《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記
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ジーコ

優しい顔

Feb. 17, 2005
2005年2月17日 木曜日

午後2時、お迎えの黒い車が来た。

少しお待ち戴いて、棺に入れたジーコの身体にお花を添える。

閉じてやった目はうっすら開いてしまっていたけれど、一晩経っても穏やかな表情のままだ。ますますジーコらしい優しい表情をしている。



この1年半ですっかり痩せてしまい、毛もパサパサしてかなりやつれて見えたのに、不思議と身体つきも顔も少しふっくらとした状態に戻って見える。

毛もふわふわ艶々になっているように感じた。

長い闘病中に見せた痛々しさがなくなっていたのが嬉しい。





火葬場へは一昨年の秋にミュウの時に一度行っているはずなのに、場所を殆ど覚えていなかった。

あの時も、熱に浮かされたような感覚だった。

一通りの通過儀礼を済ませるまでは、雲の上に居るようだった。



今日も全く同じだ。

これは現実に起きている事なんだろうか?



いや、現実に私は出してくれたリーフパイを2枚も食べ、トイレにも行き、二人きりでいる時にはこうちゃんの頬っぺたを「プニプニ」と言いながら突っついたり、椅子に座ったままこうちゃんのお尻に回し蹴りを入れたりしていた。

「カズエちゃん、待ちくたびれて飽きちゃったんだろう?子供みたいだな」とこうちゃん。

「何言ってんのよ。私はもう50(歳)なんだからね」と私。

「50じゃないだろ、47だろ?」

「いいの、大体50って事で」

「それで50だと何だって言うの?」

「だ〜か〜ら〜、50だから大人なんだよ」





アインの強制給餌があるので、途中こうちゃんが一人で家に戻った。

いつも二人一緒で居る事が当たり前の私が一人で1時間と少し待っていたのだもの、そりゃあ飽きるよね。



実は今回、岐阜の暢子さんが「アインちゃんの強制給餌があるでしょうから、私行きますよ」と昨日のうちに電話をくれていたのだ。

たまたま電話をとって対応したのはこうちゃんだたけれど、後でしみじみ言っていた。

「暢子さんは本気で言ってくれているんだよな。勿論、そこまではお願い出来ないけれど有り難かったよ」と。



自分だって11匹を抱え、闘病中の子たちもいるのに、「おとうさん」(ご主人)が仕事を昼で退けて猫たちの世話はしてくれると言って下さったらしい。

それがどれだけの犠牲を伴なう好意であるのか、良く解かっているつもりだ。

ご辞退はしたものの有り難いとしみじみ思った。





道があまり混んでいないので、往復に40分、給餌しだけで直ぐに戻って来てくれた。

「こうちゃんもリーフパイ食べな」

「そうだな、リーフパイ食べるかな」



箱の中には「シェ・リュイ」のリーフパイ4枚と、「ヨックモック」のクッキー(チョコレート掛けの「ビエ オゥ ショコラオレ」)が4枚入っていた。

ヨックモックはもう過去に食べ過ぎて飽きているので手を出さなかったが、リーフパイは大変美味しゅうございました。

「ウエスト」のリーフパイよりも、濃厚で砂糖がジャリジャリしていなくて良い。

今まではウエストがお気に入りだったけれど、今度からはシェ・リュイのを買おう。

今度って何時だ?



「あの奥さん、全部食っていったよ・・・と言われたりしてね・・・」

「祭壇のご供物とかリンゴにまで手を出しちゃ駄目だよ」

「あったりまえじゃん、私を誰だと思ってんのよ、ゴリラや象じゃないんだからね」

二人で声を出して笑う。



不謹慎だけど、どんなに辛くて悲しい時であろろうと、泣いてばかりいる訳じゃない。

笑う事もあれば、おなかも空く。

人の心は、切り口が一つではないのだ。

一つに埋没してしまう人もいるだろうが、少なくとも私はそうではないらしい。



でもふと思う。

こうちゃんが先立ってしまったら、私は一人きりで見送るのだと。

私は甘やかされているから、もっとしっかりしなければいけない。





今日は、祭壇のローソクが凄い勢いで燃え尽きた。

途中、凄い勢いで垂れたロウが、ミュウの時のように竜の顔になったかと思ったら、またどんどん凄い勢いで垂れて行き、ローソクにグルリと猫が寝転んで巻きついたような形に溶けた。

尻尾まで出来た。

しかし貰って来るのを忘れてしまった。





ジーコのお骨は、ミュウと比べると太くて長かった。

全盛期は、逞しい男らしい身体つきだったものね。

骨壷へと丁寧に収めていると、陶磁器の壷に触れたお骨が乾いた硬い音をたてる。



しっかりと骨壷を胸に抱いて、すっかり暗くなった道を帰宅した。

家を出てから5時間後、ジーコはミュウの傍に帰って来た。仲良くピッタリと並んだ骨壷に向かって手を合わせる。



別にどこに向かって祈っても構わないのだと思うのに、何となくシンボルとして魂まで「そこ」に鎮座してくれているような気がしてしまうから可笑しい。

それはただの「遺骨」に過ぎない。

ジーコもミュウも常に私の中に居る。そしてそこかしこに居るのだ。





何よりも愛しくて大切な彼らを、私はもう再び失う事はない。

それが何よりの慰めだ。





あまりにもその「形」が愛らしく美しかったから、その姿が現実の世界から失われてしまう事には感傷が伴なうけれど、彼らは次のステージに行っただけなのだ。

私も必ずいつかそこに行く事になる。

全ての子を送ってから。





たくさんのメッセージとお花を、皆さん有り難うございました。とても嬉しかったです。

ジーコ ふっくらふわふわ
Feb. 17, 2005


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