アイン

ゴマのチュッ

Mar.20,2002

朝、早くに家を出て捕獲作戦を決行したのだが、お目当てのクロヅラも他の野良猫も姿を見せなかった。ぐるりを何度も探し回るが、「みんな、ご飯だよ〜!」と呼んで出て来るような連中ではない。2年以上もつき合っているハナクソですら、たまにしか姿を見せてくれないのだ。そのうち出勤する通行人が増えて来て、駐車場にも車の出し入れがひっきりなしで、捕獲どころではなくなってしまった。ボランティア獣医は今日は午前中だけの診療だから、午後に再度出直し・・・という訳にもいかないし、何しろ現場は家から片道40分(渋滞すれば1時間)もかかる場所とあっては何度も来られない。1日に2度通ったのは、エサやりから帰って来たところに「交通事故に遭った猫を拾った」というSOSの電話を受けてしまい、慌ててもう一度鶴見に行ったあの時だけだ。気掛かりなのは確かなのだが、正直言って2往復はきつい。こうちゃんとは明日の舅の四十九日の法要と納骨を済ませてから出動しようかと話し合う。空振りで帰る日は虚しい。

炊飯器様がお亡くなりになった。思えばこの10年、毎日毎日過酷な労働を強いられて来た炊飯器だった。10年前のある日、TVでタモリと室井滋が「笑っていいとも」でこの炊飯器の話をしているのを尋いて、そんなに美味しく炊けるのか?!と思って、直ぐに買いに走った。マンションの2軒向こうが家電ショップだったのだ。当時としては画期的に高い(5万円ほど)炊飯器で、確かに痛い出費ではあったが、「ご飯食い」の私としてはその価値を認めざるを得なかった。しかし、ある日突然に死んだ。いつもならば通常コースで40分はかかるところが、20分で炊きあがるようになってしまい、炊きたてのご飯の味が信じられない位に落ちた。そういう事を言うと、カマドに薪で釜炊きしている人がこれを読んだら怒るかも知れないが(いるのか?)、機械に頼ってご飯を炊いている私には美味しく炊こうとしたら炊飯器も重要視せざるを得ないし、いやむしろ是非とも性能の良い炊飯器を持つ必要があるのだ。

という事で、炊飯器を買うハメになった。今度も同じメーカーのもので、お釜の外側は銅メッキ、内側は黒くて、内部には備長炭を練り込んであるというフレコミである。さて、お手並み拝見と行こうか。晩ご飯はこれからなのだ。遅くなってしまった。何故ならば、ちょっとした事件が起きていたのだ。

裕美ちゃん(ゴマの娘モンちゃんの里親さん)から、埼玉所沢のペットショップ閉鎖に伴い、100匹もの犬・猫たちが明日保健所に引き取って貰うので何とかならないだろうか・・・という相談があり、情報元から事実関係を確かめて貰っていたのだ。もちろん明日の今夜で私ごときにどうにか出来るとは思えないが、「ああそうですか・・・」と言うだけにもいかない。ニュースソースと窓口は誰なのか、処分までの期限は延ばせるのか、実際には何匹がいるのか等を確認して貰っていたところ、血統書付の子犬・仔猫に関して他は、同業者に買い取って貰うので、それ以上の事には首を突っ込まないで欲しいと、ペットショップオーナーに言われてしまったと言う。裕美ちゃん自身が交渉している訳でもなければ、所沢市というだけで何というショップなのかも判らない。

ペットショップの閉鎖に伴う同様の事件が、一体幾つあるだろう?生き物を販売して利益を得る事をしておいて、事業に失敗すれば生き物は殺す?私もかつてはお金を出してミュウもアインも買い取った身であるから、人の意識が様々である事は理解している。私も、最初から野良猫に目が行っていた訳ではないのだ。しかし命あるものを扱う以上は、最後まで責任を持って欲しい。最悪の場合にも、責任を持ちきれない程に頭数を抱えるものではない。ペットショップとして規模を大きくするのは、あまりにも危険過ぎる。

さあ、ご飯にしよう。明日は納骨だが、熱が続いているので、日差しが強いようであれば、霊園までは行かずに家で待つ事にする。その後の捕獲に備えないとな。薄情なようだが、舅にはもう既に充分過ぎるくらいに人生の時間を捧げたのだ。こうちゃんが「家に居ろよ」と言ってくれるのを、そのまま有り難く受け取らせて貰おう。
ゴマの独り言

あたし、凶暴なお姫様は返上したのよ。アインを優しく舐めてあげる事もあるの。手が出る事もまだあるけど、それは本能だからセーブ出来ないのよ。あれ?やっぱりまだ凶暴なのかしら?でも、ママなんか『動物のお医者さん』に登場する凶暴な鶏「ヒヨちゃん」に例えられて、実際に本を読んだ後も「なるほど私にピッタリ・・・」と言っている位だから、あたしよりも遙かに凶暴だって事よね?ああ、良かった。それに何たってうちにはジャムがいるし・・・。

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