ペリー
白目が可愛い
Dec. 21, 2007 |
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2007年12月21日 金曜日
午前2時半起床。
連日、仕事と猫家事以外にも予定が詰まっているものだから、これ位に起きないと間に合わない。
寝るのは何時かって?どう頑張っても日のうちには寝られっこない。昼間に仮眠を1時間とっても、やっぱり一日3時間睡眠が関の山か。
でも大丈夫、今日はマッサージも受けるし・・・暫くは定期的に受けるつもりだから。
朝一番でカワムラさんを病院へ。
診察台の上では今日も「お〜いっ、お〜いっ!」と、恥ずかしくなるくらいな大声で朗らかに鳴いて上機嫌。
今朝は白く泡立った胃液を2度吐き、昨夜から何も食べられずぐったりしていたくせに、病院ではどうしてこうも見事にハイになるんだろう。奥さん先生に会えて歓喜の雄叫びを上げているのかな。
病院から戻って猫家事の残りを片付け、やっとこさ一服していると10時には約束通り整体の先生がいらした。
カワムラ部屋のソファで施術して戴く事にしたのだが、案の定、猫たちの邪魔が入り続けた。横たわった私の体の上に、とっかえひっかえ猫が乗る。大抵はルスかリマ、そして何とカワムラさんまでが・・・。
ペリーとリマとルスは、いつものようにお客さんの荷物の点検と占領にも余念が無い。先生の黒いジャケットの上に黒い肥後牛・・・じゃない、リマが座り込みを続け、携帯のストラップをオモチャにするルス。
私が寝ているソファの背に座り込んだカワムラさんが、尻尾をトムのオモチャにさせている。すっかり興奮した仔猫のようなトムが五月蝿い。
そんな状態で2時間たっぷりと、肩と腕、背中、首、頭、足を絶妙の力加減でマッサージして戴く。前にも言ったが、決して力を入れ過ぎず、強く揉むような事はしない。
先生の手は、ホットパックのように温かい。やがて全身が緩み、温泉にでも浸かった後のようなリラックス状態になる。
そしてこうちゃんも2時間、背中と肩と腕を重点的にやって戴いた。こうちゃんの筋肉の質はとても良いらしく、私よりもほぐれ易いと言われた。くそ〜、負けたか。
しかし、その睡眠時間とこの身体の状態で寝込まずに居られるとしたら、二人とも余程、筋肉の回復力があるんだな・・・と言われる。
私なんか喘息があってタバコも吸うというのに、この回復力・・・丈夫な身体に産んでくれた両親に感謝しなくてはいけないだろう。
あと3回位は、定期的にマッサージをして戴く事にして、来週も往診して戴ける事になった。しかも低料金でビックリ。
次回はお昼ごはんを用意しておかなきゃ。こんな長時間になると思わず、お茶だけでは申し訳なかった。
夜はカイルを迎えに再度病院へ。
受付ノートには、今日の最初とラストが私達の名前だ。面会や薬、フードだけ戴くときには記帳しないのだが、それでも私達が通う頻度は高い。
マツモト先生の病院のレセプトは、もうかなりの厚みの束になっている。全部合算したら、レントゲンの機械くらい買えそうだ。幾らなのか知らないけれど。
カイルは、固まったまま先生に抱かれて連れて来られた。そしてキャリーに入った途端、鳴き出した。大丈夫、おうちに帰るんだよ。
切り取った腫瘍の病理検査の結果が出るには、まだ数日掛かりそうだ。
口の中だから充分なマージンが取れなかったので、再発の恐れはあるかも知れないけれど、出来るだけの予防をしてやりたい。
そして自力で食べられるならば、多少の苦労はしても自宅でケアするのが一番だと私は思っている。さあ、うちに帰ろう、カイル。
カイルの留守中に、毛と泥で汚れたマットは熱湯で洗い、ケージもアルコールで除菌しておいた。トイレの砂も駆虫後は何も出なかったけれど、念の為に全部取り替えた。
キャリーからそうっと足を踏み出し、自分からケージに戻った後は、高い情けない声でずっと鳴いている。
どんなに酷い目に遭ったのか、延々と聞かせているようだ。
犬が居て怖かったんだよ・・・口の中を深くえぐられたのでとっても痛いの・・・手にずっと針が刺さったままだったし(それは点滴だよ)、知らない男の人(それは先生だよ)が僕を狭い檻(それは入院室なのよ)に閉じ込めたの・・・おなかすいてもご飯が食べられないし、僕はどうなっちゃうのかと思って本当に怖かったんだ・・・
と言っているのかいないのか・・・兎に角、カイルは喋り続け、私は相槌を打ちながら話し掛けた。
大変だったね、カイル。もう心配要らないよ、カイル。カイルは可愛いね。大好きだよ、カイ君。ここでずっと暮らそうね。痛かったね、可哀想だったねカイル・・・等と同じ事を繰り返し繰り返し、人間に対しては決して使わない猫撫で声で語り掛け続けた。
ハイポとベネバックをたくさん入れた缶詰フードを差し出すと、直ぐに目の前で食べ始めた。
やっぱり私達には気を許してくれているんだ。病院では人目がある時は、絶対に食べないどころか微動だにしなかったと言うから。
良かった。食べなければ何も解決しない。連れ帰った甲斐があった。
そして食べ終わると、また延々と喋り続ける。僕がどんな目に遭ったと思う?本当に怖かったんだよ・・・と。
ええ、解っていますとも。カイルは偉かったね。頑張ったね、カイ君。可愛いよ、カイル・・・
私はウンコ座りしながら足が痺れてくるのも構わず、ずっとカイルと目線の高さを同じにして見つめ合って話し合いを続けた。
言葉が通じているのかいないのか・・・いや、気持ちは充分に通じているはずだ。
カイルは私の目から自分の目を放さないし、私の言葉を聞くと瞬きをして見せてから、ぶーちゃんと同じ小さな可愛い声で「にゃ〜ん」と鳴くのだ。
やがて気が済んだのか、コテッと横になり、前足を胸の前で縮めて、後ろ足はケージのフレームに突っ張って、まるでお腹を撫でで〜・・・と言っているかのようなポーズをとった。
思わずケージの扉を開けて手を入れようとしたら、瞬時に体勢を変えて「シャーッ!」と威嚇されてしまった。
そうかそうか、まだ怖いか。いいよ、まだ無茶な事はしないよ。ゆっくりおやすみ。
また少しだけ声を掛け合い、カイルが眠たそうに目を閉じて、返事も弱々しくなってきたので、部屋の電気を消して立ち去った。
もうどこへも連れ出したくない。ずっと家の中で、すっかり安心して暮らして欲しい。
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