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ガラ

ガラちゃんだって・・・

Aug. 29,2009
ガラ
2009年8月29日 土曜日

昨夜は、久し振りの熱帯夜だった。

そりゃあ、まだ8月だものね。




先日4本もDVDを借りたのに、あれっきり観る時間が無くて、1週間も貸し出し期限があったのにあっと言う間に返却期限当日になってしまった。

悩んだ末、頑張って観る事にした。1日で2本観るのは今の私達には辛いけど、まあ何とかなるでしょう。






1本目は【エリザベス】。

結果的にだが、2007年の【エリザベス・ゴールデンエイジ】の前編のようなものだ。

エリザベスが腹違いの姉であったメアリ1世の死によってイギリスの王位を継承し、スペインやフランスとの駆け引き、スコットランドとの戦争、自分を亡きものにしようと企てるカトリックの勢力の粛清などの紆余曲折を経て、確固たる地位と尊厳とイギリスの国王であるという自負と覚悟を得るまでの物語。

原題 : Elizabeth
製作年 : 1998年
製作国 : イギリス

ロンドン塔に幽閉されていた頃や、即位して間もない頃のエリザベスのまだ自信無さそうな戸惑いに溢れた表情が、最後には一部の隙もない強い意志に支えられた女王の顔に変化して行くのが面白い。



ケイト・ブランシェットはいつも上手いけれど、エリザベス1世を演らせたら天下一品、この人よりも適役がいるだろうか?と、イギリス人でもない私でもそう思う。

イギリス人の方には僭越で申し訳ないけれど。




女王となる前からの恋人で、女王となってからも愛人であった役のジョセフ・ファインズは、世界中の女性に人気があるそうだが、私の目にはウェンツ瑛士に見えて仕方がなかった。

どうにも見た目が頼りなくて、弱々しい。

目が寄ってる。



予告編しか見ていないけれど、【恋におちたシェイクスピア】のシェイクスピア役の方がまだ適役だと思う。




何しろ有名なイギリスの一時代の歴史物語だし、カトリックとプロテスタントの争いやスコットランドとフランスの関係、イギリスとスペイン王室との関係、その後の戦争・・・余りにも膨大な史実が盛り込まれ、ある程度の時代背景を知らないと、見ていてもよく解らない部分があるのではないかと思う。

そんな言い草をする私だって、イギリスの歴史はつまみ食いして来ただけだ。

元々はリック・ウェイクマンのアルバム【ヘンリー8世と6人の妻】を聴いていた頃、ヘンリー8世やその6人の妻のあれこれ、そしてその時代背景を知りたくて勉強して程度である。



後にスペイン史は詳しく学んだものの、当時のヨーロッパ諸国の関係は複雑で、1国だけを見ては理解出来ない。

改めて各国の歴史を学んでみたいと、こういう作品に触れる度に思う。






字幕の日本語訳で、ちょっと疑問に感じた事があるので書いておきたい。

それはラストのシーンでエリザベスが髪を切り落とし、石膏像のマリア像のように白塗りをして言う科白だ。

"I become (became?) the Virgin."

これを字幕では「私は処女になった」と訳されている。

でも、それでは前後の脈絡が意味を成さないではないか。この件に関して考察してみたい。



死を覚悟したカトリック派の女王メアリー1世が、「淫売の娘」と罵り続けていた腹違いの妹エリザベス、しかもプロテスタント派の妹エリザベスに不本意ながら王位を継承する条件として、「国民から聖母を取り上げないで」と訴える重要なシーンがある。

聖母マリアを崇拝する事はカトリックならではの事なので、つまり、私メアリーが死んだら、貴女エリザベスに王位は譲ってあげるけれど、どうかイギリスをカトリックからプロテスタントの勢力に変えないで欲しいと言っている訳だ。



メアリー1世は有名な「ブラッディ・メアリ」の事だ。つまり、熱心なカトリック教徒であり、それに反対する新教徒たちを追放したり厳しく迫害・弾圧した事から付いた渾名だ。

