ガラ
光の魔法を掛けると
Dec. 1, 2006 |
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2006年12月1日 木曜日
恐れていた歯科治療の当日。昨日から食い溜めをするようなつもりで、治療の後の痛みに備える。
先週の検診の結果から整理しておこう。
問題は歯ではない。顎の骨と歯茎の深いところだ。それは2年前もそうだったし、今も変わりない。虫歯は無く、歯茎も歯槽膿漏という訳ではない。
レントゲンを撮ってみると、奥歯の顎の骨が吸収されて減っている。従って歯が埋まっている部分が少なくて、歯茎に炎症などがあると、歯の動揺と浮いた感じが起きる。
何故炎症を起こすか・・・要因は幾つか考えられるそうだ。
1.シェーグレンによる唾液の減少。健常な口内では常に唾液が細菌や汚れを洗い流してくれているのだが、それが行われ難い口内環境である事から、歯石も細菌も増え易く、従って炎症が起きる。
炎症が起きて歯周ポケットが深くなると、歯の根本近くの深いところに歯石が付き易くなり、その歯石がまた新たに炎症を呼び、悪循環となる。
2.ステロイドによる副作用で感染症に弱くなるので、普通の細菌量でも歯茎に炎症を起こし易くなっている。
3.噛み締めと顎関節の異常なまでのクリッキング(関節雑音・・・この癖が治らないどころか、ストレスと緊張でますます酷くなる一方だ)による顎の骨の磨耗。
4.寝不足と疲れと喫煙による血行不良と免疫低下。
1〜4までのうち下に行く程、自らが招いた結果である。それでもレントゲン写真を見せられて説明されると、今更後悔しても始まらないが、元に戻せない過ちをしでかしたと身に染みて理解し、この件では本当に絶望する。
永久歯は失えば2度と生えて来ない。減った骨も戻せない。骨が無くなってしまっては、インプラントだって出来ないだろう。
総入れ歯にするには、まだ早い。人並みよりずっと健全な前歯(上下の歯4番〜1番、そして反対側の1番〜4番までは歯周ポケットも浅く、完璧に健全なのだ)を抜く必要もなかろう。
歯科治療で初めての技工士さんに会うと、歯列矯正したのですか?と必ず訊かれる程、歯並びは良いのだ。歯の質も固いらしい。従って虫歯も出来難い。
問題は骨と歯茎。それが原因で、3年前には既に下の奥歯を1本失っている。もう失いたくない。
石原先生が、先週の検診の後で、このまま何とか奥歯を残せるよう頑張ってみましょうと力強く言って下さった言葉にすがって、先生の言う事をちゃんと聞き、しっかり治療と予防に努めるのだ。
これから先の私の人生は、猫と歯の為に頑張るのだと言っても過言ではない。これが朝令暮改とならないよう、モチベーションを維持する為にも、再び歯科治療と検診を趣味にしなくては。
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ガラ
お鬚、グ〜ルグル
Dec. 1, 2006 |
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さて具体的な本日の治療は、麻酔をしての歯の根本のスケーリングである。怖い。
以前にも一度した事があるけれど、先ず麻酔が痛いのが怖い。神経伝達麻酔というのは、どうしてあんなに痛いのか。まるで骨に釘でも突き刺すかのように、先生は全体重を掛けて注射している(ように感じる)。
「ちょっとチクッとしますよ」と先生は言うが、「チクッ」なんてもんじゃない。ギュウッと針がどんどん深いところまで差し込まれて行き、やがて「ビキッ」という感じの鋭い痛みが走る。
でも一瞬だけ我慢すれば、後は突然歯茎が固く膨れ上がったような感覚と共に、麻痺してくる。そしてガリガリとスケーリングが始まるのだ。
相当歯茎の深くまで、刃が付いた器具を差し入れて削り取っているらしい。取れたものを見せて貰うと、黒っぽい雲母のような薄い破片だった。
ちょっと拍子抜けする。水道管のスケールのように、ガヂガヂにデコボコした石灰質の鍾乳石のようなものを想像していたから。
こんな程度の薄くて小さいものが、炎症を呼んでいたというのか。ちょっと情けない。
