《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》 猫の為の情報

腎不全のネコを飼っている人達の体験とメッセージ

case 2 くっきちゃん・ゆめちゃんの飼い主・満津子さんより



前書き
以前、慢性腎不全もあったけど肝臓の方が深刻だったねこが2匹いましたが、あんなに看病しても月日が経つと詳しい事は忘れてしまうものです。

平成四年に亡くなった子(さび猫くっき)の時の状況は忘れてしまいました。たぶん14〜5歳くらいだったと思います。何もしてやらなかったと今になって思いますが、この子はノラだった時期が長いのであれこれとしないでかえって良かったのだと思います。

ゆめともう1匹の場合
平成九年に亡くなった子(めめ)の時から毎日日記をつけるようになりました。この子は慢性腎不全と胆管肝炎でした。歯肉炎と虫歯がひどくて食べられない状態で、やっと見つけた食べ物がうなぎでした。でもその時の私はあの濃いタレがついたままやってしまっていたんです。だけど最後は食べてくれればなんでもいい!というのが本音でした。

いつ亡くなってもおかしくない状態になりましたが、水分は必要と思って水を与えたところ誤って気管に入り、ひどくむせてそれが死因となってしまいました。16歳でした。

おととし亡くなった子(慢性腎不全)も自分で飲んだ水でむせて何度も苦しみました。飲み込むのにも喉の筋肉を使います。嚥下機能も低下し、体中の筋肉が衰え、しかも治療のための点滴で貧血を起こしてと、いろいろな事が重なった死でした。

めめの時は、先生の方から「これ以上治療を続けても改善しないし、状態を保つのも無理になってきているので、ここら辺で治療を打ち切って自宅でゆっくりさせてやろうか・・・」と言ってくださり、私としてもそこで治療を打ち切って良かったのだと思いましたが、おととしの子の時は先生方から前回の様な言葉が出る事がなかったので
治療を打ち切るタイミングを測れませんでした。

ある日、治療しても横ばいがやっとなのと、本人ももう生きる楽しみ(食事等)も無くなっていたので、こちらから治療を続けても効果があるのかをきいてみました。その日の先生は、3人いる先生の中で私にとっていちばん話づらい先生で、思うような話の展開にならず、「治療の効果はある」と言う話だったのでそのまま猫を置いて帰りました。

家に帰ってからも、まだ少しは食べるから点滴の通院をした方がよいか、それとも本人の気持ちを尊重して治療を打ち切るべきか悩みました。

6日後の日曜日、(休日も休みなく点滴は続けます)話しやすい先生が来ていたので治療を打ち切ってもよい時期かどうかを訊ねました。「それもひとつの選択肢ですね」と言ってくれたので決心がつき、その日は点滴をお願いして、翌日院長先生にご挨拶をしに来ますと伝えました。

挨拶の日、なぜか他に患者さんが来ていなかったので、他の先生や看護師さん、受付の方みんなに見守られながら、院長先生が毎日の点滴のため入れっぱなしにしてある点滴用の針を抜いてくれました。カルテを見ながらいままでの頑張りを誉めてくださり、涙を流してくださいました。

今後家でどのような状態になると考えられるか訊ねたところ、腎臓が全く機能しなくなり尿が出なくなって亡くなるか、貧血で亡くなるかどちらかだと言われました。

私は医学的な事が頭を素通りしてしまうので死因ははっきりとは分かりませんが、たぶん貧血のほうが先に来ていたとおもいます。おしっこは前日まで自力で起きて行きました。最後の日も力が無いのにその度に自分で行こうと体を起こそうとします。
「ここでいいよ」と言ってそのまま敷いてあるペットシーツの上でさせます。亡くなった日、ごはんは食べなかったけど、水を口元に持っていくと自分で飲みました。水をぺロッと舐めただけでむせて息が一瞬止まり、その後濁ったような呼吸音になり、そのあと急に様態が悪くなって痙攣を起こし始めました。

