ジーコ

可愛い

Oct. 26, 2004

2004年10月26日 火曜日

今日の午前中の通院で、再度ジーコの血液検査をする事になった。検査結果が出るまで待つとジーコが負担だから、一旦連れ帰って休ませ、午後の診療時間になってから私達だけで結果を聞きに行く。

「結果から言うと悪くなっています」と前置きされてから、ひとつひとつの検査結果とそこから窺える分析を細かく説明して戴いた。肝臓の状態は倍近く悪くなっている。貧血の度合いも進んでいる。

ステロイドの効果だとしても少し元気そうになっていたので、きっと良くなっていると信じていた。それだけに張り詰めていた気持ちが一瞬萎えて涙が出そうになったが、流石にその場では堪える。泣いても事態は変わらない。しっかりしなくちゃ駄目だ。

先生曰く「人間だったら絶対安静が必要な状態です。動く事で代謝は進み、負担はどんどん大きくなりますから」「本人は痛くも何ともないので動き回ってしまうと思いますが、これだけ貧血が進んでいると苦しいはずです」「例えばキドナの一日の摂取量は変えずに、一度の量を減らし回数を増やす方が良いかも知れません」という事だった。

今ですら2時間おき、その合間にタンポポ茶を飲ませているというのに、強制給餌を1時間おきにしたら、もはや全く寝られなくなるだろう。それでもこうちゃんは「やるしかないな」と言った。しかしケージに閉じ込める事は不可能だ。本人が痛くも痒くもないだけに、出せ出せと暴れてしまって逆効果なのが解かったから。

今後の状態の変化の予想を聞かせて貰った。貧血が進めば次第に呼吸困難になるだろう事、そして肝臓が機能しなくなる事で門脈シャントの場合と同じように毒素が高まり肝性脳症になるであろうという事・・・ジーコが苦しまずに済むにはどうしたら良いのだろう。苦しまない道はないのか。私はそれをまた見ていなければならないのか。

車に乗り込んだ途端、ジーコが不憫で泣けた。ジーコは今日の診察で、保定する奥さん先生の手にスリスリして甘えていた。ゴロゴロと喉を鳴らし、目もパッチリと開いてとても可愛い顔を見せていた。

今は何も考えたくない。何もしたくない・・・と言ってしまえばそうなるだろうし、頑張ろうと思えば頑張れる。言葉にした事がその通りに自分を支配して行くから、気をつけないといけない。本当は弱いから、この現実から逃げ出したい。でも逃げられない。生き物を飼うという事は、最後まで責任があるのだ。良い時だけを享受する訳にはいかないのだから。しかし辛いのは確かだ。

テレビなど観たくもないような気分ではあったけれど、『たけしの本当は恐い家庭の医学』を観た。『本当は怖い食欲不振〜悪夢の来訪者〜』で脅された病気とは、病気の仔猫についていたノミが『バルトネラ・ヘンセラ菌』を媒介した為の『猫ひっかき病』がその正体であった。な〜んだ・・・くだらない。

そもそもそれほど恐いものではない。体の免疫力を落とさないでいれば、そんなに重篤な事になるものではない。引っ掛かれたり噛まれりしたら、きちんと消毒しておく、病院で処方された薬を飲むなどすれば何と言う事なく済む事だ。

今回はノミに噛まれた事から感染した訳だが、そもそも病気の仔猫を病院にも連れて行かずに、三日三晩寝ずの看病などしても無意味だ。助けられたかも知れない小さな命を、それでむざむざ失ったばかりか、ノミから細菌をうつされ、それが異常に重い症状となったのは、その16歳の少女の抵抗力が落ちていたからだと、監修にあたった医師も言っていた。

16歳という若さの体力もあるはずの若者が、そんなにも抵抗力を落としてしまうなんて事は、母親の監督責任もあると言いたい。これはもう無知が招いた病気であって、『悪夢の来訪者』なんかじゃない。猫を保護して本当に助けたいならば、先ずは病院に連れて行きなさい。再現フィルムでは詳しい状態は解からないけれど、4日目に死んだのだとしたら、3日間の手当てはあまり適切ではなかっただろうと思える。

