《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》 猫の為の情報

白血病のネコを飼っている人達の体験とメッセージ

case 2 チャチャちゃんの飼い主・ansanさんより




猫白血病ウイルス感染症との闘い

私が初めて飼った猫も実は白血病ウイルスに感染していました。ただ、その当時は獣医の間でもよく知られておらず、簡便な検査方法もなかったのです。従来の汎白血球減少症、カリシウイルス感染症、およびヘルペスウイルスによる猫鼻気管支炎の3種混合ワクチンを打っておけば大丈夫ということしか聞いておりませんでしたし、知識もありませんでした。ただ、その時は1匹しか飼っておらず、同居の猫への感染という心配はする必要がなかったのです。

この猫は田舎のことゆえ、1日1度外に出ていましたので、その間にどこかで感染したものと思われます。白血病ウイルスに感染していることがわかったのは、重症の歯周病になり、歯が抜けていき、食事が採れなくなったためです。この時、もう12歳になっていました。そして、病院の先生が東京まで血液を送って検査してくれたのでようやくわかったのです。

わかっても治療法がないので、痛む歯を全部抜いただけでした。大人になって感染したらしく、結局症状として出たのは歯周病だけで、16歳まで何ら重大な結果になることなく、天寿を全うし、大往生しました。この経験があったので、チャチャの時はこれほど恐い病気だという認識がなかったのです。

市内に引っ越した後、チャチャを生後1ヶ月前後で保護した時は、兄弟猫のトラ、ネネと一緒でした。3匹ともひどい風邪に罹っており、すぐに入院となりました。トラとネネは注射2本と点滴でたちまち快方に向かい、トラは2日後、ネネは4日後に退院しました。ところがチャチャは一向によくなりません。同じ薬を使い、同じ治療をしているのに、だんだん悪くなってとうとう肺炎を起してもうだめかもしれないとまで言われてしまいました。病院の方も必死で治療して、2週間後何とか退院できたのですが、離乳期ということもあり、まだ体力がなく、最初の3ヶ月は病院に出たり入ったりでした。

その時点で病院の方がFIVまたはFeLVの感染を疑っていたらしく、3ヶ月になった頃、血液検査を勧められました。もちろん、3匹一緒です。この時はもう検査キットが出ていました。その結果チャチャだけがFeLV感染であることがわかったのです。そして、病院側から詳しい説明がありました。最初に飼っていたタマが大したことにもならなかったのは、十分に体力がついた大人になってから感染したためであることを知りました。チャチャの場合は母子感染であること。したがってこの段階でずっと陽性であるならば、そのままキャリアーになる可能性がきわめて高いこと。そして、発病する可能性もきわめて高く、普通は1年程度、よくて2年ほどしか生きないだろうと言われたのです。

この時、まだワクチンは出ていませんでした。同じ兄弟でどうして1匹だけ感染しているのか不思議でなりませんでした。先生の話ではまだいろいろな点で不明だが、母猫からウイルスを貰ってもその子猫がすべてキャリアーになるわけではなく、30%から50%の子猫はウイルスを排出してしまうらしいということでした。後、3ヶ月ほど待てばワクチンが出るので、それまで食器を別にし、トイレはこまめに掃除をし、消毒するように。また、吐いたものや鼻水等は消毒薬できれいに拭いて他の猫に接触させないようにと注意されました。

完全隔離のことも説明を受けましたが、生後ずっと一緒にいていままで感染していないから、感染する可能性は低いので、大事な点だけは守るようにすればよいと言われました。この先生は、完全隔離は白血病の猫を感染症から守る意味合いの方が強いとおっしゃっていました。この点は獣医の間でも様々に見解が分かれているようです。

こうやって3ヵ月後3匹とも再検査を受け、チャチャは陽性のまま、後の2匹は陰性でしたので、トラとネネには白血病のワクチンを接種しました。いちばん感受性が高いと思われる時期に完全隔離せず、感染していなかったので、そのまま一緒にしていました。トラとネネは2ヶ月過ぎた時に3種混合ワクチンを接種しましたが、チャチャは風邪が完全によくなっていなかったので、1回目の接種をこの時にしました。しかし、鼻水だけはどうしても止まらず、目やにも調子が悪いと出始めるので、鼻水が粘ってきたり、目やにがひどくなったりするとすぐ病院に連れて行きました。

白血病ウイルスのため、免疫力が弱く、最初に罹った猫風邪のウイルスをやっつけてしまうことができないのだそうです。この時、もっと猫の免疫力を高める方策をとっていたら違った結果になったかもしれないと他の方のサイトを見て、どれほど悔やんだでしょうか。プロポリスもアガリクスも何にも知らず、いえ、知っていたのですが、猫に飲ませていいものだとは知らなかったのです。私がしたことは、うんと栄養を取らせることと具合が悪くなったらすぐに病院に連れて行くことでした。


