新しく入った子は、それまでの先住猫から全ての「悪い事」を一通り教わるようだ。ジャムがそうだった。ジーコだけが爪を研いでいたキッチンセットの抽斗で同じように爪を研ぎ、アインだけがガリガリやっていたダイニングのドアをガリガリし、ジーコだけが食べようとしたスーパービニール袋を食べようとする。しかしジャムはカレンダーや封筒を食い破り、野菜を盗んで食べ、飲み水で水遊びするというオリジナル技を開拓していた。 そこにやって来たマルコは、前述の全てをやってのける猫になった。ジャムの教育の賜物は、こんなところにも出てしまったのだ。しかし、こうして伝統は受け継がれて行くのだなあ・・・と感慨深い。マルコだけがミュウの「頭チュッチュッ」も真似をするし、手を掛けて寄って集って育てられると、こうも学習が早いのか。 そして遂に、新たに自分独自の「悪い事」も開拓出来たようだ。ドライフードを1粒器から手で器用に持ち出し、テーブルから落としては追い掛け回し、さんざん遊んでから食べるという行儀の悪い真似。そしてはめ込み式のクッションマットを全部バラバラにしてしまう事だ。幾ら直しても、気が付くとあちこちにマットが散らばっている。ジグソーパズル式にアルファベットがはめ込んであるのだが、ご丁寧にそれまで全て分解してある。朝起きると、先ずはジグソーパズルを組み立てるところから始まる日々だ。しかもそこで爪も研ぐので、もはやボロボロである。いつ捨てようか考えているところ。 夕方から頭痛が酷くなってきた。しかしこれは偏頭痛ではない。筋肉緊張型の頭痛だ。その証拠に偏頭痛特有の吐き気もないし、第一首や肩がコチコチに凝っている。ちょっと急ぎの仕事があり、根を詰めたせいだ。更新に根を詰めても肩は凝らないので(一気にやってはちょっと煙草を吸ったりしているもんなあ・・・)、やっぱり更新は仕事ではないという事か。こういう時は、風呂に入るのが良いのだと頭では判っていても、寝る前でないととても入れない。仕事とエサやりが先だ。 みょーこ姉ちゃんが「満月猫発狂説」を唱えていた。
いわゆる「ルナティック」というものか。「ルナ」とは月の事である。スペイン語でも月はlunaだが、語源はラテン語だろう。月の光を浴び過ぎると、人間は狂気に陥ると昔から言われて来たが、ルナティックとは「狂気の」という意味を持つ。そして「ルナシー lunacy」となると、これは狂気そのものを指す。月と狂気との関係など迷信だと言う人もいるかも知れないが、月や太陽が我々生物の行動やバイオリズムに大きな影響を与えている事は科学者も否定しない。潮の満ち引きが月の満ち欠けの影響を受けている事は中学生でも知っているし、我々女性の生理周期が月の満ち欠けに影響されている事も解っている。満月の夜に産卵するカニの話も聞くし、満月になるとゾロゾロと集団で出て来るゴカイのような虫を求めて、海が魚で溢れる事態もTV番組で観た事がある。魚もルナティックという訳だ。 猫のように野性的な身体機能を残している動物であれば、人間よりも更に天体の運行などに影響されても充分に頷けるではないか。姉ちゃんちの海子やナナオのみならず、我が家ではジャムが真っ先にルナティックになった。昨日あたりからお尻も臭い。言っておくがウンコの匂いではない。発情の時に臭くなった、あの匂いである。もちろん避妊してあるのだが、まだ時々臭う。肛門腺の匂いとは、またちょっと違うのだ。 次いで、今日はアインが発狂した。老体にも拘らず、走り回っている。それをマルコとジャムが追いかけ、マルコは単に動くものを追いかけてしまうという単純さだが、ジャムは目を三角にして挑みかかっている。アインは自分に何が起きているのか解らないようだ。ジャムのようなデカ猫に追い詰められて、魂が抜けたように立ちすくんでいる(座りすくむ・・・とは言わないもんなあ・・・)。ゴマも、朝方昼寝マットの上でオシッコしてしまった。ゴマの問題行動としてのオシッコは、ホルモンの関係だと獣医にも言われていたので、それは問題なく月のせいだという事になった。良かったね、ゴマ。 ミュウとジーコはいつもと変わらず。おとなしいものだ。お前達は、きっと「上がっちゃった」んだね。 夜中にエサやりに行くと、いつも通りハナクソとよりこ、ブスアカ2号が出て来た。ブスアカには抗生物質を入れたフードを食べさせたくて、置き場を苦心する。どうしてもよりこが優先的に食べようとするし(よりこは強い)、ブスアカはハナ詰まりで匂いがわからないのか、なかなか食べようとしない。あっちこっちウロウロしているので、その都度特製ご飯を持って行くが、こちらの気持ちなど知らずちっとも特製ご飯を食べない。 ハナクソは立体駐車場の車の下にいるので、そこに一人分のご飯を置いて遠くでそっと見守っていたのだが、やっと口をつけた頃、夜中の1時半にもなると言うのに真っ赤なスーツを来た50がらみのオバサンが車を出しに来た。途端にハナクソはぶっ飛んで逃げてしまった。オバサンは私たちをジロジロと見ているが、こちらは内心「くそったれ!」と思いつつも笑顔で会釈しておく。どういう人が、一体こういう時間にスーツを着て車を出して家に帰るのだろう?オバサンがヒュンダイの車を乗って出て行った後、ハナクソが再び戻って来るのを待つが、一向に姿を見せない。あたりを歩き回り、「ハナクソ!」と名前を呼びながら姿を探したものの、さっぱり居場所の見当がつかないのだ。 一旦立ち去ったよりこは戻って来て、悠然と毛繕いをしていた。心を残しつつ、また明日ね!と言って帰ってきた。頭がガンガンしていた。風は冷たく、体が冷えてますます筋肉が緊張してしまったようだ。長く厳しい冷たい季節が、もうそこまでやって来ている。 マルコの写真は、右足がないのがお分かりだろうか?改めて見ると痛々しいが、本人はいたって明るくて元気。そしてとても甘ったれで可愛い。うちに来て良かったね。5匹と二人・・・みんなマルコが大好きだものね。
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