《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記
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テト

大志を抱くボク

Nov. 4, 2009
テト
2009年11月4日 水曜日

小春日和。

昼間は少しの間、暖房を切る事が出来た。

但し、その間もモアにはスポットで小さなオイルヒーターをつけている。暑くなれば涼しいところに移動するので、くれぐれも体温を下げてしまわないように・・・。



夏には涼しく感じる1階の広い部屋が、冬には暖房効率が悪くて仕方ない。

全てに上手く行く事って少ないのね。








昨夜の深夜、BSでフェリーニの【道】を観た。

フェリーニ作品の中ではあまり好きな映画ではなかったので気が進まなかったのだが、神経痛で眠れないから仕方なく観ていた。

多分、30年ぶりくらいだ。細かい部分は殆ど忘れていたし、勘違いしていた事も幾つかあった。



何故、20代の頃の私は、この作品が好きではなかったのだろう?

そう思いながら、今回じっくり観直してみた。



ザンパノもジェルソミーナも、想いが相手に上手に伝わる事が無いままで、それが何より悲しい。

リチャード・ベイスハート演ずる綱渡り芸人も、ジェルソミーナに優しい言葉を残したようでいて、結構ひどい事を言っている。

そしてあっけなく、道端で死んでしまう。



一番の名演は、アンソニー・クインだろう。

ザンパノは余りにも小汚い役作りだし、実際小悪党で不器用でコミュニケーションが成り立たない粗野な男なのだけれど、あの程度の酷い男は、古い日本映画には幾らでも出て来る。

女房を泣かせ、口で敵わなければ暴力をふるい、愛してるなどとは口が裂けても言わない不器用な男。何もザンパノだけじゃない。でも女をマメに褒める男の多いイタリアでは、ああいうタイプは珍しいのかな。


それにこのザンパノ・・・決してジェルソミーナに愛情をかけていなかった訳じゃない。

大道芸にも支障が出る程、すっかり精神がおかしくなってしまった彼女を持て余し、眠っている間に置き去りにして行った事は確かだ。

しかし、寒くないようにと毛布を掛けてやり、幾らかの札を握らせ、好きだったトランペットも傍らに置いてやる。

そこには、これまで一度も他人を思いやった事など無かったであろうザンパノなりの、ささやかな思いやりや愛情があったはずだ。

勿論、それは愛ある行動としても完全じゃないし、そもそもが利己的な行動だ。

それは弱い小さな仔犬を捨てるような真似だったかも知れない。

しかし、どこへ行っても人々に好かれ、サーカスでも修道院でも「一緒に来れば食いっぱぐれないよ」「ここに残れば良い」と心に掛けてくれる人が後を絶たないジェルソミーナだけに、何とか生き延びて行けるだろうと踏んだのかも知れない。



それでも、ジェルソミーナが孤独なまま死んで行った事を知り、悔やんでも悔やみきれないからこそ、ラストでは慟哭する以外ないザンパノなのだ。

そんなザンパノを見て、自分とそう違わないと自覚出来た戦前派の日本男児はどれだけいただろう。私に言わせれば、私の父親だって少なからずザンパノである。

暴力こそふるわないものの、妻に愛情を口にする事などないだろう。



因みに我が夫は、少しもザンパノではない。

そしていまどきの若い男の子たちも、ザンパノであっては堅気の一般的な女の子たちには相手にされず、子孫を残せないだろうね。





ジェルソミーナのジュリエッタ・マシーナの演技は、やや誇張し過ぎているように思えてならなかった。

知恵遅れで愛情深く、純粋で従順で愛らしく・・・等と言い尽くされたジェルソミーナの個性とは関係ないところで、フェリーニ特有のデフォルメが、この作品のこの女優に限ってちょっと鼻につくのだ。

ひとつには、ジェルソミーナの表情の動きが非常に説明的で大き過ぎるのかも知れない。

幾ら上手い女優であっても、人並み外れて聡明でキビキビしたジュリエッタ・マシーナのような女優に精神薄弱の役を演じさせる事が、そもそも無理ではないのか。

だからあそこまで誇張せざるを得ないのだ。



そしてもうひとつには、ジェルソミーナがザンパノの大道芸を手伝う「道化」という役回りだった為に、当然、表情は誇張されたものになるのだろう。

しかし、どう頭が弱い女を演じていても、時折、大変に才気煥発な感じが出てしまう。

知恵遅れには到底見えないのだ、ジュリエッタ・マシーナは。



そしてジェルソミーナを演るには、やや老け過ぎているように感じる。

当時、ジュリエッタ・マシーナはまだ33歳くらいなのだが、時折40過ぎにも見えてしまうのが辛い。



そうは言っても、やっぱりアンソニー・クインとジュリエッタ・マシーナは上手い。

それぞれの演技をじっくり鑑賞するに値する作品である事に間違い無い。



この映画の監督であり、ジュリエッタ・マシーナの夫でもあるフェデリコ・フェリーニの作品の中では、【道】という作品は際めて叙情的で解り易く、この映画を好きだと言う人は多い。

私も50を過ぎて改めて観てみると、色々な想いが胸にしみた。



パートナーには愛を解り易く伝え、感謝し、互いの存在を認め合い、ささやかでも地に足の着いた幸せを共有しよう。

ザンパノのように泣かないで済むように。
テト

どう、凛々しい?

Nov. 4, 2009
テト
テト

それとも可愛いだけ?

Nov. 4, 2009
テト
テト

爺ちゃん、聞こえる?

Nov. 4, 2009
テト

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