アイン

窓辺で

Mar.13,2003
朝のシャワーは本当に面倒臭い。しかし、夜の入浴はもっと面倒だ。そもそも寝なくちゃいけない時間ギリギリまで更新作業しているので、風呂の事など思い出しもしない。本当は身体の冷えや疲れをとる為にも、そして精神をリラックスさせる為にも入浴というのは大切な事なのだと知っているのだが、それが出来ない。そしてぎっくり腰になっていれば世話はない。自業自得なので、本当は言いたくはなかった。「そら見た事か。」と思われるのが嫌だった。

実家の母は、そういうきつい人だった。まだピンシャンして存命だが、今でこそ「あんまり無理をしない方がいいよ。」等と言ってくれるが、親元にいた少女時代には、具合など悪くなろうものなら「だから言わんこっちゃない。調子付いて**するから・・・。」と必ず言われた。痛いところを突くのが本当に得意な母だ。だから、これを言われたくないが為に、調子の悪い時ほど無理をする。怖い母にさえ叱られなければ、学校の先生も世間の目も全然怖くなかった。

母には徹底的にしごかれたという感が強い。靴やスリッパをきちんと揃えて脱いでいなかったりすれば叱られ、タオルを使った後でそのタオルが乱れて掛けられていたりすれば「誰が使ったの?!」とおっかない顔で問い詰められ、抽斗の中身は必ず手前から出して使うよう、仕舞うものは奥に入れないと叱られ、手ぶらで食卓を離れようとすれば叱られ(つまり何かひとつでもキッチンに運べるものがあれば運べという意味だ)、食器の水切りカゴに既に食器が入っているところに、新たに食器を洗って入れようものなら叱られ、足を少しでもひきずって歩くと「だらしない」と言っては叱られた。

母が一番怖い・・・という気持ちは、家を出て大学生になってもしばらくは続いた。母に報告をして了解していて貰えさえすれば、それで全てが免罪される感じがした。風邪をひいて授業を休んだ日は、わざわざ下宿(アパートと呼ぶには、玄関もトイレも共同だったからなあ・・・)のピンク電話(今もああいう公衆電話は残っているのだろうか?)から実家に電話して、「そんな事でいちいち電話なんかするんじゃない。」と叱られた。兎に角きつい。

書いているうちに、どんどん思い出したぞ。私が小学校4年の時に死んだ同居の祖母も、幼い私に掃除をさせると「四角い部屋を丸く掃く、というのはお前の事だよ。」と言って叱り、出掛けて帰ってくると魔法瓶(と昔は呼んだ)にお湯が沸いていなかったりすると「帰って来たら先ずお茶を飲む事くらい解かるだろうに。気が利かない子だね。」と言って小学校低学年(3年生の時に祖母は寝たきりになったのだから、本当に1〜2年生だろう)の私を叱った。祖母もきつい人だった。

怒られてばかりで、幼いカズエちゃんはよくぞひねくれなかったものだ(いや、多少はひねくれたかも知れないが・・・)。母も祖母も言葉はきついが、別に意地悪な人ではない。その逆で、むしろ大変に親切だ。口八丁手八丁、才気煥発、じゃじゃ馬で表現がストレートなだけだ。今ではそれが良く解かる。

さんざん祖母にいびられたと言っていた母は祖母によく似てきたし、私だって祖母にも母にも似ていると思う。しかし私は私の歳の頃の母のようには、神経質ではないが。これはひとえに猫たちのお陰だと思う。最近ではカワムラのキスのお陰で、ますます無神経質に磨きがかかってきたようだ。片付けも出来なくなってきた。狭いところにモノが一杯あるので、掃除は大嫌い。だけど洗濯とシャワーはちゃんと毎日するぞ。水仕事だけは好きだからな。

