マルコ

男になる

Dec.1,2002

ここ数日落ち着きの無かったマルコだが、毎日少しずつオシッコを枕でしていた。今朝も2度、素早く少量のオシッコを、取り替えたばかりの枕にしていた。夜には「なお〜ん、あお〜ん」と鳴いている。別にうるさくはないのだが、本人が辛いのではないかと思うとこちらも辛い。そろそろ潮時なのだ。

午前11時頃、コンテナに入ろうとしていたので、そのままお尻を押えて扉を閉めてしまった。急いで病院に電話するが、朝ご飯を食べさせてしまっていたら今日は手術出来ません・・・と言われる。それは承知なのだが、またいつキャリーに入れられるかが判らない。むろん無理やり力ずくで入れれば出来ない事はないのだろうが、兎に角過保護なもので、それをしてまた怖がらせ、引きこもりになるのが嫌なのだ。根性の無い飼い主と笑わば笑え。もう一生分怖い思いをしただろうマルコに、少しでも不安を感じさせたくない。我が儘でもいい、兎に角気ままに安心して暮らして貰えれば、それだけでいい。

しかし、兎に角連れて行く事にした。最悪明日の手術で、明後日の退院?何とか頼み込んで、明日には戻れるようにして貰おうと思って行ったら、先生は「今夜手術しますから、明日の朝のお迎えでも良いですよ。」と言って下さる。マルコは車の中でもずっとおとなしくしていたし、病院でも特に暴れはしなかった。「僕の事ももう忘れちゃっただろうな・・・」と先生が言って引きずり出したが、簡単な触診が終ると、マルコは自らコンテナの中に戻ってしまった。やっぱり心細いんだね。仲間の匂いの付いたマットを入れてあるので、そこが落ち着くのかも知れない。

何度も「捨てるんじゃないんだからね、明日にはパパがお迎えに来るからね、ちょっと遊びに来ただけなんだよ(それは嘘だ)。」と言って聞かせる。マルコのお腹を見ると、大分呼吸が速いようだ。可愛そうに、必死で観念しているんだね。

マルコの去勢は予定外だったが、たぬき君改め幸太くんのお見舞いと先生とのご相談は予定通りして来た。先生は「好酸球増多症」の原因がきちんと把握出来て、悪いところがなくなるまで責任を持って診たい気持ちを持って下さっているのだが、里親さんの元で引き続き治療を続けて戴けるようなので、前向きに検討したいと言って下さった。

「好酸球増多症」の原因としては、以前にも書いた通り腫瘍の可能性も高いが、レントゲンを撮った限りでは見つかっていない。設備の整った大学病院でもっと詳しい検査をすべきか、開腹して目で探すか、脾臓を取ってしまうか、幾つかの選択肢はあると言うが、いずれにしてもリスクの伴う方法である事、そして現在投薬を続けているにもかかわらずコクシジウムがなかなか落ちないという事を嘆いていらっしゃった。

実際に見る幸太くん、いやこうたんは、マルガリータにされた身体に毛が少し生えてきていて、ドアを開けると気配に気づくのか元気な声で鳴いていた。ケージの隙間から手を出して必死で鳴いている。こんなにも自己主張するようになったのか・・・と感動すらした。ご飯の時だけは触れると言う。でも、この分だったら、里親さんの元に行けば、もっと心穏やかに甘えられる日が近いのではないかと思った。希望は大きいぞ。

このコクシジウムの投薬の件を了承して戴けたら、今月中のお渡しは不可能ではないと思う。是非、年末年始の休暇の時にこうたんと一緒に過ごしてあげたい・・・と言って下さっている里親さんのお気持ちを尊重したい。こうたんは、片目を取られてしまったものの、それでも凄くハンサムだ。大きな声で何かを訴えて鳴いているのを見たら、私ですら連れ帰りたいと思ってしまった。「もう安心して良いんだ」と感じさせて、うんとのびのびさせてあげたい。里親さんの家で温かい愛情に触れて、「生まれてきて良かった」「幸せだなあ・・・」と思わせてあげたい。

昼休みの時間に大幅に食い込んでしまっていたので、お詫びを申し上げ、もう一度マルコにも声を掛けてから病院を出る。雨が降り出していた。朝から何も食べていなかった事に気づいて、病院の向かいにある居酒屋兼定食屋のような店に入る事にした。以前から気づいていた店だが、いつも車だし美味しいかどうかも判らず、入った事はなかったのだが、結果から言うと大正解・・・ここは穴場であった。

先ずは定食580円という安さに加えて、ランチメニューの多さ、握り寿司、刺身、かき揚げ丼、焼き魚、煮魚の中から選べる。煮魚は銀だらだと言うので、それを頼んでみた。店内に所狭しと貼られたメニューは、いずれも食欲をそそる。マグロのお造り580円というのも頼んで見た。メジマグロであったが、トロリと脂の乗った素晴らしいものが出て来た。ボタンエビの頭が3ツ入った味噌汁は、濃厚なダシが出ていて美味しかった。ちゃんとした量のキャベツとトマトのサラダには、ツナと玉葱のマヨネーズ和えが添えられ、和風のドレッシングがたっぷりかけられた上、マヨネーズも乗っていた。つまり味はしっかり・・・という訳だ。炊きたてご飯は丼にたっぷり、銀ダラはとろけるような脂たっぷりで濃い目の味付け、大根のべったら漬けが3切れ、いずれも美味しくて感動的だった。また来ようね・・・と言って帰って来た。隣の席のプルーカラー系の男性二人が頼んでいた、鮭のハラスの焼き魚も抜群に美味しそうだった。あっちを頼めば良かったかなあ・・・。

さて、これから延々と里親募集の掲載をしなければいけない。飼い猫を掲載するにあたって、情報不十分だったものだから手間暇かけてやりとりした揚句、名前も掲載番号もなしに「決まりました」と一言だけメールしてきた人がまたいてムカムカしているところだが、なるほど一時が万事とはこの事だろう。メールなんてどうにでも書けるものだが、手放す理由から、掲載の依頼の仕方から、報告から、全てに不誠実極まりない事を平気で出来る人が厳然と存在する。猫たちの哀れを思い掲載するに至ったが、私が手間をかけずとも何とでもなったのかも知れないと思うと虚しい。

マルコがいないと静かだね・・・ととこうちゃんと寂しい夜を過ごしている。あと6匹もいるのだが・・・。

里親募集中だったデュアン君が、天国に召された為に募集を停止した。温かい人の愛に触れ、我が子と同じと思って力を尽くして貰えたデュアン君の一生は、とても幸せなものだったと思う。冥福を祈る。

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