猫雑記20100511

《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記

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ジャム

何の事？

May. 11, 2010

2010年5月11日　火曜日

朝から雨で、外に出るとやや肌寒い。

家の中は寒いと言う程ではないのだが、モアやトム、タム、マーゴやアンダなど具合の悪い子たちもいるので、弱く暖房を入れている。

お陰で私はタンクトップだけで過ごせる位に暖かい。

省エネとは無縁な我が家・・・申し訳ないっす。

我が家の本棚は、猫の居る部屋にあるものは全て扉付きだ。そうしないと、本と棚の隙間に入りたがる猫がいて、本を落として自分の居場所を作ろうとするからだ。

それはもうミュウしか居なかった時に経験して、これはダメだ・・・と思って以来、棚だけの本棚は廃止したつもりだった。

だけど年々どんどん本は増えるし、扉付きの奥行きの深い本棚を置ける程のスペースの余裕がなくなって来たし、そもそも扉付きの本棚は高価なものが多い。

それで本の奥行きに合わせた薄べったい、且つ床から天井まで届く手作りの本棚も作ったりしたのだが、素人がガラスの入った扉を作るのは難しくて、どうしても本が剥き出しになる。

なので、その本棚にはカーテンを付けた。

足元でカーテンがユラユラしていれば当然猫に気付かれて遊ばれるだけだろうが、幸か不幸か部屋の狭さゆえに足元は人間のベッドで押さえられている。

それでめでたしめでたし（但し足元に近い下段の本は物凄く取り難い）となったのに、最近、ほんの少しの隙間から棚に入り込める事をアンちゃんが発見した。

何しろ小さくて細いアンちゃんだから、どこにでも入り込める。

それだけでも困ったな・・・と感じていたのに、それをジャムがじっと見ていた。

そして本日、棚を隠している布には裾があるのだという事を、ジャムが気付いたようだ。

私が仕事をしている後の方で、何かをカリカリ、ザリザリ、シャリシャリと音を立てている。何かやってるな・・・と思いつつも、集中に入っている時だったので、なかなか振り返って確認までは出来なかった。

どうせイタズラされてまずいもの・・・特に紙食いジャムが食べてはいけないものは出しておかないよう心掛けているのだから、またきっとベッドの上で穴掘りでもしているのだろうと思っていた。

勿論、穴なんか掘れっこないのだけど、毛布やタオルケットをひたすら掘るのだ。それが楽しいなら、やらせておけば良いや・・・そう思うしかない。特に被害は無いし。

ところが、仕事を終えて一息つこうと思ったら、ベッドの上の風景がいつもと違う。

何が違うんだろう？と良く見ると、いつもは見える枕が見えない。そこにはカーテンの裾がすっかり引き出されて、その中に大きなジャムがすっぽりと包まっていた。

カーテンは突っ張り棒で吊るされているので、ジャムの重みで引っ張られ、いまにも落ちそうに傾いている。

大きな大きな丸い塊りが、お気に入りの花柄の生地に包まれている。包まれたジャムは、顔も尻も尻尾も見えない。

それは楽しいのか？隠れているつもりなのか？

ジャムが仔猫だった頃、ミュウの身体の下に敷かれて「キュ～」と鳴いていた時の事を思い出した。

ミュウの柔らかい身体がたぷりと伸びて、小さなジャムを巻き込んでいた。

香箱を組んで寛いでいたミュウの周りで、仔猫のジャムがあまりにもチョロチョロとイタズラばかりしてたものだから業を煮やしたのだろうか・・・ミュウは顔色ひとつ変えず、右手（右前足）だけでジャムの身体を抱え、一瞬で自分の身体の下に入れてしまった。

あの「キュ～」は、助けを求めていたのではなかったのかも知れない。楽しかったんだ、きっと。

今では８キロの巨大猫になってしまった女の子のジャム・・・ジャムを片手だけで巻き込んで身体の下に隠してくれるような大猫は、もう居ない。

たとえミュウが生きていても、同じだけの体格と柔らかく伸びるジャムを自分の下に敷いて隠してしまう事は、もう出来ない。

むしろジャムは、自分の身体の中に大きなミュウをすっぽりと隠してしまえるように、その為にこんなに大きくなったのかも知れないと思う事がある。

寝る前、私に腕枕されて穏やかな目をして私をじっと見つめている時、「ミュウちゃん入ってるの？」と声に出して訊いてしまう。

血縁なんかなくても、ミュウやカワムラさんやみーちゃんのＤＮＡは、共に暮らし関わり合った後輩猫たちの中に少しずつ、でも確かに受け継がれているようだ。

死んでしまっても、失った事にはならない。身体は無くなっても、私の心の中だけじゃなく、他の猫たちの中にもしっかりと生き続けている。

寂しい・悲しいと思えば、寂しくも悲しくもなる。

だけど今尚続く幸せを貰った事も確かなのだ。

有り難う、そう遠からず傍に行くから待っててね。そしてみんなで「バター」になるんだよ。

ジャム

ジャムは知らないよ

May. 11, 2010