しかし自分が死ねば、妹の支持するプロテスタントが勢力を増してしまうのではないかと危惧している。



何故、メアリー1世はそれ程までにカトリックに拘っていたのか。

それは、1つには母親の代からの遺恨があるだろう。

自分の母「アラゴンのキャサリン」がヘンリー8世と離婚させられる原因を作ったのが、エリザベスの母であったという因縁がある。

当時の英国の国教であったカトリックのままでは国王と言えど離婚できないので、ヘンリー8世は強引に英国国教会をカトリックから離脱させ、合法的にキャサリン王妃と離婚し、再婚した相手がエリザベスの母親「アン・ブーリン」であった・・・という経緯があった。

イギリスの国教がカトリックのままであったならば、自分の母は憂き目に遭わず、また自分も惨めな幼少時代を送らずに済んだのに・・・という私怨もあったに違いない。



母親キャサリンは、イスラムを排してスペインを統一(レコンキスタ)した「カトリック両王」フェルナンドとイザベルの娘だ。

つまり血筋として文句なしの王妃であった。

父のフェルナンド国王は、スペインの1地方であるアラゴン王国の王子であったから、きっと父親の出身に因んで「アラゴンの・・・」と呼ばれたのだろうか。

従って、キャサリンも熱心なカトリック教徒であった事は推察される。



そしてもう1つ、メアリー1世の結婚相手はスペイン皇太子フェリペ、後のスペイン国王フェリペ2世である。

フェリペ2世と言えば、スペインが最も国力を強大化させていたカルロス1世(神聖ローマ帝国カール5世)の息子であり、これまた熱心なカトリック教徒であった。

一緒に暮らす時間は殆ど無かったであろう結婚であっても、メアリー1世がカトリック擁護をし、新教徒を弾圧するに至った経緯が推察されるではないか。



だから、嫌々ながらも王位継承者である妹に、カトリックを守って欲しいと約束させたかった訳だ。

この時、エリザベスは「約束します・・・自分の良心に従う事を」と答えて、姉メアリーの怒りを買う事になる。





そして物語は進み、前述した歴史に残る大きな紆余曲折を経て、自分は誰とも結婚せず英国と結婚したと宣言するにあたり、プロテスタントでもカトリックでもなく中道路線をとって、父王であったヘンリー8世の推し進めた「英国国教会」をイングランドの国教として選択する。

政治的にもがる賢い女王であったのだ。



この英国国教会はプロテスタントに分類されているが、元々はローマ・カトリックから派生し独立したものだけに、カトリックの儀式などからそう遠いものではないらしい。

プロテスタント擁護派であったエリザベスが、いよいよ覚悟を決める前に、真っ白い石膏(?)のマリア像の前にひざまづいて、まるで「ゲッセマネの園」のイエスの如く、取り乱しながら心中を語る。



そしてそのマリア像を模したような異様な白塗りを全身に施して言う科白こそが、先述の科白・・・

"I become (became?) the Virgin."

という訳だ。



これを、正式な結婚はしないから処女になったわ(これで再び?)・・・と訳したのでは前後の脈絡無視も甚だしいし、本当の意味をなさないのではないだろうか。

この「the Virgin」は「聖母(マリア)」という意味と解釈しないと、メアリー1世の先の最期の懇願も、その後エリザベス自身が苦しんだ末に選択した中道路線も、意味を持たなくなってしまう。

確か定冠詞の「the」がついたら、「Viegin」の意味は「聖母マリア」の事を言うのではなかったか?



亡き姉の望んだカトリックは受け継がないけれど・・・つまり聖母を信仰の支えとして求める国民から聖母信仰は奪う事になるけれど、自分が聖母となって国民の信仰を支えるのだという決意の表れ、それがあの言葉と白塗りでなければ意味がなくなる。



だから"I become (became?) the Virgin."は「私は聖母になった」と訳さなければおかしい。



誰か、もっと詳しい人がいたら、この件について教えて下さい。



DVDは無事に夜中の閉店間際に返却出来たけれど、もう一度気になる部分を観直す暇が無かったので決して自信はないのだが、おそらく私の解釈は間違っていないと思う。





頑張って欲張って観た2本目については、長くなり過ぎるので明日にまわそう。
ガラ

生まれつき・・・

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