つも具合が悪くなると風邪の症状が出ます。発熱、鼻水、目やに、咳などです。いつも気を付けて見ていたので、呼吸の回数を見ただけで、どれくらい熱があるのかわかるようになりました。最初の1年は2ヶ月に1回は病院に通っていた計算になります。入院も3回しました。1歳過ぎるまでもってくれればとそれだけを願い、ひたすら悪くしないよう、発病させないように気を付けていました。

病院とは相談して7ヶ月の時に避妊しました。妊娠させてはいけないということと、発情でストレスがかかると発病する恐れがあるからということでした。手術も幸い何事もなく無事に済みました。そして、発病せずに1年過ぎました。相変わらず、目やにや鼻水は出ていましたが、前ほど頻繁に発熱することもなくなり、元気いっぱいに毎日3匹じゃれあって暮らしていました。病院に通う回数は4ヶ月に1回ほどに減っていました。この状態で、2年、3年と無事に過ぎました。3歳の時に引越し、ストレスがかかったのでしょうか、

風邪の症状が強く出て、熱が出ましたがこの時は1週間ほどで治まりました。3年生きるのは無理だと言われていたので、4歳過ぎた時はもうこのまま気を付けていればずっと大丈夫かもしれないとさえ思いました。相変わらず、年に3,4回は病院に通っていましたが、5キロ近くまで体重も増え、食欲旺盛で元気いっぱいだったからです。発病したのは去年の2月でした。3種混合の予防注射を1月半ばにしてから、調子が悪くなり、風邪の症状がひどくなりました。いつも鼻水をだらりと垂らしている状態で、息も苦しいらしくフガフガ言っていました。

お薬はずっと飲ませていたのですが、その時は様子が違いました。それまでは予防接種をしても何ともなかったのに、一つはワクチンの種類が変ったためではなかったかと思っています。先生の方は直接の関係はないとおっしゃったのですが、効き目が強いワクチンに変り、前接種していたタイプのものが入らなくなったのです。これが発症の引き金になったのではという疑いを今でも捨てきれていません。

2月始めに高熱を出し、まったく食事をしなくなりました。ちょっと今までとは違うと不安に思いながら、病院に連れて行くと、先生も難しい顔になり、すぐに血液検査をしてくれました。結果は最悪のものでした。赤血球容積比が15%しかなかったのです。発病したのです。先生の話しでは、血液の癌になり、まったく赤血球がつくれなくなっているため、この状態ではいつ死んでもおかしくありませんとのことでした。赤血球容積比はトラやネネでは35%ほどあります。赤血球がないということは体の組織に酸素がいかないため、燃え尽きるように弱っていくのです。

必死になってできることは何でもしてもらいました。輸血をしてもらうと一時的にですが食欲が出るのでしてもらいましたが、まったく赤血球が作れないため、それも一時凌ぎでしかありません。日に日に検査値は悪くなり、とうとう赤血球容積比は8%にまで下がってしまいました。もう、呼吸も苦しいらしく、あえいでいる状態なので、酸素吸入をしてもらったり、いろいろしたのですが、よくなることはまったくありませんでした。病院には苦痛を和らげるために通っていたようなものです。それでも、何か食べたい素振りを見せる時があり、そのためにありとあらゆる種類の缶詰を買っておりました。ほんの一口しかなめないのですが・・・死ぬ2日前に冷蔵庫の前にふらつきながら歩いていって、私の方を見てニャアと鳴きました。鰹節を出してやると2口ほどなめて満足したらしく、それが最後の食事になりました。

翌日からは水も受け付けなくなり、押入れの隅に入りたがって、そこから動かないため、そこに寝床を作ってあげました。その日、息子たちが戻ってきて、代わる代わるチャチャに話し掛けてなでました。みんなの顔を見るのを待っていたかのように翌朝、息を引き取りました。

チャチャのケースは典型的な猫白血病の発症経過です。発症してからの進行が急で、ほとんど手の施しようがないと言ってよいでしょう。同じ病気で病院に通っている猫の中には腫瘍ができている猫もおりました。リンパ腫やその他の癌です。その猫達はチャチャよりずっと若い猫でした。しかし、腫瘍ができるタイプのものはチャチャのような急な経過にはならないようです。チャチャは発病を確認してから2週間で逝きましたが、リンパ腫の猫は半年ほど治療を続けているとのことでした。