このところ、朝はずーっとチーズトーストとコーヒーかスープ。よく飽きないものだと感心するが、カロリーが高くて腹持ちも良いし、食べて満足感もあるから、朝のチーズトーストは良いみたい。チーズはしっかり焦がして香りをたてないとと美味しくない。コーヒーは、まりあさんに頼んで神戸から送って貰ったブラジル産「サントス」が今は一番のお気に入りだ。もともとは神戸出張の際、まりあさんがお土産に持たせてくれたものだった。あの香りがどうしても忘れられなくて、今後その珈琲店までブツを買いに行って貰い、宅配便で送って戴けるようお願いしたのだ(大変な厄介をかける事になるのだが、快く引き受けてくれた。感謝!)。

美味しい珈琲豆だったら東京でも横浜でも手に入れられるよ!と仰有る方はいるだろうが、そういう情報にはとんと疎い上、職場は浜川崎だし(店なんか全然ない!近くには日本鋼管しかない!)、家の近所でも南日吉の「八百忠」以外には買物に行きにくい生活パターンだし、送料がかかっても美味しさが確認済なものだけに凄く価値があるのだ。お手数をかけるのは大変申し訳ないが、考えてみたらまりあさんは「バカなめくじ大王」の「召使いバカなめくじ一号」だものな。わはは。

家に帰れば大王だが、ラボでは研究職ではないから肩身が狭い。広報係は意外と大変なのだが(怒)、それでも研究者に比べたらぐっと身分が低い。今日など、帰ろうとしてから明日からの出張の為に、名刺を増刷する事になった。しかし他でもない大好きなカクモト先生の名刺だから、こんな事でしかお役に立てないのだし、心をこめて作りましたよ。

カクモト先生は既に別の用事でラボを後にしていて、用紙だけ貰って行って自分で作ると仰っていたが、常軌を逸して物凄く忙しい方なので、私で用が足りる事くらいはしてあげたい。明日は出張先の秋田でウラヤマさんが一緒らしいから、そこで手渡して貰う事にした。先生はそのままカナダとトルコを回る。また暫くはお会い出来ない。今日やっと久し振りでお会いしたのだが、短い時間に用事がたてこんでいるというのに、優しい笑顔で私ごときの腰の事まで心配して下さった。別れ際にもニコニコして「また暫く戻らないから」とわざわざ私にまで挨拶して下さった。私は何故か、カクモトさんがとっても好きなのだ。子供のように無邪気で、しかも言動にハートがあるからかな。私もそうありたいと思った。

ご相談を受けていた人たちに次々と捕獲器を貸し出し、避妊が1匹1匹、初めての捕獲をする人たちの手で着々と進められている。北海道のYさんも、国分寺のMさんも、自分のペースでしかしきっちりと事を運んでいるのが解かり、素晴らしいとしか言えない。川口市のMさんも頑張っている。所沢のゆみ吉さんも、母子4匹を保護して全員避妊しようとしている。みんな見ないふりをせず、勇気を出したのだ。去年までに比べたら、ずっとたくさんの同志がいる。中途半端な「愛護」精神など真っ平だ。私はこれからも「最底辺」で自分の手を汚し続けていたい。そして、そういう同志を増やして行きたい。

今日もラボで、経理のコバヤシさんから、ご近所の公園に張り紙がされている事を聞いた。それは子供達の母親たちからのメッセージで、「ここで野良猫にエサやりをするのは構わないけれど、後片付けをきちんとして下さい。そして出来れば避妊もして下さい。」という内容らしい。野良猫が一杯いて、エサやりさんがいて、そして住民がエサやりを責めている訳でもないという、何と恵まれた環境だろう。

エサやりさんは避妊をしていないらしく、交尾しているところを昨日も見たとコバヤシさんは言う。エサやりの人に連絡をとりたい。あまり遠くではないから、様子を見に行って手紙を置いて来ようかとも思う。お節介なのは承知だが、問題が大きくならないうちに何とかさせたい。何と言っても365日休めないエサやりが一番大変なのだから、ずっと責任を持ってエサやりだけは続けてくれるのであれば、捕獲や避妊は手伝っても良いとさえ思う。甘いかな?

今夜も里親募集が続く。とてもお利口で可愛いワンコもいるので、是非見てあげて下さい。
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