プティ
僕、太った?
Jan. 9, 2008 |
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2008年1月9日 水曜日
国の天然記念物に指定されている「ツシマヤマネコ」は、絶滅に瀕している。今日の夕方のニュース番組で特集していた。
所謂「絶滅危惧種」にも指定されているのだ。そうなると、環境省なども乗り出して保護の方向に向かってくれるらしい。
素朴な疑問その1
西表島に生息する、同じ絶滅危惧種の「イリオモテヤマネコ」は国の特別天然記念物に指定されているが、「特別」が付くか付かないかは、どこで線引きされるのだろう?
「ニホンオオカミ」や「トキ」を絶滅させた日本は、「ツシマヤマネコ」も絶滅させるかも知れない。
そもそも「ツシマヤマネコ」の生息数が激減した要因としては、以下の事柄が挙げられている。
1.森林伐採による餌(ネズミ)の減少
2.交通事故
3.冬場の餌不足
4.ペットから感染したというFIVなどの病気
5.農家の家畜を襲う為に、違法という意識もなく仕掛けられたトラバサミ
6.本州から導入された猟犬
しかしその他にも、その肉が美味しいので、かつては専門の猟師もいたと言う。
このひとつひとつの問題に関して、私は意見を述べるものではない。いずれも、この「ヤマネコ」を絶滅させてやろうという無駄な悪意に基づいてなされた事ではないのだろうから。
他にも「ダイトウオオコウモリ」も「天然記念物」で「絶滅危惧種」として保護が進められていると言うが、やはり高級果実栽培農家にとっては被害をもたらす厄介者として、以前のニュース番組で農家がコメントしているのを聞いた事がある。
島根県のある島では、やはり農作物を食い荒らす害獣として、島の観光アイドルにもしていたタヌキを大量に駆除しようとしているし、アライグマなどは外来種の害獣として全国規模で駆除が進められている。
高い養殖の貝や魚を食い荒らすラッコやイルカだって、漁業関係者にとっては迷惑な存在なのだ。そしてイルカを獲って食うからと、日本人はオリビア・ニュートン・ジョンに批難された訳だ(話が古いね)。
素朴な疑問その2
ある人たちにとっては甚だしく「害のある生き物」として当然の如く駆除され続けても、生息数が「絶滅」を危惧される程魔までに減れば、それは今度は保護対象にするという事なんだろうか?
素朴な疑問その3
生息数が多ければ、絶滅危惧種と違って駆除する事はどこまで許されるのだろう?
そもそも「誰」が許し、「誰」が許さないのだろう?法治国家だからといって、「種」の存続に「法」がその権限と責任を負えるのだろうか?
害獣を駆除に向かわせない為の方法として、私たちが野良猫を避妊するように野生生物も避妊をしようという試みがある。
それはとても素晴らしい事だろうと思う。
但し、避妊だけして餌付けが継続的に行われない限り、ただリリースしてもまた農作物や家畜を襲う事をせずには生き延びられないだろう。
それでは、「害獣」として忌み嫌うギリギリの生活をしている人たちの問題は解決されず、天然記念物だろうがこっそり「トラバサミ」で傷つけ殺してしまうような人たちは後を絶たないだろう。
アライグマやタヌキ、ヤマネコを生かして我々貧しい農家を見殺しにするのか?と言う声も聞こえて来そうだ。
いや、実際、「天然記念物よりうちのニワトリの方が大事」と言う農家のコメントを、テレビではしっかり流していた。
被害に遭っている農家への保障無しに、野生生物を「可哀想」「可愛い」というだけで守ろうとするのは、これは余りにも無責任な事なのではないのか。
私は猫も犬もカラスもタヌキもアライグマも、それから見た事は無いがコウモリも、みんな精一杯生きている生き物として、その尊厳には人間のそれと少しも差が無いと考えているし、実際、「可哀想」という気持ちや、「可愛い」という思いも平均以上にあると思う。
それでも、人間が主導権を握る社会に於いてある種の生き物が共存し難い問題を多く生み出しているとしたら、単に「駆除反対」とだけ言うのは間違いであるとも思う。
綺麗事で反対するのは簡単だ。でも反対するからには、私は何らかのリスクを負いたい・負うべきだと考えている。
そうなると、何にでも簡単には手を出せるものではなくなるのも事実だ。
