ルス
ミンク
May. 9, 2004 |
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2004年5月9日 日曜日
昨夜は豚の角煮を仕込んでおいた。5層構造の鍋も圧力鍋も使わず、普通の寸胴で煮込んだ。圧力鍋では短時間で出来てしまって実感がないので、時間と気持ちの余裕がある時にはコトコトと時間をかけて煮た方が楽しい。5層鍋は蓋のシール効果(水蒸気でシールされる効果というのかな?)が売りだが、その為にコンロに飛び跳ねが多くて長時間使うのはちょっと厭だ。
今日はキンタロウに面会に保護主のやなぎさわさんが来るので、その時間に合わせて私も行く事にしていた。断尾した湾岸猫のお迎えに和田さんご夫妻も病院に来るので、その前にうちで一緒に昼ご飯を食べた。多分、今年最後の筍ご飯と茗荷の吸い物、山うどの酢味噌ドレッシングに、うどの皮のキンピラ、そして豚の角煮を食べた。山うどに筍に茗荷に山椒・・・またしてもアクと香りの強いものばかりだ。香りのものが一切駄目なラボのヤマダさんは、どれひとつ食べられないだろうなあ・・・気の毒に。
角煮は白身がクリームのようにとろけて美味しかった。あれは脂身を美味しく食べる為の料理であって、煮込んだ赤身なんか単なるダシである。なるべく脂身の多い三枚肉を選ばないと美味しくない。そうでないと言う人がいたら、煮込みが足りず脂身が美味しくないはずだ。
急いで食べて、お茶を飲んでから出発。こうちゃんはゴマの動きが怪しいので、家に残って貰った。ゴマは今朝の4時にもベッドの真ん中でシッコしたのだが、急に留守番させてもシッコで文句垂れるので、こうちゃんに抱いていて貰った方が無難なのだ。
しかしそれで正解だった。午前中の診療時間の終了時刻(午後1時)を過ぎても、待合室には患畜が一杯。いつも病院でお会いするO町さんご夫妻もいらしていた。土日はいつも混むのだが、雨の日は幾分空いている。しかし今日は小雨降る中、私達の前にまだ犬1頭と猫2匹が診療を待っていた。どの子も可愛い。
待っている時間が長かったので、更年期のオバサン(私の事だが)は喉が渇いて仕方なく、近くのコンビニエンスストアに行って「クーリッシュ」というアイスを買い込んだ。病院の外の歩道に並んで、いい歳をした大人がズルズルとアイスを吸う。流石の私でも一人ではそんな真似は出来なかっただろうが、和田さん夫婦とやなぎさわさんにも付き合わせた。
昔はアイスなんか全く食べたく無かった。焼き肉屋のデザートとしてサービスされても、私は連れにあげるか残していた。実家の母が毎夜毎夜アイスが食べたいと言っては食べているのを見て、よくもまあそんなものが食べられるものだと呆れていたのだが、同じような歳になって私もアイスや杏仁豆腐がないと生きられない身体になってしまったようだ。これはもう、生まれた時に既にDNAにプログラムされていた事に違いない。妹だって、もうじき夜な夜なアイスや杏仁豆腐に狂うはずだ。同じ母親から生まれ、たった2歳しか違わないのだから。
キンタロウは、目の周囲の肉がえぐれてなかなか毛が生えて来なかったのだが、今日見たら肉が上がってきたのと、少し毛が生え揃ってきてとても可愛くなっていた。しかし耳と目からはまだ出血していて痛々しい。ワクチンも駆虫も済んだので、家猫と同じ扱いで大きな入院用ケージに入れて貰っていた。
私達を見ると、出して欲しいのか抱いて欲しいのか、兎に角夢中で突進して来てはスリスリする。ここまで人恋しいのか。改めて保護当時の話を聞くと、怪我の原因は交通事故とは思えない。顔だけに重症を負っているのだから。人間に警戒心を全く持っていない子だけに、虐待の可能性が高い。それ以上の事はとても想像したくないが、絶対にやった犯人がいるはずだ。
まだ目の手術の予定がハッキリしないのだが、また週末には会いに行くつもりでいるので、何か変化や動きがあれば随時ご報告するつもりだ。面会を終えたら、既に午後の2時半を回ってしまっていた。私を家の近くで降ろして貰い、やなぎさわさんを駅まで送って貰う事にして和田夫妻とお別れした。
日曜恒例の野良フードの買い出しと給油も済ませ、何だか疲れたので少し横になったら夢を見た。
和田夫妻と共に車に乗っている。坂が多い土地なので、パワーのある私の車を提供していた。「流石に良く上りますね」と和田二宮清純が言う。「そうでしょ」と私。但し、その車は大型のワンボックスカーで、車幅が道路の2車線分もある。このままでは、狭い道は到底走れない事に気づく。実は先日も、異常な規格の車に乗っている夢を見た。その時は車幅がジェットコースター並みの狭さで、車高がビルの3階建てほどあった。それはとても怖かった。今回は、車幅があっただけマシだが、対向車が来たらどうしよう?どうして私はこんな車を所有したのだろう?と突然不安になってきた。
なのに和田美人妻は、「カワグチさん、この近くに箱根の温泉地があるので、そこまで足を伸ばしましょうか?」と言う。「いや、もうそこが高速の乗り口だから、そのまま乗って帰ろうよ」と答えていた。
場面が変わって私は家の近くに用もなく佇んでいるのだが、ちょっと大きな地震があって心配になり家に戻る。複雑な間取りの家で、あちこちの部屋を移動しながら中庭を囲む部屋の一つへと落ち着くのだが、中庭を望む窓の外に雛壇のような巨石が置いてある。段々になったその石の上に猫がいる。一番上の段にいるのはミュウだった。慌てて窓を開け、抱いて室内に入れようとするのだが、その時にハタと気づく。ミュウは既に別世界にいて、手を伸ばしても触れないのだと。ミュウの姿は風格と威厳に満ちていた。その姿を見ながら、私は声を殺して泣いた。長い時間、泣いて泣いて、そして目覚めた。目覚めてからも、暫く悲しかった。
リマ
たぬき
May. 9, 2004 |
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