レン

ボクは大喰い

Oct. 20, 2004

2004年10月20日 水曜日

午前2時の給餌の直後、アインは激しく吐いた。その後、午前4時と6時は無事に胃に収まったようだ。カードリーダーでデジカメの画像を取り込もうとして媒体を差し込み、いざ転送開始という時に画像が破損する事が時々あると先日書いたが、あの時のハラハラと似たものがある。飲ませ終わってみないと、吐くかどうか解からないところが。

しかし画像なんか幾らでも撮り直せば良いが(同じものは撮れないけれど)、吐くのは相当しんどいだろうから(消耗するという他にも電解質のバランスも崩れるし、脱水も心配)こちらも辛い。吐かせない事が重要課題だ。2時間経ってもぐっすり眠っている時は、どうもヤバい。そいう時はタンポポ茶を5cc程飲ませてから、更に30分位おいて給餌した方が良さそうだ。しかしそうすると、一日にキドナを摂取出来る量が減ってしまう。ならばその分濃く作れば計算上は帳尻が合うのだが、口に入れて丁度良い濃さというものがあり、試行錯誤の結果今の濃さに落ち着いている。猫の栄養管理士としては、色々と悩みが尽きない。

朝までずっと起きている日が続き、お腹が空いて仕方ない。かつて広告代理店(兼マーケティング会社)に居た頃、毎日会社に泊まり込み(泊まると言っても寝られはしない)を余儀なくされた。ずっと起きていると、食事の回数がとても多くなる。ストレスも手伝って、夕飯だけで3回も食べた。

午後6時頃、会社の近くの居酒屋でホッピーを飲みながら焼き鳥やモツ煮込みなんか食べる。仕事中の飲酒だが、それが普通の事だった。夜中の1時を過ぎる頃、外にいる社長から毎晩電話が入る。「今、(ディレクターでは)誰が居るんだ?」誰と誰です・・・と答えると、直ぐにいつもの店(霞町の●ャン△ィだった)に来いと言われる。タクシーで乗り付ける。そこでスパゲッティやステーキを食べ(当然社長の奢りだった)、勧められるままワインをガブガブ飲む。

食べさせる事が目的ではないのだが、主に食品の開発や宣伝をしている会社だったので、社長は企画開発をする私達には美味いものを色々と食べさせたがった。それも繰り返し繰り返し食べ、自分でいつでも再現出来るようにしろとも言われていた。再現とは、頭の中でイメージして口の中に味が広がるというだけでなく、自分でも直ぐに作れる位に舌で熟知せよという意味でもあった。

社長は私たちが食べるのを酒だけ飲みながら見つつ、延々と夢物語のようなプランを話す。またか・・・と思っていい加減に聞いていると、明日とんでもない目に遭う。この日の話を、翌日には一日で企画書に仕上げなければならないのだ。

その企画書がクライアントに売れる事はあまりない(たまにある)。しかし毎日、新しいプランが社長の口から語られる。また企画書にする。1晩に1つではないのだから、あの社長も大したドリーマーであった。それはまるで企画書作成専門学校のように、給料を貰いながら勉強させて貰えた場所となった。それでも経営が成り立っていたのは、社長の父親がある大手食品メーカーの会長で、長男だった社長はある大ヒット商品(聞けば誰でも知っている、今も健在の食品)を開発した後、放蕩が祟って追放されたのだが、その食品メーカーの広告は全て、その小さな代理店を通して行うという、いわばトンネル会社でもあったのだ。嫌な話だが、よくある事らしい。

閑話休題。朝の4時だか5時になると、その霞町の店も閉店となって追い出される。そこで開放されると思ったら大間違い。今度は霞町の交差点を斜めに渡った路地裏のスナックに移動させられる。社長はここで朝食として麦トロ飯を食べる。私たちにも、卵焼きや水ギョウザを食べろと言う。実際、そこのマスターだかバーテンだかの料理は凄く美味しいのだ。明太子を巻き込んだ甘い厚焼き卵は、ここで覚えた。

朝の7時、やっと開放される。社長は六本木にあるホテルのスイートか広尾にある億ションに戻ってこれから延々と寝るのだ。私たちはタクシーで帰宅し、シャワーを浴びて着替え、簡単に朝ご飯を済ませて9時に出社。これが極楽徹夜コース。

地獄徹夜コースは、美味いものたらふくコースに呼ばれない晩、あるいは呼ばれても「スミマセン、企画書が間に合いませんので会社に残ります」と謝って、文字通り徹夜で仕事をする。途中何度か、ADが「コンビニ行きますけど、何か買って来ますか〜?」と声を掛けてくれる。菓子パンだのおにぎりだのを買って来て貰い、仕事しながら食べる。デザイナーやADには、タクシー代を渡して帰宅させる。その代わり、朝出社して来る時に、美味しいおにぎりを買って来いと頼む。

この極楽コースと地獄コースが2:3位の割合で延々と続く。マンションなど借りているのが馬鹿らしい位、家に居られる時間がなかった。当然、生き物など飼えない。毬藻は育てていたが、ある日2つに分裂していた。藻なのに分裂するのか?ちゃんと真ん丸の毬藻が2つだったぞ。

たまに交替で30分位寝ようという事になって、唯一カーペットが敷かれている社長室で、交替で仮眠をとった。会社の近くの東急ストアで自分専用の小さな花ゴザを買って来てあるので、みんな夜鷹のようにクルクルと丸めたムシロを小脇に抱えて「そいじゃあ、ちょいと失礼しますよ」と言って社長室に消えて行く。どういう訳か企画開発部に男はいなかったので、色っぽい事は一切なし。髪なんかトイレの流し台で洗っていたのだ。

しかしそんな過激な日々が続くはずもなければ、そんなふざけた会社が存続する訳もなかった。やがて倒産し、社長は国外に逃げた。私には、長時間働く性癖と風呂に入らない習慣(シャワーは浴びるよ)、そして食いっ広げられた胃袋が残った。まだ若かりし30歳の頃の話。

ぶーちゃん

ボクも大喰い

Oct. 20, 2004

超大型台風23号が近づき、駆け抜けて行った。野良猫たちの事が気になり、どうせ出て来ないとは思ってもエサやりに行き、風雨の中でオロオロしながらどこかにエサが置けないかと探し回る。軒下というものがない場所なので苦労する。朝一番で下げに行けるならば、立体駐車場の中に侵入し、奥の方に置いてしまうのだが、遠くてとても日に2度は通えないのだ。

前日の「猫雑記」へ 翌日の「猫雑記」へ


月別INDEXへ戻る

「猫雑記」INDEXへ戻る

inserted by FC2 system