ジーコ

無口

Sep. 3,2002

ジーコがすっかり声を出さなくなってしまった。かつては、何か要求する時には「にゃ〜〜ん」と高い仔猫のような小さな声で、それはそれはしつこく鳴き続けた。特にダイニングのドアの前で、あっちの部屋に僕だけ行くんだ!と言うときにはしつこかった。しかし今では、ほぼ常時ジャムがそこでドデ〜ンと寝そべっているので、私達が出入りする際にもジャムの塊をスライドさせないとドアが開かない。ジャムにはさんざん玩ばれた経験のあるジーコは、あまりそこに近寄らないという事になる。ジーコの声を聞かなくなって久しい。末っ子の座を追われたものは、やはり悲しいらしい。今ではジャムも、その悲哀を味わっている訳だが。

歳は多少違うけれど大の親友と言っても差し支えないみきこちゃんの管理する地域猫の取り組みに関するサイト『山手ネコロジー』では、今ボランティア仲間たちとの活動がとても忙しく、活動記録の役割を果たしている『つれづれ日記』でも自然と活気のある内容が繰り広げられている。

そもそも、みきこちゃんというのがかなり筆の立つ人間であるところに持って来て、大人の冷静な観察眼(その観察する対象は自分をも含めて見事に客観的である)と愛情と正義感とバランス感覚を併せ持つ人柄がよく表れていて、素晴らしい読み物となっている。論旨のしっかりした、且つリズムやテンポのある文章を読むのは楽しい。本人の個人サイトでの日記『日々の想い』も私は自称一番の愛読者であるのだが、こちら『つれづれ日記』も猫ボランティア関係に絞られた内容とは言えなかなかに読み応えがあるのだ。みきこには事後承諾(ここで断れば構わないさ)だが、一日分だけ黙って失敬してきたので是非ご覧下さい。もっと内容の良い日もあるのに・・・と言うみきこの声が聞こえて来そうだが、ちょっとプルーな朝にこれを読んでたちまちハッピーな気分にさせて貰ったので、これはこれで良い文章だと思うのだ。

午前11時半に正門前でM浦さんと待ち合わせ、一緒に犬山動物病院へ向かう。病院には先客のワンちゃんが診察を待っていた。ワンちゃんの診察が済むと奥から猫の鳴き声が聞こえる。トニーに違いない。

診察室に入って来た我々を見てトニーは一段と不満の声を張り上げる。「よくもこんな目に遭わせたな!早くここから出せ!」と鳴き喚いている。支払いをしたり薬の説明を受けている間も待合室で叫び続けてうるさいったらありゃしない。昨日、トニーの耳の中がひどく汚れていたので、耳掃除もお願いしておいた。破格の超安値しか支払わないのに、アレお願い、コレお願いと我々は果てしなく図々しい。そして血液検査の結果はエイズ、白血病ともに陰性。よしっ!

病院を出て車に乗せる間もトニーは大騒ぎ。正門前に車を止め、階段中腹の餌場に捕獲器を置く。抗生物質を混ぜた缶詰フードを入れた容器を少し開けた扉からM浦さんが差し入れる。昨日同じことをしてアニーは1缶分全部をガツガツと食べたが、アニーより警戒心が強く身体も小さいトニーは隙間からスルリと抜けて一目散に階段脇の垂直の斜面を駆け上って行ってしまった。投薬や給餌は夜に繰り延べだ。

代わりにポオ、タビー、花子、ゲンキが集まって餌をねだる。新聞紙を広げ缶詰3缶を与える。ほぼ食べ終わって猫たちがくつろいでいると上から犬を連れた女性が2人降りて来た。柵の内側、学院内に入ってくつろいでいるタビーの写真を撮っていると「猫、とってるの?」などという声が聞こえる。振り向くと、捕獲器を見て我々を猫獲り業者かと思ったらしい。ほぼ自腹で猫たちに不妊・去勢手術を受けさせている猫ボランティアだと告げる。

2人は近隣の農家の女性たちで、畑への野良猫たちの排泄物で大迷惑を被っているとのこと。猫の糞はキツクて作物を枯らし、土壌を汚染するとか。「山手ネコロジー」の猫たちは学院内の枯葉の中や、山で排泄しているようだが、野良猫はどこにでもいるし我々が全野良猫に責任があるわけでもない。

「山手ネコロジー」のホウキ、チリトリを見せ、我々は餌場付近の飼い犬の落し物や、タバコの吸殻、空き缶、ゴミなど目に付く汚物はすべて掃除して片付けていることをアッピール。野良猫は地面から湧いてきたわけではなく誰かが飼い猫を捨てるから発生する。一番悪いのは捨てたヤツだ。我々ボランティアは心も身体もお金も使って、その後始末をしているわけだ。我が家には既に5匹そんな猫がいてもう引き取れない。山手猫たちには、せめてささやかに1代限りの生を全うさせてやりたい。

てなことを縷縷述べると農家の女性たち、よく分かってくれた。「頑張ってください」などと我々を励ましつつ笑顔で降りて行った。

次の捕獲は木曜日夜を予定している。

・・・・・・・・・・・・・以上、『つれづれ日記』2002年9月1日より・・・・・・・・・・・・・

夕方、リエさんから電話が入り、目の手術をしたナナオ(みょーこ姉ちゃんちの9匹目の仔猫)の為に、目を消毒する薬を持って来て下さると言う。姉ちゃんはエサやりを終えて帰宅しても、家猫のトイレやらご飯やらで大変忙しく、一時間は電話に出ない。いきなり訪ねるしかないと判断し、日吉でリエさんをピックアップしてお連れする事にした。しかし日吉の駅前というのは、今地下鉄工事をしている関係で道幅は極端に狭くなり、車の停車すらも難しい。うまく時間の待ち合わせが出来ず、停車していた場所からは追い払われてしまった。一旦ぐるりと回って来ると、ラッシュアワーであった為にどこの路地も大変な車と人と違法駐車の混雑で、大変時間がかかってしまった。やっとリエさんと会え、姉ちゃんちに到着したら8時をはるかに回っていた。

姉ちゃんは家に電話をくれたらしく、こうちゃんから事情を聞いてくれていたようだ。リエさんが一緒だという事も知っていた。ナナオはまだ抜糸も済んでおらず、痛々しかったけれど元気で、しかも抱かれるとグンナリとおとなしくしている。顔も身体も一回り大きくなっていた。マルコよりは一月くらい小さいから4ヶ月くらいのはずだが、ちょっと小柄だ。

女三人で猫関連の話題ばかり。あっと言う間に10時になり、おいとまして理恵さんをまた駅で降ろして、帰宅したら山下さんから電話があったと言う。そうだ、今夜電話が来るはずだったのだ。突発的なお出掛けが入ってしまったので、申し訳ない事をした。明日はエサやり以外は出掛けないつもりなので、また明日ね!

まだ身体が本調子ではないのと、今日はエサやりがこれからなので、「猫雑記」だけの更新でおしまい。明日こそは・・・という日が続いて、仕事がどっさり。里親募集だけでも明日は頑張ろう。でか猫、サビ猫、ペット自慢、ベロ出し・・・みんなお待たせしてごめんなさい。

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