この子はまだ若く(10〜11歳)、慢性腎不全の治療をはじめなければならないと知った時にはとてもショックでした。亡くなった時も他の子の時と違い、ペットロスになりかけましたが、たまたま図書館で借りて読んだ「私は猫の病院のお医者さん」という本のおかげで気持ちの整理がつきました。

現在
今また腎不全の猫の世話が始まりました。FeLVの猫が糸球体腎炎をおこしています。触診で腎臓をさわると、形がボコボコになっていると言う事でした。ひどい口内炎のために使用していたステロイドによって肝臓も悪くなっています。

今回はなるべく本人のいいようにしようと思っています。それで状態が悪化しても仕方ないとまで思います。でも、それはもう少し病気が進行してからの事です。今はまだ努力したらそれなりに甲斐がありそうですから。

以下におととし亡くなった子の時の世話などについてまとめてみました。

ねこ日記:
毎日、ねこの様子を手帳に書いています。ちょっとの事でも書いておくと後で見ると本当に役に立ちます。ぐったりしていたから病院に連れていったら慢性腎不全だったというのはよくある事だと思います。でも、日記を見るとだいぶ前からその兆候があった事がわかります。食べた物を吐いた、水みたいなものを吐いた、よく水を飲む、トイレの横にへたれこんだ、餌を欲しがるのにあげるとあまり食べない等。

チェック:
水をよく飲む・おしっこの回数が多い(多飲多尿)。固まる猫砂の場合、固まりが大きくて、ニオイがあまりしない。首や背中の皮をつまんで持つと、皮が元に戻らない(脱水)

食事:
 ・慢性腎不全の末期の子はいろいろと工夫しても食べない事が多いです。
 ・がっついて食べた!と思ってもう少し足すと、もうプイッと向こうへ行ってしまう。
 ・嗜好性を増すようにとかつおぶし等をのせても、それだけなめて終わり。
 ・昨日喜んで食べたものを今日やっても全く興味を示さない。

等々、こちらの努力も空振りしてしまう事が多いので辛いです。今までによく食べた数種類の猫缶をいつも用意しておきました。一つ開けても食べない時はもう一つ開けます。それでも食べない時もありますので、口のつけていないフードで冷蔵庫の中がいつもいっぱいでした。(それをノラにやりだしたら毎日来るようになったので、今でも毎日あげています。)

療法食:
様子がおかしい、元気がないと気づいた時には腎臓の4分の3ほどが機能障害をおこしている状態で、それまで何も知らずに嗜好性の高い市販の高蛋白(合成保存料入り)のフードをやっていたのを、腎臓のための処方食に切り替える訳です。

猫の方も、いきなり不味い食事に変えられても食べてくれません。それでもやろうとすれば、強制給餌になってしまいますし、それでは食事が「嫌な事」になってしまう。いちばん悩むところです・・・

食べなくなってからは他の療法食を処方されました。これは缶のフードで、合成保存料も肉副産物も入っていないようです。これをすり鉢でなめらかにして、ぬるま湯でのばしてポンプ(注射器の針の無いやつ)で強制給餌しました。ドロッとした状態なので、口の回りについたものをそのままにしておくと固まってしまって、後で拭き取ろうとしてもなかなか取れませんし、臭います。食べたらすぐ口のまわりをぬらしたガーゼでゆっくりと拭くようにしました。本人はなでられていると思って喉をゴロゴロと鳴らしてくれることもありました。

ホームセンターで「犬、猫、小動物用総合栄養食」と書いてある液体のものを見つけました。たん白質は少ないですが、ビタミン、ミネラルが補給できます。その他にもチューブに入った水あめのようなゼリー状の栄養補給剤もありますが、安息香酸ナトリウムが添加されています。

対応:

1.食餌療法:たん白質の制限、その分を脂質(又は炭水化物)で補う。塩分・リンの制限
水をいつでも飲めるように複数の場所に置く
2.炭素吸着剤:腎機能障害をおこし、有害な老廃物が排出されないと、尿毒が血液に混じったまま体内を循環して、吐き気、食欲不振、痙攣などを起こしてしまうので、炭素吸着剤を毎日飲ませて腸内で尿毒物質を吸着させて便とともに排泄させる。(めめの時はまだこの薬はありませんでした)
3.点滴:点滴によって水分を血液中に入れ、ろ過機能の衰えた腎臓の働きを助ける。

