《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》 猫の為の情報

腎不全のネコを飼っている人達の体験とメッセージ

case 1 トトちゃんの飼い主・トトさんより



病気の発覚
トトの腎臓が悪いことがわかったのは、2000年10月のことでした。夏の終わりくらいから、徐々に痩せてきたのが気になっていて、食欲も落ちてきたので、病院に連れて行きました。

痩せてくる原因はいろいろ考えられるということで、血液検査をすることになりました。白血病、エイズは陰性。でも腎臓の数値がかなり悪くなっていることがわかりました。この数値というのはクレアニチン(CreかCrと書いてあったと思います)という項目で、正常なら1.0前後だそうです。トトの場合は、すでにこの時点で4.0を超えていました。

獣医さんが触診でみても、腎臓がぼこぼこしていて、不整形であることがわかりました。エコーの検査ではもう形がわからないほど腎臓が萎縮してしまっていて、左のほうはほとんど機能していないとのことでした。つまり・・・病気がかなりすすんでいる状態でした。

腎不全という病気
猫が腎臓病になりやすいというのは、良く知られていることです。腎不全もかなり多いのですが、高齢の猫に多い病気です。トトはまだ4歳でした。こんなに若くから腎臓がやられることは珍しいらしいです。もしかしたら先天的に腎臓が弱かったことも考えられます。この病気は、目だった症状はなく、体の中で静かに進行していきます。でもサインはあります。
 ・水をよく飲む(これが特徴!)
 ・おしっこの回数が増える
 ・痩せる
 ・食欲がなくなる
こんなことが見られたら、要注意です。

腎不全は現在のところ、治らない病気と言われています。原因もわかっていません。一度機能が衰えた腎臓が再生することはありません。したがって治療といっても、その時点で生きている腎臓をどうやってもたしていくか・・・ということになります。

トトはまず、1週間毎日、腎臓の働きを助ける薬を注射し再検査してみて、数値がどうなるかを見ることになりました。これで数値が上がるようなら、あとは対処療法になるとのことでした。結果は・・・数値はさらに悪化、6.0を超えました。トトの腎臓はもはや悪化するのを止めることができないほどになっていました。「腎不全になっても何年も生きる子もいれば、1年といえない子もいる」と言われました。私は「本人は痛いですか?」と聞きました。「痛みはないけど、体がだるいという感じ。」と言われました。痛みがないだけでも救いかな・・・と思いました。

その後
腎不全には食事療法が必要です。腎臓が悪いとたんぱく質がどんどん体から出て行くために痩せてしまうそうです。ですから臓器に負担をかけないように、低たんぱくのフードを処方されました。でもこれは「まずい」そうです。トトはもうかなり悪かったので、とにかく一番いけないのは「絶食」だから、何でも食べられるものをあげていいとのことでした。それと同時に、体の老廃物の排出を促す薬(黒いつぶつぶ)も頂きました。

それからは、トトが食べれそうなものを何でもやってみました。何種類もフードを買ってきたり、少しでも高カロリーな子猫用フードを試したり・・・。病院からは流動食もいただきました。これは子猫用ミルクのようなものでした。調子がいいときは食べることができますが、悪くなると病院へ行って点滴(皮下注射と静脈注射)するという日々が続きました。この注射はトトにとっても、かなりつらいものだったと思います。回数を重ねるにつれ、激しく嫌がるようになりました。

このように何回も血管注射をしていると、段々と血管のところが硬くなり、針がささりにくくなるのだそうです。そして手がだめなら今度は足に注射すると言われました。こんなに嫌がってるのに、注射を続けなければいけないのか?そんな思いはいつも心にありました。もう自然にまかせよう・・・でももっと一緒にいたい!どうすることがトトにとって一番良いことなのか・・・答えは見つかりません。

そんな日々が2ヶ月ほど続きました。食べられない日々で、どんどんやせ細り、抱っこすることも怖いくらいになってしまいました。そしてついには水を飲んでも吐いてしまうようになりました。このとき、いつものように注射したんですが、トトはすごくいやがりました。私には「ママ、もうやめて!」というトトの声が聞こえました。この日を最後に病院に行くのはやめました。

貧血症状で口の中は血の気がなく、肉球も、真っ黒だったのが薄茶色になっていました。この頃にはもう何も口にできませんでした。歩くときに後足がうまく動かなくなってきました。ほとんど動かずにぐったりしていました。トイレにも行けず、寝たままおしっこをするようになりました。時折、激しい吐き気におそわれました。こんなになっても死ねないなんて・・・それが正直な気持でした。

最後に病院へ行ってから、4日後の2000年12月13日、トトはやっと楽になれたのです。たくさんの幸せな思い出を残して・・・。

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