ジャム
またアンちゃん
叱られてるよ
May. 11, 2011 |
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2011年5月11日 水曜日
昨日からの雨が一日中降り続く。
肌寒い。
5月も中旬になるというのに、こんなに気温が低くなるなんて・・・責任者出て来い!
雨だけど、買い出しには出掛ける事にする。
ずっと家で仕事ばかりしていると、心にカビが生えてしまいそうだ。
それに、たとえスーパーの中だけでも歩かないと、足の浮腫みがひかない。歩くのが一番なのだ。
それは解っているのに、なかなか歩けない。
やっと膝と股関節の痛みもコントロール出来て来たような気がするので、また少しずつ歩こう。
今日は「イオン」の中を頑張って一杯歩く。
せいぜい1000歩くらいだけど、それでも少し前からみれば進歩している。
朝食用のパンをたくさん買い、口寂しい時に食べる(食べるなって!)ナッツをたくさん買う。
パンはジッパー付きの保存袋に入れ、出来るだけ脱気してから半分は冷凍し、半分は野菜室に入れて保存する。
もっとマメに、少しだけ買いに行った方が美味しく食べ切れて良いのだろうけど、ガソリンが無駄になるし、資源節約の為にもまとめ買いする事にした。
「イオン」でパンを買っていると、あの日、3月11日の大地震の記憶が甦る。
レジで会計をしていた時だったっけ。
「イオン」に行ったのは、あの日からまだ2度目だ。
「イオン」のせいじゃないのだけれど、なかなか足が向かなかった。
どうしてもあの大地震が、意識下のどこかの部分を錆びつかせてしまっているようだ。
そして扉がなかなか開かない。
そういうのを放置していては良くないから、何度も扉を開け閉めして錆を落とそう。
別にどうしても「イオン」に行かなきゃならない訳じゃないけれど、あそこのパン屋は利用価値あると思う。
「あのパン買えて良かったね」
「また来ようね」
二人だと大した事じゃなくても楽しい。安上がりに幸せになる私達。
うちの2階の3匹は、なかなかに我が儘で悪党揃いだ。
特にアンちゃんとジャムは、いつも私かパパに叱られている。
「ダメだって言ってるだろ?」とパパの声が聞こえると、大抵はジャムがパパの仕事用の辞書か書類にどっかりと乗っている。
辞書もデカくて重たいけれど、ジャムもデカくて重たい。
しかもジャムは柔らかくて取り扱いがし難い。
A4サイズの書類なんか、広がったジャムのお肉の下にすっかり隠れて見えないし、無理矢理引き抜こうとすれば破れてしまう。
私達が食事を始めれば必ずジャムは電光石火でテーブルの上にその巨体を現し、条件反射のように向かい合っている二人の間に入ろうと頑張る。
入らせまいとして、私達も肘を張ったりしてガードを頑張る。
でも何が何でも入って初志貫徹するジャム。
そこには熱いコーヒーカップがあったり、マヨネーズをたっぷり盛った温野菜があったりするので、危なくて仕方ない。
カップは倒れ、コーヒーはこぼれ、ジャムはマヨネーズまみれになる危険が大きい。
「ジャムがマヨネーズまみれ」・・・知らない人が聞いたら、何の事か解らないだろう。
不味そうでキモチ悪い・・・そう思われても仕方ない。私だってそんなものは食べない。
因みに「ゴマがマヨネーズまみれ」でも充分に紛らわしいが、行儀の良いゴマがそういう羽目に陥るリスクは少ないし、ゴマとマヨネーズだったら相性は悪くない。
私も時々「胡麻マヨネーズドレッシング」のようなものを作るし。
しかし、ただでさえテーブルの上には猫ご飯の台があったりして、とても狭いのだ。
そこに料理の皿や鉢を並べ、ジャムが寝そべってハーレムの王様のように足を投げ出して寛いでいたら、私達はどうして食事なんかおちおちしていられよう。
「ダメダメ!ノーノー!食事中テーブルで寝る、悪い猫よ!バッド・キャト!」
何だか怪しい中国人みたいになってしまう。
アンちゃんが加わってテーブルでチョロチョロし始めると、もはやそこは食卓ではない。
行った事は無いが、ディスコのお立ち台のようなものか?