発病のタイプによっても経過は大きく違うようです。チャチャは長生きした方だと言われましたが、後から読んだり聞いたりしてどれほど悔やんだでしょうか。チャチャが発病する半年ほど前からインターフェロンの治療が積極的になされるようになりました。病院の治療にも地域差や病院差があるようです。プロポリス、アガリクスもそうですし、今ではアガリクスエキスを発病予防に使っている病院もあります。免疫ミルクのことも聞きました。免疫力を少しでもつける方策を取り、いろいろな感染症からきちんと守ってあげれば、もっと長生きしてくれたかもしれないと毎晩泣いておりました。

しかし、他の2匹はずっと一緒に暮らしていたのに、今日に至るまで感染しておりません。チャチャの場合は検査キットが出たばかり、白血病ワクチンもまだ出ていないという時期に病気がわかりました。それから死ぬまでの間に毎年のように新しい薬が出て治療法も変ってきたのをこの目で見てきました。今後、さらにこの分野の研究が進むと思えわれますが、飼い主の方もできる限りの情報を得て、病院の言うなりではなく、積極的に治療に関わるべきだと思います。

私の場合は先生がよい方で、私の質問にも丁寧に答えてくださいました。また、勉強もよくされていたと思います。ただ、治療法は一つではないこと、飼い主の方針や考え方にも治療が影響される場合もあることを頭に入れて、自分の猫をどうして上げたいかきちんと考え、担当医と納得するまで話し合うことが必要だと思います。長くなってしまいましたが、いつまでもチャチャのことを忘れられず、苦しい気持ちでおりましたのを、こういう形できちんと整理をつける機会を与えてくださったことに感謝いたします。
死ぬ前々日、冷蔵庫の前に座ったチャチャ


『NARAの天使たち』掲示板でのansanさんのメッセージ

2002年1月9日(水)


白血病だからといって完全隔離しなければならないことはありません。私も健康な猫2匹と白血病の猫1匹(兄弟で保護した)を隔離せず、5年近く一緒に飼っていました。健康な2匹には白血病のワクチンを接種し、食器は別にしました。それだけです。

白血病の子は母子感染で、生後3ヶ月の検査で陽性でした。その後陽転することはありませんでした。1年生きないといわれたけど、4年7ヶ月生きてくれました。でも、残りの2匹は元気です。やはり気をつけるべきところのポイントを抑えていればそう簡単には感染しないと思います。ストレスを避け、具合が悪ければすぐに手当てするなどの対処をすれば、かなり長く生きてくれます。家は5年足らずでしたが。。。

白血病ウイルスは接触した猫すべてが感染するわけではありません。菌と接触しても免疫機能が正常なら排出してしまいます。他の猫風邪などの方がよっぽど感染力が強いのです。白血病ウイルスキャリアーでも注意すべきところをきちんと守れば十分他の猫と一緒に暮らせます。

2002年1月10日(木)

3匹保護した時、全部猫風邪で顔中鼻水でぐちゃぐちゃになっていました。生後1ヶ月ぐらいだったと思います。すぐに入院させてトラちゃんとネネちゃんはたちまち回復したんですが、チャチャだけが一進一退でなかなかよくならず、とうとう肺炎まで進んでしまいました。

いったん退院したけど、すぐに病院に逆戻りで、その時、先生が血液検査をした方がいいとおっしゃって、その結果白血病ウイルスに感染していることがわかったのです。その間、他の2匹も知らずに一緒にしていたので、慌てて血液検査をしたのですが、陰性でした。同じ兄弟なのに1匹だけキャリアだったんです。おそらく、いろいろな要因があって、ウイルスが居座ったのだろうということでした。

確かに感染症には弱いです。いったん風邪が治っても、免疫力が弱いので繰返し風邪の症状が出ます。調子のよい時にワクチンを打っても、風邪のウイルスを完全にやっつけることができないので、体調が悪いと熱を出したり、目やに鼻水が出始めます。でも、気をつけていれば食欲もあるし、元気で過ごせます。チャチャも5キロ近くありました。避妊も無事できました。

ただ、いつも細かく観察して、様子がおかしい時はすぐに病院に連れて行くようにしていました。熱が出て食欲が落ちただけでも、すぐに悪くなるからです。そうやって早め早めに対処して何とかあれだけ生きてくれました。最後は急性骨髄性白血病になり、進行がものすごく早くてその時はとうとう助けてあげることができませんでした。でも、できる限りのことはしたのだとまだ、苦しいですが自分でそう思うようにしています。

チャチャはたまたまそういう形で発症しましたが、感染の時期やその子の免疫力などいろいろな条件で発症しないままずっと元気に生きている猫ちゃんもいるようです。ですから、白血病キャリアーだからと言って、すぐに死んだり、癌になったりすることはないのです。白血病の子を2匹引き取って暮らしている人もいますよ。どうか、気を落とさないでくださいね。

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