《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記
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イオ

可愛く睨む

Nov. 21, 2007
イオ

2007年11月21日 水曜日

またしても、何日分もまとめて日記を書く羽目になった。仕方ないよな、色々あり過ぎて・・・。



もう少し父の事を書いておこうと思う。

父は虚飾を廃して生きて来た。

自分の妹たち(私の叔母たち)の結婚の費用を出す事はしても、自分の結婚式には妻(つまり私の母だ)には花嫁衣裳も着せなかった。

別に当時、極貧だった訳じゃない。そういう主義を、自分が結婚する時から示したかったのだろう。

叔母たちの花嫁衣裳姿の写真はあっても、母は普通の着物姿の写真しか無い事に、子供の頃はちょっと寂しい気がした。

しかし母はとびきり綺麗な人だったので、今見ると、それでも充分に美しい。文金高島田の必要はないと今の私には思える。


私や妹の七五三のお祝いも、する必要ないと言っていたらしい。しかし母がポケットマネーで用意してくれたので、写真が残っている。

満面の笑顔の妹に、仏頂面の姉。勿論仏頂面が私だ。



母はお嬢さん育ちで、たくさん習い事もさせて貰い、着物もたくさん作って貰うような娘時代を過ごしたので、私達姉妹にも同じようにしてやりたかったようだ。

ところが私は父の価値観を受け継いでしまったらしい。

いつ頃からか、道具にはお金を掛けても、晴れのイベントにお金を掛けるのが勿体無くなった。

貧乏根性とばかりは言えない。だって娘時代から、欲しいものには平気でお金を出していたのだから。



私は成人式にも出席せず、大学の卒業式も謝恩会も欠席を決め込んだ。あまり着る機会の無いような振袖なんか作るのは勿体無いと思っていたし、実際、そういうものを着るのが嫌だった。

母は特に何も言わず、その代わりに・・・と加賀友禅の小紋や結城紬の着物を作ってくれた。

どちらも殆ど着ていないので、随分な無駄遣いと言える。でも母がそれで気が済んだのだったら良いか。



私は3度の結婚に於いても、一度も結婚式も披露宴もしていない。

父は自分の事は兎も角、娘を嫁に出す立場としては、相手の家の考え方に合わせれば良いと思っていたらしいが、私はいずれの時にも婚姻届を出す事とごく身内だけで会食した程度で、後は何もしなかった。

見世物になるようで嫌だったのも本音だし、結婚披露宴というものがそもそも好きではなかった。招かれるのも好きじゃないし、招くのも好きではなかった。

変わり者なのかも知れない。




妹はとても母親孝行で、母の好むお嬢さんらしい服装をし、成人式には振袖でとびきりの笑顔を見せていた。七五三の時とまるで同じだ。

姉は実家に戻っても、ラフな格好しかしないしスッピンでうろうろしているので、気の張るお客が来ると別室に行っていなさいと言われた位だ。

失礼しちゃうね。

でも、まあ、母の気持ちは解る。






父が私をどう思っていたか知らないけれど、変なところが親子は似るものだとつくづく思う。

父の価値観は、早くに家を離れた私がしっかり受け継いだ。幼少期からして、あまり一緒に過ごした事など無い親子だと言うのに、血は水よりも濃いというのは真実だな。



父は、私が離婚をした時にも何も言わなかったけれど、母は「パパは何日も眠れなかったのよ」と言っていたし、妹は「パパは、”帰って来ればいいんだ”と言っていたよ」と言っていた。

勿論、私はノコノコと親元に戻るようなタマじゃなかったし、その後も父とはお互いに理想だけ語り、お互いに強がって過ごせるような距離が保てた。

一緒に暮らしていれば鼻につく弱さも見ないで済むし、まことに都合の良い関係とも言える。





高校生の時、私のちょっとした行動がきっかけで、母からお小遣いをもらえない事が起きた。

小遣いがなくても済むような生活ではあったのだが、ある朝、洗面所で顔を洗っていた私に、父が黙って5千円札を握らせた。

娘を信用してくれるこの父を、私は絶対に裏切れないと思った。あの時の父は、今の私の年齢よりも1歳若かったんだな。





父とは、もし死に目に会えなくても、悲しくはないと言いたい。

これも建前かも知れないけれど。



父の追い求める父自身の理想の姿(虚栄かも知れないが)は、私が一番解っている。

だからむしろ、死に顔は見たくないと思う。父も、せめて私には、かつての強かった自分の姿だけを覚えていて欲しいのではないかと思うのだ。

やっぱ、変わっているよな、私。





そして現実を日々見続けて世話を焼いている母や妹には、改めて申し訳ないと思う。

だから私は、母や妹には一生償いをするつもりだ。

でも、父の死に際に駆けつけない事は、父にかつてのままの尊厳を誇らせてやろうという、私の精一杯の親孝行になるはずだ。





なんちゃって、都合の良い言い草だけど、それで父は許してくれると思う。

私は父の分身だもの。

私が考える精一杯の強がりが、父の理想でもあると信じている。

ルス

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