アイン

元気よ

Feb. 4,2002

昨夜のお通夜は私達夫婦と姑、そして家族と義姉の家族だけでひっそり行ったのだが、聞きつけて「どうしても」という縁のあった知己が来てしまった。真面目に「密葬」とするつもりでいた私達夫婦は、これでは不公平になると思ったのだが、その後如何ですか?と、義姉が電話を貰ったタイミングが悪かったようだ。もう断れないと言う。

その知人は30分遅れてやって来た。予定外に奥様も連れている。約束では「お通夜には自分が、翌日の告別式には自分は仕事があるので家内を行かせる」と言っていたのだが、一人では道が判らないと言って、お通夜にも奥様を同伴して来た。かなり声の大きい傍若無人な人だ。私は初対面であるので当然挨拶をしたが、殆ど無視された。それはまあ良い。しかし明日の告別式はもうお気持ちだけで・・・と言っても、奥様は困ったように曖昧な笑顔を見せて、当の知人というのは全く受け付けない。奥様が「それぞれのご家庭のお考えもあるし・・・」と控え目に言っても、怒鳴りつけるように「いいからお前が来ればいいんだ!」と言って、人の話など聞かない。「家族だけでやります」と言われて、相模原から夫の名代で一人でお越しになる奥様の心中は如何なものなのか?私は嫌だけど、人間の出来が違うのかも知れない。

そして、アメリカにいる次女(こうちゃんの下の姉)も突然「ただいま」と現れた。これには一同びっくりした。病院で亡くなった後、こうちゃんが電話で「来なくて良いよ。先月来て元気な顔も見られたのだから。悲しまずに心安らかにしていてくれ。」と言ってあったのだが、僅か半日ほどの滞在の為に来たのだ。心中は察する事が出来る。私も実家から離れていて、殆ど帰っていない。父親の死に目には会えないだろうと覚悟して久しい。しかし遠く離れた不肖の娘としては、父が妹や母に苦労させている部分を理解しているつもりでも、離れているが故の父親への愛着もあるのだろう。今日の告別式でも、この2番目の義姉だけは泣きじゃくっていた。(姑はお経の間、時々居眠りしそうになっていたが。)

お通夜の後は仕出しの料理とお寿司を用意してあったのだが、アメリカから駆けつけた義姉がトイレに行っているのを待って乾杯(?)しようと言っているのに、先述の知人はそれを無視してグラスを上げ、「それじゃあ・・・」と自分が乾杯の音頭をとろうとした。こうちゃんはそういう傍若無人で無礼なオヤジの振る舞いには腹を立てていたと思うが、それはおくびにも出さず明るく大声で「キョウコがトイレに行っているので、戻ったら私が音頭をとらせて頂きますよ。」と言い渡した。その時のオヤジの憮然とした顔。お前は一体どれだけ偉いんだ?と、私は心の中で呟く。こういう男尊女卑な男の嫁でなくて本当に良かった。ま、嫁になるはずがないし、そういう男も私のような女は大嫌いなはずだから仮にも心配する必要はないのだが。

今回初めてお願いする事になったお坊さんはとても気さくで物知り(えてして物知りが多いだろうけど)、早口で「アタシは・・・」などと喋る様子は、落語家のようだと思ったら、深川の出だと言う。なるほど。舅の父親が陸軍中佐だったと聞いて、自分の父親が軍の特務機関にいた事などを話してくれ、日吉のこのあたりのヒミツも聞かせて貰った。面白い。いつかお寺の方にも伺ってみたいと思った。

甥や姪とも、舅と過ごしたくないが為にあまり一緒に過ごした事がなかったのだが、大人として立派に振る舞って周囲に思いやりを見せている様子が頼もしかった。孫の世代が30代なのだ。91歳迄も生きると、親族はこんな風景になるという事か。

全てが終わると、とても疲れた。位牌を作ったり四十九日の法要と納骨、役所の諸手続きや相続の問題など、まだこれから処理しなければならない事ばかりだ。私は猫とHPで忙しいのに(怒)!ま、仕方ないな・・・。

明日はいよいよアトムとウランが東京に来るのだが、新しい飼い主さんと大崎さんとで迎えに行ってくれる事になった。私達も、少なくとも羽田までは行くつもりでいる。2匹にはどうしても会いたいし、里親さんにも会いたいし挨拶もしたい。本当は大崎さんだけにお願いするのではなくて私も里親さんのお宅まで行きたいのだが、姑がすっかり弱っていて何も出来ない状態なので長時間は留守にするのは難しい。義姉の家に行って貰えるようであれば安心なのだが・・・。状況次第でまた臨機応変に考えよう。

大崎さんともさっき電話で話したが、クーちゃんの亡き後あまりの脱力感で茫然自失になったようだが、生きている子たちの為にも元気で頑張ろうとしてくれている。クーちゃんを応援してくれていた人達への、お礼のメッセージも込めて、昨夜はクーちゃんレポートも送ってくれた。まだあまり時間が経過していないだけに、辛かっただろうと思う。また一緒に頑張ろうねと話し合う。

この大崎さんと奈良の加納さんは、とても良く似ている。歳も一緒だし雰囲気も似ている。背中に羽が生えているのではないかと真面目に思うほど心の美しい人たちだ。いずれも妹が一人いる長女なのだが、一回りも年上の私がどうしたら姉のようにサポートしていけるか、これから先の長い付き合いの中でゆっくり考えたいと思っている。こういう人たちが一人で苦しまなくて済むよう、私は何をしてあげられるのだろう?。

舅とクーちゃんの相次ぐ死、そして他にも飛び込んで来る非常事態の対処で、ここ数日かなり慌ただしかったのだが、実は一番心配していたのはアインの体調であった。こんなさなかに発作が起きませんように!と祈る気持ちでいたけれど、どうにか元気でいてくれている。顔も綺麗だし、食欲も落ちてはいないようだ。大きなウンコもしている。良かった!!


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