔に、毛がふわふわと長めなので、写真ではなかなか解かり難いだろうけれど。

今日は電話相談が多い。誰からか紹介されたという電話もある。誰なのかは言わない。今後からは、どなたからのご紹介ですか?と訊こう。別に紹介者がなければ話も出来ないような偉い人ではないが、ある人の紹介で・・・というだけで済ませるのは、やはり少し違うと思う。何故隠す?

とほほな気分でいたら、ゴルゴさいとうから電話があった。彼女が代理で募集していた仔猫たちのお届けが、今日うちの極めて近い場所であったのだ。帰り道にわざわざ、バレンタインのチョコレートを持って来てくれたのだから泣かせるね。直ぐに仕舞えば良かったのだが、椅子の上に置いていたら、イオが袋をガジガジ噛んでいた。

カワムラが大好きだと言ってくれていたゴルゴだったが、カワムラも若くて美しい女性が抱いてくれたので、大変ご機嫌だった。ペリーには履いていた靴下を盗られ、唾液でベチョベチョにされてしまっていた。申し訳ない。風呂場で黒岩さんも抱いて貰い、ゴルゴは颯爽とサーフを運転して去って行った。とても華奢な身体に似合わず、車の趣味はダイナミックだ。頼もしいね、ゴルゴさいとう。しかも美人だ。見よ、上の写真を。祈りを捧げる聖女テレサのようではないか。聖女テレサに会った事はないけどさ(テレサ・ちんとは時々会うが)。

さて、黒岩さんはギリギリまで家に置いていたのだが、病院が20時までなので、「うちに置いておきたい」という未練を断ち切って連れて行った。既に電話で事情は話して1泊入院はお願いしてあったので、先ずはピアスを取り、ネックレスを「立派ですね」と褒めて戴き、ワクチンとフロントライン、駆虫をお願いする。黒岩さんは道中だけ少し心細げに鳴いたけれど、病院に着いてからは堂々たる態度だった。こんなに聞き分けの良い落ち着いた子は、うちにも1匹もいない。ミュウですら、もっと我儘だったぞ。

マツモト先生に、「ワダし馬鹿よね」さんと「よっぴネネ」さん、そして私からのチョコレートを渡して、黒岩さんとお別れをして病院を出ると、喜ばしい門出だというのに何故か泣けた。外はしっとりとした雨が降っている。今日は春一番が吹いたが、明日は寒の戻りがあると言う。

黒い子熊のような可愛い黒岩。歯抜けのジジイだけど、その性格の良さできっと可愛がって戴けるだろう。多分3ヶ月もしないうちに、立派な長毛の素晴らしい猫に変身するだろうね。辛かった野良時代の事は忘れて、うんと幸せになるんだぞ。新しい名前も付けて貰いなさいね。うんとカッコいいのをね。さよなら、クロイワ。短い間だったし、私の事などすっかり忘れちゃうだろうけど、私の方はアンタを忘れないよ。

黒岩ネックレス
黒岩アクビ

Feb. 14, 2004

浴室を片付けなければ風呂にも入れないのだが、黒岩さんの食べ残したドライフードやトイレの残骸を見るのがちょっと辛くて(へこたれだから)、今夜も風呂はパスだな。

昨夜は殆ど寝ていないので、アインを撫でながら今夜は少し眠りたい。

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