私は身近な野良猫に問題を絞って、自分のセンチメンタリズムを少しでも満足させられるよう、責任を持ちたいと思う。その為には手を汚し、足と金と時間を使いたい。
避妊だけでは駄目。餌やりや糞掃除も同時に続けてこそ、野良猫の被害は軽減されるだろう。
勿論、よく聞く「そんなに可哀想なら自分の家に全部連れて帰れ」と言う猫嫌いの人たちの論理も、自分の限界までは受け入れて実践しているつもりだ(尤も、私はそういう批判を誰からも一度も言われた事が無いのだけれど・・・)。
だって、どう考えても、野良に置くよりも家に入れてしまった方が気楽だもの。人から言われるかどうかの問題ではないのだ。
手間と時間とお金は掛かるけれど、それだって人間が海外旅行したり、ブランド物を買うよりは安上がりだと思う。
先日も病院でお会いした、猫に治療費が掛かって大変・・・とこぼす初老のご婦人の着ていた上着は、高いブランド品だったっけな。
ただの反対運動には賛同しないのと、避妊だけでは今そこにある農業被害の問題解決にはならないという思いがあるので、我が家の近隣にも生息している(見てしまえば、そりゃあ可愛い)タヌキやアライグマの駆除問題にも口も手も出せないというのが本音だ。
それは卑怯な事なのだろうか。何もしないよりは、反対運動だけでもした方がマシなのだろうか。
いや、リスクを負う事の無い運動には、やっぱり私は手が出せない。
被害に遭っている農家に保障をして害獣として駆除しないで貰う為の募金・・・なんて考える人はいないのだろうし、それはそれでまた新たな問題を孕む事になるに決まっているし。
だから既に国が「天然記念物」扱いしてくれている可愛らしい野生動物の「ツシマヤマネコ」の絶滅危惧に関しても、複雑に絡み合う大きな要因を、地球の未来をどういう姿に構築して行くかという総合力で正して行かない限りは、ただ憂うのは如何なものかと思う訳だ。
可愛い、可哀想だという気持ちが強いだけに、だったら尚の事、私には何が出来るのかという事を考える事なしには、可哀想と言う資格は私には無いのだと思うのだ。
それは、野良猫の餌やりと避妊を個人でして来たからこそ出来上がってしまった、私のスタンスなのだとも思う。
素朴な疑問その4
野良猫もカラスもタヌキもいつか絶滅に瀕したら、国を挙げて珍重し保護しようとしてくれるのだろうか?
人間は、多くのものを犠牲にして生きている。その罪深さゆえに、新たな問題を次々と生み出していく。地球全体で悲鳴を上げていると言えなくも無い。どこかでリセットされる日は近いのだろうか。
この罪故に、仮に「猿の惑星」では猿たちに奴隷扱いされる人間に生まれ変わったとしても、その時は甘んじてその運命を受け入れなくてはならないかも知れない。
「猿の惑星」で猿に奴隷にされようが、「ベン・ハー」では奴隷以下の罪人とされガレー船を漕がされようが、或いは他のあらゆる映画での役柄のチャールトン・ヘストンのように、常に逆境に逆らって自身の力でねじ伏せていくタイプとは、私は違うような気がする。
別に俳優チャールトン・ヘストンを嫌いな訳ではない。むしろ好きな方だったと思う。元全米ライフル協会会長としての彼は嫌いだと感じたけれとど。
プティはメラやビル、そして両親たちよりも1日遅れで保護出来た仔猫だった。
一晩中我が家の周りを走り回りながら、悲痛な声で鳴き続けた。この中に僕の大事な親きょうだいがいる・・・・という事は解っていたのだろう。
どうして僕はいきなり一人ぼっちになってしまったのか・・・それはさぞや心細くて、彼はパニックだったに違いない。
今、彼は自分が捕まった場所である「濡れ縁」を室内から見ている。暖かい陽射しのある日には、外は一見「自由な天国」だろう。
でも、決してそんな事は無い。
境界性の無い世界で、人間達の勝手に作ったルールを知らず、そのルールを守れない身には、そこは天国ではあり得ない。
決して出られないんだよ、プティくん。今いる場所が、君の「天国」なんだ。完璧じゃないとしても、君も協力して「天国」にして行くんだ。
パパとママに協力して、私達なりのユートピアを作り上げ、それを維持しようね。
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