「ノーノー ジャム!ヒア イズ ア バッド キャット ウィズ ブラック スモール キャット オン ザ テーブル」
もはや叱ってすらいない。
私達が受けた頃の中学生の英語は、こんなんだったな。
「ゼア イズ ア ドッグ イン フロント オブ ザ ミュージアム」
そういうのを思い出して揶揄しているだけだ。
叱ってすらいないので、勿論、効果なし。しかし叱っても効果が無いので、面白ければ良いや。
そういう訳で、アンちゃんとジャムには一日中やられ放題。
私達の食事環境は、いまや監獄の囚人以下だろう。
猫が食卓に居ないところで、落ち着いて外食したいけど、それはそれで落ち着かない。
「待っているだろうな、みんな」と思うと(別に待ってなどいなくて寝ている事が多いのだが)、おちおち外食も楽しめない。
アンちゃんは、私がクローゼットだろうが食料保管庫だろうが押入だろうが、兎に角扉を開ければ、どこで眠っていても次の瞬間には中に飛び込もうとしている。
瞬間移動出来る超能力を持つ、エスパー猫か、アンちゃん。
「ダ〜メだって言ってんでしょ?」
そんな事で言う事を聞くようなアンちゃんではない事は先述の通りだ。
言い終わるか終わらないかのうちに、アンちゃんの黒い影はもう戸棚の中の、狭い隙間に入り込んでいる。
積み上げているストックの物がドカドカと崩れて来る。
「何回怒られたら気が済むの?えっ?何回だか言ってみなさい、その回数だけ怒ってあげるから」
次第に変な叱り方になって来る。
アンちゃんは叱られるとテーブルに駆け上がって、常時置いている紙箱の上に乗り、その箱の縁をバリバリと爪で引っ掻くのが常だ。
その箱は丈夫な和紙で出来ていて、アンちゃんが爪研ぎをするのに良い按配らしいので、かなりボロボロになって来たのだけれど置いているのだ。
それはアンちゃんがご飯を食べる時の踏み台にもなっている。
ご飯の器が猫テーブルの上にあるものだから、小柄なアンちゃんには一寸高いのかも知れない。しかしその紙箱に乗ると、丁度良い高さになるようだ。
叱られなくても、その紙箱をバリバリやるのは凄く楽しいらしい。
「バリッ、バリッ、バリッ、バリッ・・・」と一定のリズムで、かなりテンポ良く爪研ぎを続ける。
「アンちゃん、ご精が出ますね」と声を掛ける。
アンちゃんには、エネルギーが有り余っているようなのだ。
無駄に暴れ回り、走る途中に私達が居れば、私達の身体のどこかに傷を付けて行く。勿論、わざとじゃない。そこに私達が居た事が悪いのだ。
何たってアンちゃんの走り回るルートなのだから。
掛け抜けて行ってはテーブルに駆け上がり、紙箱をバリバリ。
「アンちゃん、ご精が出ますね」
毎日、日に何度と無くそれが繰り返される。
うちで一番の暴れん坊、それがアンちゃんとデンちゃんだ。
デンちゃんはまだ若いから仕方ないけど、アンちゃんはもう9歳だ。老猫と言っても良い。
なのにどうして、こんなにもエネルギーが余っているのだろう?
「アンちゃん、婆ちゃん(ゴマの事だ)をひっぱたく(叩くという意味だ)のはやめなさい!」
「アンちゃん、そこに入っちゃダメ!」
「アンちゃん、少しはじっとしていなさい、またコンコン(咳の事だ)が出るから」
叱られても全く意に介さず、めげず、そのまま私の身体にに駆け上がって来てスリスリゴロゴロと盛大に甘える。
こんなに可愛い猫もそうそう居ないんじゃないだろうか・・・と思ってしまう位、可愛くて可愛くて、それでも毎日何度も叱っている。
「アンちゃん、そこはダメッ!」
あまり叱られないのがゴマだ。
ゴマは、しずしずとうつ伏せでマッサージの手を待つ私の背中に乗り、おずおずとテーブルの隅にやって来て三つ指ついて「そのシシャモを少しいただけませんでしょうか?」と言葉を発する事無く私の脳に直接話し掛けて来る。
そしてゴマの好きそうなものを食べている間中、じーっと黙って手も出さずに私を見ている。
勿論あげない。
ゴマの余りのお行儀良さにほだされ、シシャモだろうとアジの開きだろうとあげても良い気になるのは確かだ。
だけどゴマはかつてホタテの食べ過ぎでストルバイトの経験があるから、ミネラル分の多いものは与えられない。
でも、ゴマの気持ちは痛いほど解る。
私だって塩分やタンパク制限をし続けていたら、死ぬ間際には塩辛とうな重とモツ焼きと吐くほど食べてから死にたい。
決して盗み食いしたり、手を出そうとしたり、「くれくれ」と鳴き続けたりしないゴマまでひっくるめて「悪党」呼ばわりするのは可哀想なのだが、別の意味でゴマも充分悪党だ。
それは、私達が疲れてやっと寝ようとベッドに横になった途端にする、枕トイレでのオシッコ。
それまでは日に何度も猫トイレでして褒められていたくせに、いざ電気を消して寝る態勢に入ったと見るや、ジャージャーとやってくれる。
そして「早く洗え」「さあ、洗え」「今、洗え」とばかりに、カバーを引っ掻き続ける。
う〜ん、どうしてこんなに猫たちに支配されているんだろう。
猫様たちの奴隷なんだから、それは仕方ないか。
それに、どの子もみんな「どうしてこかなら可愛いんだろう?」と口に出して言ってしまうほど可愛いから、何をされても平気。
どんな容貌でも猫だったら可愛い。
人間の場合とは大違いなのだ。 |
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