ある日、カバーをかけられたバイクの下あたりから、ウシガエルのような鳴き声が聞こえて来ます。 何だろう?と思ってカバーをめくると、そこには大きな茶トラの猫がいました。 見慣れない新顔の大人猫でした。また捨て猫か・・・その時にはそんな程度の印象でした。 最近は識別の為にも名前を付けているものだから、その新顔さんには 読んだばかりだった村上春樹の『海辺のカフカ』に登場する猫の名前から 「カワムラさん」と名づけました。 しかし、カワムラさんは臆病でなかなか人がいるとご飯が食べられず、 しかも酷い鼻風邪をひいているようでした。 それでウシガエルのように鼻を鳴らしていたのだと解かりました。 それか1週間、ご飯に抗生物質を混ぜてあげていましたが、 一向に良くなりませんでした。 エサ場の女ボス・・・よりこと仲良しになっていたのですが、 よりこは素手でつかまる子ではありません。春先に避妊して放したよりこでしたが、 若くて元気なのでその晩は弱ってこの手に抱かれたカワムラさんだけを連れて帰りました。 しかし捕獲器があれば、よりこも保護してしまうべきだったと、後々悔やむ事になります。
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