1本1本、これでもか・・・という位に丁寧にやってくれるのは有り難いのだけれど、やがて痛みの感覚が戻ってきていることに気づく。
今日の課題である奥歯の場合、痛みはある程度我慢出来る。前歯の方がずっと敏感なのだ。いずれ前歯もやらないで済みますように・・・それだけはお願いしたい。誰にお願いするのか解からないけど。
兎に角、麻酔が醒めてきた。神経に触るような痛みだと我慢出来るかどうかという問題ではなくて、反射的にビクッと動いてしまう。電気が走るような痛みだ。それでは作業にならないし、私もかなり辛い。
映画【マラソンマン】で、ダスティン・ホフマンが自白を強要される拷問シーンで、ローレンス・オリヴィエのサディストの歯科医に麻酔なしで神経の露出した虫歯を削られる場面をいつも思い出す。
ちょっと早過ぎる醒め方のような気もするが、追加で麻酔して貰う事になる。再び先生にのしかかられて(人聞きが悪い)神経に届く麻酔を「ビキッ」とやられる。
そしてまたガリガリ・・・
ああ、しかし、また麻酔が醒めて来た。今度はさっきより早い。再度のしかかられて「ビキッ」・・・もう右上奥の歯茎は注射の穴だらけだな・・・と想像する。
これが後々、結構腫れて痛むのだ。一応歯茎の表面を消毒してから注射するものの、口内細菌を針で押し込む事にもなるから、それで炎症を起こすらしい。
今度こそ効果が長く続きますように・・・と祈るような気持ちでスケーリングを続けるが、やはりまた醒めてしまった。この間、まだ30分程度だ。10分も保たない事になる。
技工士さんが「先生、もう一度・・・」とお願いするが、もうこれ以上は・・・とストップが掛かる。麻酔が効き難い、そして醒め易い体質なのは、子供の頃からだ。でも、ここまでじゃなかったはず。
近年はお酒も殆ど飲んでいないのに、どういう訳だろう。麻酔に免疫が出来るという事はあるのだろうか?
兎に角、今日だけで今日のノルマである右上奥歯のスケーリングが完璧に終わらせられなかった。1箇所、どうしても触れない深い部分があり、そこの神経に障るのだ。そこが一番問題なんじゃないか〜。
痛みを感じる感覚は、きっと個人差もあるだろう。「私は特に痛みに弱い」と大袈裟に言って来たので、信じて下さっている方も多い。でも多少の痛みを我慢は出来る。我慢したくないけど、仕方ない場合は我慢する。私だって大人なのだ。あまり我が儘は言わない。
しかし、神経を削る時は我慢出来ない。我慢出来る人は居るのかな。
一度だけ、奥歯の神経を削った事があった。以前話に聞いていたような、クルクルっと巻いてピッと引き抜けるようなものではなかった。時間を掛けて、地道にゴリゴリと削る作業だった。
何度か通ってすっかり神経を取り去り(多分)、詰め物をして保存して戴いた奥歯・・・その貴重な奥歯を、骨が無くなって浮いていたので、3年前に抜いたのだ。
あの時の麻酔の痛みや、治療の手間、そして治療費は一瞬のうちに水泡に帰したのだった。無情にも。
兎に角、今回きちんと全てのスケーリングを済ませられた暁には、今ある歯を全て保存出来るように頑張る。
こう言い続けて自分を奮い立たせないと、なかなか辛くて長い先行きとなりそうなのだ。先に宣言する。そして嘘にならないように努力する。意志の弱い私には、これっきゃない。
石原先生は私の病気の事を色々と研究して下さったた上で、「一緒に頑張りましょう」なんて優しい言葉を掛けて下さった。
もう2度とこんなに空白の年月をおかず、アタシ、ちゃんとマメに通います、先生!・・・な〜んて、ちょっと柄じゃないかな。
先週母と久し振りで訪れた際、先ずは母が先に診療室に呼ばれて入り、きっと「今日は娘のカズエも一緒に来ているんですよ」とか何とか先生に言ったのだろう。
先生が突然診療室から出て来て、「川口さん、お久し振りです。よくここまで来て下さいました」と顔中を笑顔にして歓迎して下さった。
はい、スミマセンでした、ずっと気になっていました。
私のちょっと特殊な症状を改善するべく、あれだけ親身になって下さっていた石原先生だったのに、先生が小杉の新しい病院に移ってからは、ついつい忙しさと面倒臭さにかまけて一度も伺えなかったんですから。
