結局、マウスピース・・・入れ歯と呼ぶ事にしたんだっけな・・・は発見されず。

カワムラさんがすっとぼけてその口にはめていないかも見たが、そもそもカワムラは左の歯が全然なかったのだな。入れ歯なんか知らないと言って、私の口元を舐めた。

疑って悪かったよ。

小さなピンクのベロがちびっと出っ放しになっており、それはそれで不憫ではあるが可愛い。一晩中決してどこへも行かず寄り添って寝るカワムラ・・・こんな猫は、川口家に猫多しと言えどコイツだけだ。



昨夜遅く作っておいたクラムチャウダーを食べ、弁当にも持参して７時１５分に家を出た。

雨の月曜日だから道が混むだろうと予測して早目に出たのが正解だった。ラボに到着したら８時１７分。１時間もかかってしまった。

テンションを上げる為に、久し振りで『Flankie goes to Hollywood』を聴く。これをＬＰで聴いていたのは、もう２０年も前の事だ。大量のレコードもステレオも、離婚した時に元夫が持って家を出た。思い出が甦りそうなものは殆ど全て手元に置きたくなかったので、最初から執着もしなかった。気に入っていたレコードは、後々、全ての思い出が薄れてから少しずつＣＤで買い直した。



それにしても『フランキー　ゴウズ　トゥー　ハリウッド』である。グループ名というより既に文章だ。

私は現在、自分の掲示板の常連さんに、ご希望があればコードネームを付けて差し上げている。もちろん、あそこだけの通り名であるが。お下劣でバカバカしい程、良い出来だと思っている。

その名前、頭の中のストックが次第に底をつき、最近は専ら文章になってきた。『久し振りヤノ、われ、まあ上がっていかんかい！』とか『あっケチ、いいじゃん、減るもんじゃなし〜』とか巧みに（そうか？）本名や愛猫の名前を織り込んでいるところが素敵。

しかし記憶だけで書いてみたので、正確さには欠ける。自分でネーミングしても、忘れてしまうのだ。仕方ない。何しろ歳だし、しかも煙草をバカバカ吸っているから、脳細胞が人より速いスピードで死滅しているのだ。



死滅した脳細胞は、どうなってしまうのだろう？腐って脳に溜まっているのだろうか？それが脳梗塞なんか起こしたりはしないのだろうか？それとも、血流によって運ばれ、どこかで老廃物として体外に排出されているのだろうか？今、足の踵から擦り落とされた垢の中には、折角苦労して覚えた単語の幾つかが含まれていたはずだ。なんて事ある訳ないか。



月曜日は、定例のミーティングがあるのだが、今日は私は失礼させて戴いた。とてもじゃないが仕事が間に合わない。イバラキに帰っていて午後から出勤して来た副チームリーダーもいる事だし、私ごときが欠席しても全く問題ない。

ただひたすら作業する。目が痛かろうと、頭がガンガンしようと、やっていればいつかは終わる。

人生は苦しいものだ。もう夏の季節は再び巡っては来ないだろう。長い晩秋を迎えているが、次は長い長い長い冬が続くのさ。でも、死ぬ瞬間は春がいいな。ボケて春に感じるだけだとしても。

結局、文章の直しも完成しないチームもあれば、所長レベルの訂正も終わらず、至上命令であった「今日」というデッドラインは脆くも崩れた。

私は今日のノルマはきっちりやり終えたので、悔しいが明日また戻される分を残して、そこそこの時間で帰って来た。全部が校了にならないと、全部通しでページも打てない。ページが打てなければ、目次も作れない。まだ先は長いのだ。校正の締め切り当日に、原稿が全て上がって来ていないなんて。



ウンザリしきってエントランスでフルトヴェングラーと共に煙草を吸って愚痴をこぼしていたら、帰り際のジョージに「それは風土の問題ですか？それとも個人の資質の問題ですか？」と訊かれた。咄嗟に「風土でしょ。」と答えたものの、風土を作るのは個人の資質の寄せ集めの歴史であるとも言える。

全員ではないのだろうが、何かやり方が変！大学の先生が多いというのに、簡単な形式の決まり事くらい守って欲しい。そしてこんなレベルでしか出せないのであれば、Ｗｏｒｄで提出するのは是非やめて戴きたい。あるいはＷｏｒｄを撲滅して欲しい。