ミュウ

仕事はやめろ

Sep.11,2002

私が忙しいと、猫たちもみんな苛々してくるのが解る。ミュウは重たくて暑いのにずかずかと抱っこして来ちゃうし、ゴマは遂にソファでオシッコをしてしまったらしい。気付いた時には、もうすっかり置いてあるもの全てに染みとおっていた。早朝からマットやクッション、カバー類を洗濯し、ソファ本体(ロータイプのラブソファだから小さい)は風呂場に持ち込んで水洗いした。中身がウレタンのソファだからまだマシだった。本格的な応接セットのようなものでは、とても洗えないし、洗ったとしても到底自宅では乾かせないだろう。今日のお天気を幸いに庭で乾かしているが、数日はかかるだろうな・・・。

ソファは硬質ウレタンの本体に、大きな綿入れ座布団のようなカバーが掛かっているタイプである。もちろんこの綿入れも洗ったが、端がほころびていた。そこで物干し(室内である)に干したまま、チクチクと縫った。ゴマがじーっと見つめている。「ゴマちゃんがこういう事もしてくれると、ママは楽が出来るんだけどね・・・」としょうもない事を口に出してみる。この作業は思いのほか、筋肉痛を招いた。二の腕や背中の筋肉が衰えているのだ。洗濯物を干すのさえやっとこさの私が、手を上げたまま細かい縫い物などするものではない。疲労物質がどっと溜まった。

この疲労物質とは、乳酸であるらしい。酸だから、筋肉に痛みを感じさせるらしい。(酸っぱいからしみるのか?)乳酸はいずれエネルギー源となって消費されてしまうそうだから、早くこの痛みを伴う酸を無くすには、入浴などで血行を良くしてから軽い運動をすると良いのだそうだ。しかし、私にはそれが出来ないので困る。物理的に出来ないのではなくて性格的に出来ないのだから、まあこれは自業自得というものだろう。

疲労を通り越して筋肉を損傷するほどの激しい運動をした場合には、血液中に「クレアチンキナーゼ」という酵素が溜まるという事は良く知られている。このクレアチンキナーゼとは骨格筋や心筋に多く存在する酵素で、細胞の損傷、破壊および細胞膜の透過性亢進により血中へ出てくるので、この値を調べる事で色んな事が解るらしい。私は医者ではないので当然あまり詳しい事は解らないが、どうしてこんな事を知っているかと言えば、少し前に毎日ハードなトレーニングをしているプロレスラーたちのクレアチンキナーゼ値を調べて比較したデータを「週プロ」で読んだからだ。(スミマセン・・・「週プロ」とか「ゴング」買ってます。)

一般人のこのクレアチンキナーゼの値は正常値. 男性=30〜190(IU/L) 女性=20〜150(IU/L)とされている事を踏まえ、橋本真也が1502、船木優治が783である事などを見ると、身体を大きくして行き、そしてそれを維持する為にどれだけ筋繊維を破壊しているのかが良く解って面白かった。ところが・・・アントニオ・猪木の場合は、一般人と変わらない46と93という値を示していた。これは別に、猪木がウェイト・トレーニングをしていないからではない。むしろ、ありとあらゆるトレーニングを積んでいた頃の計測結果である。これは一体どういう事を意味するのだろうか?

以前から、こうちゃんは「性能の良い筋肉」という言葉を良く使っていた。他のレスラーが殆ど、強くなるに従い体が大きくなり、体が大きくなってこそ強くなるという図式を辿っているのに反して、猪木は若い頃も現役引退間際もあまり変わらないむしろスリムな体型をしている。柔らかく、効率の良い筋肉をしているのだろう。一度、大宮の駅前で誰かの選挙戦の応援に来ていた猪木と握手した事があったが、背は高いけれども意外とほっそりとしていたので驚いた。

猪木は、学生時代は陸上をしていた。ずっと格闘技の世界(アマレスや柔道など)で鍛えて来た体ではなかった訳だ。この事が、猪木のあの量ではない「質の筋肉」を培ったのだとも思うし、また生まれつきの資質でもあるのだろう。改めて言うまでもないだろうが、猪木は天才なのだ。そうでなければ、ドン・フライと闘った引退試合当時が55歳だったが、あんなスピーディで圧倒的なパワーで勝利を収める事はおろか、まともに試合する事すら叶わないだろう。

プロレスは相撲や柔道と比べても、試合自体が長丁場である。3分とか5分で勝負がつく事もあるにはあるが、30分1本勝負などが普通で、10分余りで勝負がつけばまあ良い方だろう。瞬発的に大きな力を出せるだけでは、とても全力では闘い切れない。そこには持久力もスタミナも要求される。勝負そのものに対して「あれはショウである」とかの陰口は昔から言われているものの、たとえショウだとしてもあそこまで過激に闘うショウであれば、これはもう芸術であり、やはり高い入場料を払ってでも観る価値があると私は思う。

