ジニー
夢見る乙女
Nov. 10, 2008
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2008年11月10日 月曜日
昼、モアの通院。
遂に痛みが増し、食べられなくなってしまった。でも前回の注射から46日目。よく頑張ったね。
3週間効果が続くという薬だが、普通ならばどんどんそのインターバルが短くなり、遂には効かなくなってしまうのが普通だ。
来春で、発症してから丸4年になる。これだけの状態をキープしていられるのは、ハイポのお陰としか言い様が無い。誰がどう言おうと、それだけは確かだろう。
他には何もしていない、したくてもさせてくれない・出来ないのだから。
体重は5.1キロ。よく食べていたのに、少し減っていた。最近はよく運動しているせいだろうか。
毛づやは良いし、元気もある。口の中が炎症を起こしていて痛みがあるだけなのだ。どこまで維持させてやれるか・・・アインとジーコの頑張りも凄かったし、カワムラさんも奇跡的な頑張りを見せてくれた。
モアも彼らに勝るとも劣らない。
共に生活出来る幸せを、共に噛み締めたいね。痛い口ではあっても・・・。
明日はゴミの収集日だから、今夜は頑張って「開かずの間」のゴミに着手する。
捨て難いキッチンの道具類は一旦後に回して、押入れ付きの納戸に踏み入る事にした。
人類未踏の洞窟に分け入る気分だ。あなおそろしや。
姑の残した物の数は膨大で、60年分くらいは軽く溜め込んである。
前の家からも引越し時に運んだのだろうと思うような古くて壊れた道具類もまだまだある事が、3時間くらい片付けてゴミ袋を20個くらい作った後に、漸く解って来た。
二人で呆然とする。こんな腐ったものまで封印をして取って置いたのか・・・という得体の知れない物(多分、味噌漬けか糠漬けの腐った床だろう)もあれば、虫のわいた乾物も大量に出て来た。
買えば高い「花豆」が乾物屋がやれるほどある。でもかなり古いものだろうから、勿体無いとは思うけれど捨てる。
途中で虫(シバンムシと丸々太ったカツオブシムシたちだ)をガムテープに貼り付けながら掘り進める。発掘調査でもある。
やっと人が二人入れる位、床が見えてきた。だけど一度に出せるゴミ袋の数には限度があるから、今夜はここまでにしようとこうちゃんが言う。
私は一気に全て片付けたい気持ちを抑えて、終了とする。
私は引越しの度、ダンボールの荷物がひとつも無くなるまで殆ど寝ずに一気に片付けて来た。それはもう病的なまでに一気にやる。やり終えないうちは眠くもならない。
でも最後の引越しをした時はまだ30代の半ばだったのだ。今とは体力が違う。持病もまだ発症していなかったし、痛いところも無かった。
神経痛と関節痛を抱えた今、気持ちが済むまで動き続けてしまうと後が大変な事になるだろう。ペース配分をして、次のゴミの日にまた少し掘り進もう。
そして何ヶ月掛かろうとも、押入れの中の恐ろしい量の不燃ごみも全て捨ててやる。
そこを綺麗な一部屋としてから、今度は私たちが納戸として使うのだ。
その部屋は、こうちゃんのお祖母様が寝ていた部屋だと聞いている。
お祖母様という人は、姑が嫁いで間もなく空襲で都内の実家が焼けてしまって以来、ずっと娘の婚家で一緒に暮らしていた姑の母親の事だ。
実は舅が亡くなった時に戸籍謄本を取った時、初めてこうちゃんはお祖母様が自分の母親の養母であった事を知った。
男の子って、親戚の事も親の昔の事も全然知らないものなんだな・・・と呆れた。
お祖母様はとても優しい物静かな人だったらしい。
姑は養母に対していつもきつい物言いをしていて、こうちゃんは幼心にもそれが嫌だったと言う。
養母は姑の実母の姉だったとか。どういう事情でそうなったかは知らないけれど、養女に迎えた一人娘として大事に大事に育てられたのだろう。
姑がいかにも東京の下町の育ちらしい(戦前の麻布の生まれ育ちだ)一見きつい性格だった事は、数々のエピソードを思い出してもよく解る。普通は言えないような事を、たくさん言われたし聞いた。
でも、ただ世間知らずだっただけなのかも知れない。
それにこうちゃんの母親である事は事実なのだから、こういう優しい息子を産み育ててくれた事への感謝は忘れてはいけない。
でもこうちゃんは言う。俺は父親にも母親にも関係なく、自分の価値観と生き方を子供心にも意識して作り上げて来た・・・と。
それも解るような気がする。そう意識する前は、姉達を追いかけてはしみじみと泣かせる程の「サル」だったとしても。
夜中、カイルをブラッシングした後、振り返るとジニーがいた。
そろりそろりとスリッカーブラシを近づけてみると、いつものように逃げなかったので、そっとブラッシングしてみた。逃げないで2分間くらいブラッシングさせてくれた。
あまり下毛が抜けない。ホワンホワンの真っ白な下毛が、ほんの少し取れた。
「取れたよ」とジニーに見せる。
いつもぶーちゃんの大量の抜け毛を、ジニーに奪取されまいと攻防が繰り広げられるのだ。
ジニーは自分の毛にはあまり関心がないようだった。
可愛いジニー。
うちの子になって2年・・・やっと触れたね。
でも直ぐにぶーちゃんのいる箪笥の上に逃げちゃった。
そして一晩中ずっと、ぶーちゃんに寄り添っていた。
毛布より暖かいものね、ぶーちゃんは。
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