先生、どこまでも付いて行きます・・・と言いたい。
しかし石原先生が優しかろうと素敵だろうと、無条件で怖いものは怖い。次回の治療は、何と、次の水曜日に予約をとってしまった。インターバルが短い。
大丈夫か、私。
既に帰り道は麻酔が醒めきっていて、何とか通勤客で混み合う電車で日吉駅までは辿り付いたものの、こうちゃんに「迎えに来て〜」と電話してしまった。ズッキンズッキン、どこが痛いのかよく解からないけど痛い。
そして案の定、神経に障ったのか細菌感染したのか、恐れていた顔面神経痛へと移行して行くのであった。
しかしそれは慣れたもの。そこまでを予め想定していたので、その三叉神経痛が出る前に段取り良く色々と済ませて、痛み始めた後はひたすら眠る事に・・・
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マルコ
マルちゃん、こっち!
Dec. 1, 2006 |
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マルコ
なによっ?
Dec. 1, 2006 |
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世の中には、もっと辛い治療や施術・手術を受けている人達がいる。
同じ歯科治療でも、親知らずの抜歯やインプラント治療、もっと悪化している歯周病の治療などと比べたら、私の場合、たかがスケーリングである。こんなに深刻になったら笑われてしまうだろう。
でも、私の場合は、困った事に多くの方の歯周病とは原因が違う。
ブラッシングは良く出来ていると言われる。そりゃあそうだ。かつて15年近く前、治療ではなくて検診で石原先生と出会って、この状態をキープしましょうと言われ、治療より予防だと教えられた。
以来、歯は正しく磨いて綺麗にケアしている。歯茎も表面はとても状態が良いと言われる。
なのに簡単に炎症が起き、それがとても深いところで進行する。やがては歯が抜ける危険性がある。その事に対して、何だか理不尽な気がしてしまうのだ。
でも一番悪いのは、顎関節症を悪化させるばかりの自分の癖と、食いしばりである事も忘れてはならない。
短時間に多くの事をこなそうとして、無意識で奥歯を噛み締め、クリッキングを一日中、起きている間中繰り返す。これを止めない限り、幾ら治療し検診に通っても、奥歯は抜く羽目になるだろう。
大好きな「粉瘤」を検索していて知った、今では愛読している>>このサイトでは、「痔ろう」の手術跡の直ぐ脇に出来た「粉瘤」を悪化させてしまったが為に、再度辛い辛い「痔ろう」の手術とその術後の様子が連綿と綴られている。
まさに聞くも涙、語るも涙の体験談。これを読む度、痔にはなりたくない、痔の手術を受けなくて済むようでありたい・・・と切実に思う。
この人も、暴飲暴食などの生活習慣が、痔には一番悪いと冷静に分析・反省していた。
どんな病気や症状も、その人の生き方が原因で起きているものだと、安保徹氏も書いていた。つくづく納得出来る。理不尽でも何でもない、自分で自分の奥歯をないがしろにして来た罰が当たっているという訳だ。
そして自分の奥歯を死ぬまで今のまま保存出来るよう、決意を新たにするのだ。
ああ、長い一日・・・いや、長い日記だったなあ。
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昼食
Dec. 1, 2006
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覚え書きとして:
朝はチーズトーストと自家製ピクルス、あんパンとミルクティ、グリーンルイボスティー。
昼は、夜が食べられない可能性があると考え、たっぷり食べておく事に。ご飯を炊いて、牛肉とピーマンのオイスターソース炒め、菊の花の酢の物、デザートに柿とミカン。
夜は案の定痛みで食べる気がしなかったけれど、何か食べなくてはいけないので、にゅうめんに卵を落としてズルズルと食べる。 |
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