《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記
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アイン

安らかな寝顔

Mar. 13, 2005
2005年3月13日 日曜日

アインはあと一日、私達の傍で過ごさせる事にして、昨日の朝一番に電話し、今日の午前中の葬儀の予約をしておいた。

そしてアインの亡骸を、暖房を入れていないミュウとジーコの部屋に移す。



長い長い闘病生活をしていたとは思えない位、本当に綺麗な被毛だ。

そしてよく太っている。

お腹を撫でて頬にキスする。



アインを想うと、私の目からトロリとした感じの涙が流れる。勿論涙に粘度などないのだが、温かい液体がある程度の量を以ってゆっくり頬を伝うから「トロリ」と感じるのかも知れない。それとも、血液がドロドロなので(?)涙まで濃いのだろうか。

泣くまいと誓ったのに、人間の体内にはこんなに大量の水分があるのだと感じる。

お陰で、シェーグレン(症候群)で唯でさえ水分が足りなく感じているというのに、ますます脱水感がある。お茶をガブガブ飲んで、お腹が一杯だ。とても悲しみに打ちひしがれている人間とは思えない飲みっぷりに、我ながら笑える。



2日半間以上一睡もしていなかったので、昨夜は流石に眠くなった。

本当は昨日の昼間も寝ようと思えば寝られたのだが、神経が立っているようで眠れず。お花の受け取りと、電話と、そして下の猫たちのケアに忙しく過ごす。

3時過ぎには一段落して、アインの写真を飾る為のフレームを買いに出た。



眠いし疲れているのに、兎に角じっとしていられない。

立ち止まれば、悲しみの大きな渦に巻き込まれて溺れてしまうのは解かっている。立ち止まらずとも折に触れ痛みが襲って来るのだが、気を取り直すのは自分が少しでもバランスをとる為だ。



心の均衡など、まったく危ういものだ。

だから無自覚に気分に流されていたら、私とて簡単に心を病むだろう。どんなにしんどくても、常に自覚していないと駄目だと感じる。気楽に自然体でいた方が良い等と、私にアドバイスして下さるのは無駄な事だ。私の場合それでは駄目だと知っているから、張り詰めていた方がずっと楽なのだと思う。



東急の駐車場に車を入れ、急ぎ足で日吉中央通り「井口文華堂」へ行く。

ミュウのフレームはここで買った。お揃いにしようと思ったのに、同じサイズ(ポストカード大の写真が入る)のものは切らしていた。

取り寄せだと1週間も掛かると言われ、ならば小さいサイズ(プリント写真のL版用)でも仕方ないか・・・と諦めた。ミュウは大きかったけれど、アインは小さかったからね。

それに、この私が1週間も待てるはずがない。

今日欲しいと思ったら、今日手に入れないと気が済まないのだから。車を買う時ですら、決めたら即日欲しいのだ(流石にそれは無理だけど、殆ど1週間も掛からず数日で納車させる)。



東急に戻り、「ダイソー」でゴミ袋を大量に買う。

70リットルのゴミ袋は近隣の100円ショップではここしか置いていないので、来る機会を待っていた。30個も買ったので、駐車券はイッパツでOK。



もう1〜2時間毎の強制給餌がないので急いで帰宅する必要などないのに、二人一緒の時は特にどこへ行っても帰りを急ぐのが習慣となってしまっている。

今後もこれは変わらないだろう。強制給餌だけが飼い主の務めではない。他の猫たちも、私達と一緒の時間を楽しみにしてくれているのだから。

私の猫を飼う意味は、猫と過ごす時間を大切にしたいという事なのだから。



戻ってからは、またトロリとした液体が流れるのを感じつつ、アインのフレームに収める写真を選んだ。

どれにしようか長い月日に撮り溜めたものから探していると、ミュウやジーコの顔もたくさん見てしまう事になる。

私の大切なものたち。愛しいものを失う以上に恐れるものなど無いかも知れない。

いや、それでも愛するものたちを残して私が先立つ事が一番恐いのだと、心に訂正を入れる。

エサやりから戻り、午前1時就寝。

流石に瞬時に深い眠りに落ちたようだ。



そして午前3時と5時に自然と目覚める。小刻みに起きてしまう習性が身体に染み付いている。もう無理して頻繁に起きなくても良いのだと思うと悲しい。

じっくり4時間くらい連続で眠れたらさぞかし楽だろうと思うが、身体が覚え込んだ睡眠の習慣というのはなかなかリセット出来ないのも知っている。



夢を見たのだが、殆ど覚えていない。

アインにお線香をあげ、話し掛ける。

アインは答えない。答えたと思うのは私の潜在意識の為せる業だろう。

他者を簡単に解釈してはいけない。ただ一つ解かっている事実は、アインは私の傍に居る事をいつも熱烈に望んでくれていたという事だけだ。目が合うだけで一声口を開かずに鳴いて、真っ直ぐ私の所に来た。



