ジャム

優雅

Apr. 7,2003
今朝はなかなか起きられなかった。わずか15分程だが、2度寝したのが悪かった。お陰で悪夢を見た(またかい!)。

私はどこかの会社の経理をしているらしい。長くて楽しい海外出張(どこがどう楽しいのか解からないが、楽しかった余韻が確かに残っていた)から戻ると、デスクの上は書類が山積していた。様々な伝票や、買掛金の請求書の束。自分の仕事に没頭している同僚たちの中で、何だか絶望的な気持ちになるという夢だった。こんな程度で悪夢とは大袈裟な・・・と思う人もいるだろうが、私にとってはどんな仕事でも山積しているのは現実の世界だろうが夢の世界だろうが悪夢なのだ。

しかも自分だけ楽しい海外出張に行っていて、その間にたっぷり仕事を溜めてしまった・会社に迷惑を掛けているのじゃないかという後ろめたさや冥利の悪さ・・・つくづく貧乏性だなと思うが、今生ではもはや治せない性分だと諦めている。

今日から新学期とみえて、通勤路には小学生がチョロチョロしている。高校生たちの舐めきった自転車も町に復活した。さぞや電車は混んだだろう。抜歯後の痛みは薬のせいか治まっているが、その分胃が気持ち悪い。食べるのにはやはり難儀する。仕方ないので、昼には電子レンジで作るタイプのリゾットを持参した。ロボットチームの研究室には、電子レンジがあるのだ。ベッドになるソファもある。そのうちにはキッチンセットも買って貰うらしい。いいなあ、ロボットチームは。こっちをクビになったら雇って欲しいなあ。但しギャラは高いよ。

いざ昼にリゾットを食べていたら、見た人はみんな「川口さん、それで足りるんですか?」と同じ質問をする。足りる訳がないじゃないか。でも思うように食べられないのだ。ゆっくり食べるから、お腹がいっぱいになってしまう。ならば足りているじゃないかって?お腹は足りても、精神的に足りないのよ。見た目の量も大切なのよ、私には。

勤務時間を1時間スライドさせて貰って5時15分には仕事を上がり、6時半には歯医者に消毒に行った。診療室の椅子に座らされてから、なかなか先生の手が空かずに待っていた。隣の初老の婦人の治療に手間取っていたようだ。外が暗くなり、窓にライトで照らされた婦人の口元が映って見えていた。かなり出血しているらしく、助手の女の子がせわしなく吸引している。そして先生の手の動きで、縫っているのが解かった。怖い・・・どういう治療だったのだろう?

その疑問は直ぐに解けた。治療終了後、先生が患者に説明していたからだ。虫食った親知らずを抜いたけれど、歯周病があって出血が酷かったので縫いました・・・と言っていた。そうか、やはり私の抜歯など人様から比べたら大した事はなかったのだ。しかし私は顔面神経質で怖がりなので、物凄く酷い目に遭ったという感触なのだ。そしてしつこいようだが、手足をもぎ取られたかのような喪失感と精神的な打撃は、私に再度歯医者へと定期的に通わせる決心をさせるのに充分なモチベーションをもたらした。(ああ、しつこい文章が書けるものだ。)

これを打っている間に、こうちゃんが下で猫たちの世話をしてくれていたのだが、こうちゃんのいない間中、ジャムはドアの前で鳴いていた。可愛い高い声で「なお〜ん、あお〜ん」といかにも悲しそうに鳴けるのだ、巨漢ジャムは。「どうしたの?」と声をかけると急いで走り寄って来るのだが、やはりパパが下で他の猫に愛情を注いでいるのが解かるのか、苛々は治まらないようだ。抱き上げても、どうにも落ち着かない。もっとデンと構えていなさい。おジャム様として、こんなに愛されているのだから。優雅なその姿は、どう見ても王女さまだよ。(と思っているのは飼い主だけか?)
inserted by FC2 system