初期などは、入院させて調子がよくなれば、その後数日(数週間、数か月)自宅で過ごせます。症状が進むと次第に毎日通う(朝一で病院に預けて夕方まで)ようになります。病院によっては飼い主の方が自宅で点滴ができる道具を貸してくれるそうです。

状況(家でよく起こった事):

1.尿毒症による痙攣
新聞をめくる時の音や、スナック菓子の袋を開ける音などに反応してしまうので、なるべく音をたてないように気を付けました。

2.食後の嘔吐

ただでさえ少ししか食べないのに、食後すぐに食べたものを吐いてしまう。

3.カラーのストレス

毎日点滴に通うので、点滴用の針は入ったままです。色付きの包帯をその上に巻いているのですが、猫がそれを取ろうとするのでエリザベスカラーを付けなければなりません。そのために歩行が困難になったり、壁やふすまにぶつかったりと、具合が悪い上にカラーをつけている事でストレスがたまります。

食事もカラーを着けているために、今までの低い皿では食べられないので足のついたデザート皿を使ったり、台になる物の上にお皿を置いて食べやすい姿勢になるように工夫しました。

カラーがじゃまで感覚がつかめず、前足だけトイレに入った状態でおしっこをしてしまうので、トイレの回りにペットシーツを敷きました。最後の1ヵ月の夜は、猫の隣で寝て、食事やトイレに起きたときに手助けをしてやりました。そのうち砂をなめてしまうようになったので(異嗜)ネコスナをやめて、ペットシーツをトイレの中に敷いて新聞紙をちぎったものを砂の替わりに入れました。

状況(病院で起こった事):
毎日の点滴で血管が詰まってしまうと、腕を変えたり、次にうしろ脚に、とすべての脚を順繰りに使いました。ときどき血管が詰まってしまったことに気づくのが遅かったのか、脚がパンパンに腫れてしまいびっこをひいていました。そのうち水分が吸収されるのですが、ここまでくると治療を続ける事について考えてしまいます。

血液検査・尿検査のススメ:
腎機能が低下しているかは尿検査で尿比重を調べるそうです。うちの猫は血液検査ですでにBUNの数値が高かったので尿検査では調べませんでした。

慢性腎不全の猫は一見元気そうに見えても、かなりBUN・CRE等腎臓に関する数値が高くなっている事があります。そうなると通院、入退院の繰り返しの日々がはじまります。ですからまだ元気なうちにチェックして、少し数値が高いくらいの時から食事の内容に気を付ける等していけば、はじめの数年は猫ちゃんに通院や薬などの嫌な思いをさせる事無く過ごせる日を長く与えられると思います。

よく7〜8歳になったら気を付けるといいますが、若いうちから年に1度血液・尿検査や触診等を受けていれば、腎臓だけでなく、他の病気も早期に発見できる可能性もあると思います。

その他:
私の場合、看病以外の事で辛い思いをしました。必死になりすぎて、意見の違う家族と喧嘩になったりしました。獣医さんとも相性がありますが、のみ込まれずに自分の考えている事をしっかり伝える努力の大切さを痛感しました。

          ※文中に間違った表現がありましたらご指摘ください。

参考にしたHP、本:
   http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-jinzou.html
   http://www.p-well.com/health/clinic/cat/cat-jinfuzen.html
   http://210.169.212.105/sankyo/cat/jinhuzen_01.html
   「イラストで見る猫の病気」 講談社 

※腎不全の猫を飼っている、飼っていた方のHPはとても参考になります。
   http://www.bf.wakwak.com/~butiko/rami/
   http://homepage1.nifty.com/ocharo/mokuji.htm

くっきちゃんには《サビ猫CLUB》で会って頂けます。

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