つい数日前まで、一日も欠かさず毎夜アインを胸に抱いて(顔に抱いてという方が正しいのだが)眠った。

身体の一部を剥ぎ取られたような痛みは、これからも当分続くのだろう。

それは仕方ない。愛しているから、そこまでを受け止めないといけない。



動き回り私の腕に飛び込む身体はなくなっても、この痛みを感じさせる事で確実に存在感を持つ愛しい我が子たち。私には見えない子たち。この子たちが、どこに居ても私を見ている。





最期の様子はあまりにも壮絶だったので書くまいと思っていたけれど、やはり一言だけ書き残しておこう。

アインの最期は、ミュウのときよりもジーコのときよりも、遥かに苦しみが激しく、そして長引いた。

静かに弱々しくその通過儀礼を済ませたジーコ、苦しんだけれど最期は短時間で逝けたミュウ。

しかしアインは本当に強かったのだと思う。

それだけに、簡単には逝けなかったのだろう。あのとき、一秒でも早く絶命して欲しいと私はアインに覆い被さりながら、声に出して祈った。



あれほどの激しい最期を見せられたら、もう何にも動じないと思う。

私はアインになりたいと思う。



私の腕に、アインがもがいて付けた小さな引っ掻き傷が残っていた。

この傷は数日で消えてしまうだろう。消えなくても良いのに。

午前9時、小さな棺を持ってお迎えが来た。

アインはピンクが似合うので、ピンクの花を中心に棺に入れる。葬儀屋の車の後を付いて、つい先日行って来たばかりの火葬場へと向かう。寒いけれど、よく晴れて眩しい。



先日と同じ手順でお別れの儀式を済ませ、アインの小さな可愛い身体は永久に失われてしまった。

これで良いのだ。

もし仮に腐敗する事なく保存出来たとしても、動く事の無いアインの身体をいつも目の当たりにしていたら辛いばかりだ。

愛するものの身体が乾いた白いお骨となる事で、私達はすっかり腑に落ちる。



アインは殆ど薬を飲まないで頑張って来た。

そのお陰か、お骨は見事な状態で全て綺麗に残った。肺と心臓の辺り、そして腎臓のあたりに黒い焦げが残った。やはり問題のあった部位が焦げるのかと感慨を新たにした。

アインちゃん、辛かっただろうね、明るく元気にしていたけれど。



骨上げをした後、骨壷に収める前、爪と指の関節と尻尾の先の骨をこうちゃんと私、そしてアインを特に好きだった妹の為に3セット取り分けておいた。

私達はそれぞれのカロートペンダントの中の、ミュウとジーコの同じ部位のお骨と一緒にして入れておこう。それはいずれも小さな小さな骨だ。



尻尾を振る為の骨は2つあり、それは涙の形をしている。

一番最後にそれを壺に収めると、心地良い疲れを感じた。



ひとつの時代が終わったんだな・・・とはっきり思った。

悲しみはなかなか癒えないとしても、確実に新しい時代は始まっている。

ちゃんとしなくちゃ。

今日も祭壇のロウソクが、アインの棺を置いた途端、あっと言う間に垂れて不思議な形になって行った。

ここまで垂れるのに、ほんの2〜3分でした。

最初は、ミュウちゃんが来ているんだね・・・等と話しておりましたが・・・
アインの寝顔に見えるとこうちゃんは言います。
私はこれが、アインが観音様になったかのように見えて仕方ありません。足元にはジーコを従えて(?)います。

もちろん、何らかの形に強引に当て嵌めて見ていると言ってしまえば、それまでの事ですが。

骨壷を大事に胸に抱いて帰宅すると、家の直ぐ近くまで来た時に雪が舞い始めた。行き帰りに降らなくて良かったね・・・と言いながら、骨壷に雪が掛からないように懐に入れて、ミュウたち17匹の待つ家に急いで入った。

お家に帰って来たよ、アインちゃん。もうずっとミュウとジーコと私達と一緒に居ようね。

アイン

花に囲まれて

Mar. 13, 2005


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