2017年10月12日 木曜日 |
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ジャム永眠。
午後5時8分、体の全ての働きが止まった。
やっと楽になったね、ジャム。
とても恐れていたこの時なのだけれど、心臓を口から吐き出しそうなくらい悲しく苦しいけれど、同時に大きな安堵も感じる。
可愛いジャムは、これでもう苦しまないで済む。
そして私はもうジャムを2度と失う心配が無い。
少なくとも愛するジャムを残して死ぬ事なく、またひとつ責任が果たせた。
ジャムを失ったんじゃない、ジャムと私の永遠の時のはじまりなんだ。
それは詭弁でもあり、真実でもある。
私には、生きる為により良い考え方をする必要がある。
それが出来ないと死にたくなってしまうだろう。
生きるのだ、死ぬまでは。
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ジャム 一昨日までは
Oct. 12 , 2017
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ジャム 首を上げられた
Oct. 12 , 2017
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ジャム 日差しが眩しいね
Oct. 12 , 2017
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一昨日までは首をもち上げる事が出来たんだ。
這うようにして、少し歩けた日もあった。
昨日からはもはや少しも動けず、首を上げる事もなくなり、横たわってほぼ昏睡していた。
時々、寝たまま、せり上がろうとしてもがいた。
苦しいのか、暑くなってしまうのか、兎に角少しでも動きたいのか。
昨日はまだ時々、寝言なのかうわ言か、それとも苦痛か不安か甘えなのかは解らないものの、か細い声で鳴いた。
私は必ず返事をし、ずっと名前を呼び続け、ママがついているから怖くないよと話し掛け続けた。
10分おきに鳴く日もあって、私は傍に座り続けて応えた。
時々、ジャムに歌ってやる事もした。
「静かな夜更けにいつもいつも思い出すのはおまえの事」
どうしてか、この歌が口をついて出た。
「おやすみ安らかに 辿れ夢路 おやすみ楽しく 今宵もまた」
ジャムは歌う私をじっと見ていた。
私は歌いながら泣いた。
延命は出来ずとも、せめてジャムの不安や恐怖を減らしてやりたかった。
果たしてそれがどれだけ効果あるか解らないけれど、もしジャムを少しでも安心させる事が出来る者がいるとしたら、それは私以外にはあり得ないのだ。
いつだってジャムはママを求めていたんだから。
そしてジャムは昏睡していても、確かに反応し続けてくれた。
ある時は小さく声に出して小刻みに返事をし、ある時は尻尾の先を動かして、そしてある時は呼吸を深く大きくしてお腹を波打たせて応えた。
私とジャムの心は完全にひとつだったと思う。
「いいね、身体から出たらすぐにママに入って来るんだよ」
そう語り続けた。
時間は掛かったけれど、やっと重たい身体を脱ぎ捨てて、その魂は私の中に入り込んだと信じている。
だから私、きっと今までにも増して我儘になるよ、ジャムが加勢しているもん。
「それはいいね」と、こうちゃんは笑った。
この10日ほどで20年分くらい泣いた。
誰が死んだときも悲しかったけれど、息絶える前からこんなにも手放しで泣き続けた事はなかった。
身体の水分が涙で出てしまって、どんどん水分を飲まないと干乾びてしまいそうだった。
そして殆ど眠らなかった。
どこへも出かけず、トイレと短時間のシャワー、そして簡単な料理をする以外、ずっとジャムに寄り添っていた。
歳も歳だし、とっくに身体は疲れ果て、目はよく見えないし、歩くのも危ういくらいに私の身体までが弱ってしまっていた。
ここまでにヘトヘトになると、私がジャムと一緒に死んでしまうんじゃないかと不安に思った。
けれど多分まだ私の場合、寝れば回復する。
そしてもう少しの間、生きるのだ。
責任を果たす為に。
そして時に笑い、幸せを噛みしめる時だってきっとある。
この数日間のジャムの様子を、ほんの少しお見せします。
写真なんか撮っても何の価値があるんだ?とも思うし、死にゆくわが子にカメラを向ける行為には躊躇いがあった。
けれどあまりに可愛くて可愛くて、だらしなく泣きながら撮り続けた。
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ジャム 少し眠るけど・・・
Oct. 12 , 2017
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ジャム 目が覚めて・・・
Oct. 12 , 2017
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ジャム 目を開いたら
Oct. 12 , 2017
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ジャム そこにママがいないと嫌だからね
Oct. 12 , 2017
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ジャム 傍にいるかどうか、たまにチェックするよ
Oct. 12 , 2017
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ジャム 後ろアタマも撮っといて
Oct. 12 , 2017
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はいはい、自慢の後ろアタマだからね。
ジャムの後ろアタマは、ミュウの後ろアタマとそっくりだ。
枕に頭を乗せて寝るところもミュウと同じ。
ジャムには時々ミュウが入り込んでいたし。
ジャムが赤ちゃんだった頃、ミュウによく遊んで貰っていたっけ。
あまりにジャムがきかん坊で、ミュウがその大きな柔らかい身体の下に敷き込んでしまった事があった。
「キュ~~~」という悲鳴がどこからか聞こえて、よく見ると小さな尻尾がミュウのお腹の下から出ていた。
それ位、ミュウは大きく、ジャムは小さかったんだ。
すっかり大きくなって、とてもメストは思えないくらい大きくなったジャム。
最後は半分くらいまで痩せてしまったけれど、綺麗な毛並みは健在だった。
長患いしていなかったせいかな。
明日、お葬式の予定。
今夜まではいつも通り、同じ部屋で寝ようね。
おやすみ、可愛いジャム。
パパとママも久し振りで、ぐっすり眠るよ。
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夜廻り猫 1,2巻
著者:深谷かほる |
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