ジーコ

伏し目
 

Dec. 5,2001

子供を持った経験がないので実際に買った事はないのだが、デパートのベビー用品売り場を見て、そこに並ぶ品々のあまりの美しさ・豪華さにクラクラした覚えがある。日本橋高島屋の売り場であった。シルクサテンの白いレースやフリルの付いた寝具や洋服、お洒落な籐のキャリーバッグ(猫アタマだから、そういう名称しか思いつかない)、小さな可愛い靴等を眺めているうちに、出産予定もないくせに衝動的に購入しそうになっていた。こういうモノをインテリアとして置いてみたくて、真剣に妊娠しても良いかな・・・とすら一瞬思った。大変不純な動機であり、店を出たら夢から醒めて忘れていたのだが、雅子妃殿下ご出産以来TVでは皇室御用達のベビーグッズなどを紹介して見せていて、銀製のベビー食器セット(スプーンとフォーク、それにマグカップのセット)というのを見ていたら、またも欲しくなった。子供をではない、その食器を・・・である。我ながら馬鹿だと思う。

過去にも、そういう衝動買いの何と多かった事か。NHKの伝統工芸を紹介する短い番組で、会津塗りのお盆を作る行程を見ているうちに是非とも欲しくなって、即座に出掛けていったデパートに会津塗りのお盆はなかったのだが、代りに小さな菓子器を買った事がある。(菓子なんか盛らないじゃん!)雑誌で見て是非欲しくなった小型の重箱も、わざわざ新宿の京王百貨店まで買いに行った。それもこうちゃんのボーナス日に待ちきれずに会社まで迎えに行って、その足でその為だけに買いに行ったのだ。これも使っていない。小さな重箱にご馳走を詰めたところで、一瞬で食い尽くしてしまうような夫婦には全く不向きである事が判明している。

最初の結婚の時、職場の同僚達からのお祝いには注文をつけて、黒一色の塗りの四ツ椀を貰うことにした。茶懐石で使うものだ。豪華な蒔絵など付いていないものだが、若い娘にとっては結構な値段がする。茶道具屋にひっそりと置いている類の道具だ。実はこれも使っていない。何という無駄。しかし持っているだけで嬉しい・・・というものがあるのだ。おや、こうしてみるとデパートと漆器が好きなのだろうか、私は(笑)。

漆器に限らず、食器が好きなのは確かだ。焼き物も好きだし、塗り物も好き、ガラス器も好き。人生の残り時間を思うと、日々どんどん惜し気なく使用しないと、死んだ後はゴミになるしかないだろう。しかしなかなか使えないものだ。だいたいダイニングのテーブルの上には猫のご飯が常時置いてあるし、我々の食事時にはそのテーブルの上に猫も1〜2匹は必ず乗っている。優雅に食事する事など、私の粗雑な性格と慌ただしい生活から考えてもあり得ない。せめて時々取り出しては眺めたり磨いたりしてやろう。

尚、形見分けご希望の方は今から予約して下さいね(笑)。但し芸術作品は当然はない・・・あくまでも庶民の日用品である(これぞ「猫雑器」ってか?)。しかしそれすらもう今では買わない。我が家は赤貧洗うが如しであるからな。しくしく。

以前、嫌いなCMの事を書いたが、今もぞくぞくと嫌いなCMは増え続けている。しつこい連呼型はますます増えているし、年末が近づくと胃腸薬の騒々しいCMも出てくる。風邪薬のCMも結構下品でうるさい。しかし最近、とても好きなCMがある。それはパチンコメーカー《SANKYO》のCMである。ニコラス・ケイジが独りで例の悲しい顔で、シリアスで文学的な科白を言っている。しかしオチも用意されており、役者の個性や芸もたっぷり魅せる秀逸なCMだと思う。是非毎日見たい「作品」である。ちなみに同社の前作のCMよりずっと出来が良い。

頭の痛い問題が山ほどあるのだが、本物の頭が痛くなってきたので、今夜はもう書く気力がない。

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