ナレーションでは「招かれざる客」という表現も使っていた。安直に借り物の表現をするものだ。それが病気の仔猫の事なのか、病気そのものなのかは兎も角、手垢の付いた陳腐な紋切り型の常套句を使うのは、プロとしては恥ずかしいと思わないのか。それとも「招かれざる客」などという言い回しを持ってくる事がカッコいいと思っているのかな。な〜にが「招かれざる客」だ。それでは「科学」ではないだろう。科学的に検証して見せて、少しでも真面目で役立つ番組にしたいならば、そういう「文学的」な表現は避けた方が宜しい。

しかし悲しい哉、科学番組でない事もまた事実なのだ。スポーツ紙の見出しのような煽りで視聴者の興味をキャッチしておいて、内容はかなりショッキングに大袈裟に作り、最後は「観た人」の判断と良識に任せます・・・という感じで上手に責任回避をして終わる。ギリギリ、スレスレのところでモラル違反を回避している感じだ。

それでも視聴者は無知で煽動される事も多いから、「それ見た事か」とばかりに猫を目の敵にする人たちもいるだろう。実際、早速「猫は捨てろ」と実家の父親に言われた猫飼い仲間もいたらしい。テレビの功罪は今更言う事でもないだろうが、視聴率稼ぎの為にえげつない作り方をせず、影響力というものをきちんと考えて制作して欲しい。

但し、事前に反響を考慮して「バルトネラ・ヘンセラ菌は猫の体内では悪さをしない共生菌です。ネコひっかき病のポイントは猫自身にあるのではなく、人間の猫に対する接し方にあるのです。大事なことは私たちの免疫力を正常に保つこと、そしてもし、体調が悪いならば、ネコとのキスを避けたり、傷を受けたなら消毒をするなどの対処をとりましょう」というフォローをしている点は評価出来る。

しかしもう一度言いたい。視聴者は馬鹿も多いのだ。都合の良い部分だけしか頭に残らない人は大勢いるのだ。だから、あまりショッキングな作り方はしないで戴きたいと。

辞めた職場の近況が耳に入って来る。私のやっていた仕事は、新たに入れた2人のスタッフがそれぞれ広報とウェブを専門に担当し、それ以外の諸々の仕事はアライさんがやっているらしい。何だよ、結局3人分の仕事をやらせていたのか、私に。大体3人分だろうとは感じてはいたけれどね。

しかし新しく入った人は楽だ。もう仕事は殆ど出来上がっているのを管理するだけだし、ウェブの更新もほんの僅かで尚且つ遅い。新しいサテライトオフィスの地図などMapfanからそのままコピーして使っているようだが、二次利用は禁止されているはずなのにそんな事でいいのか?だから私は苦労して地図を描いたというのに。

おまけにウェブ担当(若い女の子)は毎日のように遅刻し、時間内に堂々と天井向いて口を開けて寝ているらしく、真面目な事務スタッフはそういうルーズな新人にストレスを感じているようだ。だけでそれで通る職場なのだから(それは解かっていたのだ。何ヶ月も欠勤していた人の出勤簿に不正に出勤のハンコが押されたり、愛人から毎日何度も電話が入ったりする男性が評価されるような職場なのだから)今私はあそこに居なくて済んで良かった。

新たな仕事のプランもあるけれど、先ずはジーコとアインを最優先したい。それが出来る境遇がどれだけ恵まれているかも解かっている。だから悲観せずに頑張ろう。介護してやれる幸せを刻一刻感じていよう。今は兎に角、共に生きている喜びを感じよう。


病院から戻ってからは、既に1時間おきの強制給餌がスタートしている。薬の種類も増えた。24時間、どちらかが必ず起きている事に変わりはないが、1時間なんてあっという間だ。これでもう外食なんか無縁だな。いいさ、またお取り寄せしたのだ。今度はマグロとサーモンと鯖の寿司を。

午後はもう、ジーコは自発的に食べる事はしなくなった。病院から戻って直ぐはアインと寄り添っていたけれど、後はもう殆どの時間をキャリーの個室でじっとしている。キャリーの上部をはずしては給餌。そしてまた蓋をするようにしてカバーも掛ける。今夜は大分冷えている。だけど私は半袖一枚だ。部屋の中は水フィルタの空気清浄機で湿度を与えつつ、オイルヒーターで暖めている。暑い。寝不足と更年期のせいもあるのだが。

ミュウちゃん、ジーコとアインに力を貸してやってね。ついでに私達にも。

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