猪木が身体を大きくするためのトレーニングは20代の頃に卒業してしまい、あとは体の柔らかさや切れを重視しているかのトレーニングを重ねていた事は、とても正しい事に思える。そう言えば、ヒクソン・グレイシーもムキムキの身体ではなく、大変に柔らかいし大柄でもない(グレイシーはプロレスラーではないが)。ヒクソンのトレーニング風景をいつぞやTVで見たが、浜辺でタコ踊りのような柔軟体操をしていた。

ま、猪木ときたら現役は引退しておきながら新団体「UFOー世界格闘技連盟」を立ち上げて究極の格闘芸術を目指し、佐山(初代タイガーマスクと言うと、知らない人は軽く見るだろうが、この人の身体能力もまた天才である)や小川直也といった非常に魅力的なメンバーを抱えられるだけのカリスマ性。そしてマッチメイクの妙なんぞプロデューサーとしても超一流であると私は思うし、いつまで経ってもやっぱりいつまで経っても猪木が好きなのだ、プロレス好きとしては。

しまった、すっかり猪木の話になってしまった。今日は嬉しいご相談がまたひとつあったのだ。その事を書いておきたかったのに、こんなに前置きが長くなってしまったではないか。まったくもう、猪木ポンバイエなんだから〜!(何のこっちゃ)

そのご相談の電話は、今日の午後にかかってきた。話している感じでは、70代のお婆ちゃんに思える。本人も「私は年寄りなので」と仰っていた。内容は、近所の野良猫が家の回りで仔猫を産んでしまい、時々エサをあげていただけに、ご近所の人からもお嫁さんからも批難されて、これからまた続けて産んだりしたら大変なので、一体今後どうすべきでしょうか・・・というものであった。よくある内容だ。

それで、私は私個人の考えを話した。先ず最優先課題は母猫を捕まえて避妊する事であり、仔猫も時期が来たら避妊だけしてエサやりを続けてあげるのが良いのではないか。出来ればご近所に、その決意をお話してみてはどうかとも提案したけれど、それはとても聞いて貰えそうもないし、協力者は望めそうもないという事だった。動物を飼っている訳ではないので、動物病院の存在も避妊の費用がどれ位するものなのかも知らなかった。一通り色んなお話をして、ご本人が避妊の必要性を強く感じて下さったものだから、こちらから捕獲器をお貸しする事にした。しかし捕獲器が今1台も手元にない。全部貸し出し中で、いつ目的を果たして戻ってくるのかが予定が立たないのだ。少し考えて、こうも捕獲器の貸し出し要請が多いのであれば、思い切って《猫の手倶楽部》としてもう2台購入しようと考えた。良いですよね、支援者の皆さん?!

急いで電話で注文し、1台はそのお婆ちゃんの家に直接送って貰う事にした。しかし年齢の事を思うと、ご本人だけでは捕獲器の扱いは到底難しいだろうと思うので、届いた日に息子さんに電話して貰えるようお願いしておいた。見ず知らずの他人が協力してくれると言うのに、家族が全く知らんぷりでは酷い。しかしどうしても家族の協力が得られないようだったら、このお婆ちゃんは入間市なので、近くでボランティアを募ろうと思う。私たちが行ってあげたいけれど、ちょっと遠すぎる。私の体調は、そこまで出張してあげられる程には良くはない。長持ちさせたいと思ったら、騙し騙し使って行くしかないのだ、このボロい身体を。どこへでもサッと飛んで行きたいのだけれど、もうそんな芸当は出来そうもない。

しかし、こういうお婆ちゃんもいるんだね・・・と、電話を切った後でこうちゃんとしみじみと話していた。自分の事しか考えない年寄りもいれば、小さな生命に心を痛めている年寄りもいる。私たちは後者になりたい。そして、年寄りと言われる年まで是非とも生きていたい。年金もしっかり貰って、まだエサやりを続けていたい。いや、若いモンに指図だけして「あっちの公園の野良猫にもご飯をあげてよね」「あ、あそこのメス猫の捕獲もしてね」等と言っていられるご身分でありたいものだ。まあ無理だろうが。

今日のにゃんこ

ボクは家族8匹で高速道高架下に棄てられていました。拾われたときはみんなぐったりして、全身ノミ・ダニだらけ。保護してもらった人たちに手厚く看護されて元気回復!
「きれいな猫ねー」ってボク、言われるんだよ。

尻尾が長くて先がくるんってかぎしっぽになってるからおもしろいヨ。ただ、生まれつきなのかどうなのか、瞬膜が出たままなんだ。目薬つけてもらってるけど。(川口注:最悪でも、去勢手術の際に一緒に簡単に剥離して貰って綺麗に治りますので、ご安心下さい)

弟の「ふく」と合わせて、幸福になれるようにって、保護主さんから「幸(こう)ちゃん」って名前をつけてもらいました。

誰かボクをもらってください。幸福をしっぽでかき寄せてみせるよ!お母さんの事もよろしくね!!

(ボクの事は、里親募集 No.503-3で詳しく見てね )

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