ジーコ

窓辺で

Jul.19,2003
今日は朝からお出掛けした。前々からの約束で、みきこと会って横浜そごうに美術展を見に行ったのだ。随分と前に、私が藤島武二を好きだと言ったのをみきこが覚えていてくれて、チケットを入手してくれていたのだった。猫の事以外の外出は久し振りだ。みきこと会うのも、8ヶ月振りだった。

本当はこうちゃんも一緒に車で行く予定だったのだが、やはりジーコの具合が気掛かりで、誰もいなくなる事は避けたいという事になり、急遽私一人で出掛けた。従って東横線で日吉からトコトコ行く事になった。横浜は意外にも直ぐ近くだった(何を今更・・・)。ここ数日のうち、2度も電車に乗るのは快挙である。

ヤンマーディーゼルの創始者・ 山岡孫吉の収集である 「山岡コレクション」を中心に、出展作品の点数は凄くたくさんあった。しかし素人の習作のような稚拙な絵もたくさんあり、なるほど『近代絵画への道』なのだと納得。青木繁や藤島武二、黒田清輝といった代表的な明治の洋画の巨匠の作品は極めて少ない。ま、藤島武二が見たかったら、ブリジストン美術館へ行けば宜しい。好きな画家だけに、もちろん手元には画集もある。学生時代の遺物だ。

1時間近くかけて二人で観て、出て来たところの売店で絵葉書を買い、様々な美術書を「重たいし場所塞ぎだけど欲しい・・・」と思いながら見て、さあレストランへと移動しようとした時、思いがけないものを発見してしまった。長年大好きだった1枚の絵だ。ピカソの初期の油彩で息子のパウロを描いた『ピエロに扮したパウロ』のポスターである。額に入って、ほぼ原寸大であった。1万2千円。欲しい!

みきこに「この絵はずっと好きだったんだ。」と話したら、「とても良いよ。たまには自分にプレゼントしてもいいんじゃない?」と言ってくれた。みきこは優しい。私の実母に似た美人のみきこがそう言ってくれたので、買う気持ちがますます心地良く固まった。クレジットカードも使えると言うし、大人の私がこれっぽっちの買い物が出来ないでどうする?!

その昔、銀座で人と待ち合わせした際、例によって早く行き過ぎた私は出来たばかりの画廊を覗いていて、衝動的にデヴィッド・シュノイヤーのリトグラフを買った前科もある。この時はリトグラフとは言え本物だったので36万の出費だった。しかも嫌いなローンを組んで1年もかけて支払った。それから比べれば、屁みたいなものだ。屁。

額の表面はガラスではなくてアクリルなので、軽く持ち歩けた。その後、私には不釣り合いの洒落た店でランチのプレート(牛肉のニンニク煮込みとオムライスの盛り合わせ)を戴き、コーヒーショップをハシゴしてお喋りに耽る。コーヒーショップではケーキも食べたし、9階の「市民フロア」では「カントリーダンス」なるものの発表会もどきがあって、つい腰掛けたくて見てしまった。これは結果から言うとあまり面白くなくて途中で席を立ってしまったのだが、今日は色々と珍しい事をした気がする。みきことは等身大で話が出来る。不必要に強がる必要もないし、適度に甘えられる。まさに「偽ママ」なのだ。

家に戻ると、ちょっと重大な問題が持ち込まれていて、これはいずれ月日が経てば笑って話せるようにもなるのだろうが、今はあまり触れたくない。今は世の中の理不尽さ・不公平さだけを感じる。二人でどっと気が重くなり、俄かには夕飯の支度もしたくなかった(駄洒落か?!)。しかしいつまでそうしてもいられない。大変ではあるが決して解決出来ない問題ではない事を再確認し、気を取り直して晩ご飯を食べ、留守中に電話があった件で何件か電話し、里親募集の更新とエサやりを済ませ、買って来た絵を誰も寝る事のない寝室の壁に掛けた。やれやれ。

この寝室は、絵やパッチワーク、気に入った小物などの物置と化しているが、かつてはゴマ母子たちの居場所であり、ミッちゃんの隔離場所であった。ここは電灯が暗い(蛍光灯ではないのだ)部屋なのと夜中にフラッシュオフで撮影したので大変写りは悪いが、どんな絵かはお判り戴けるだろう。ほのぼのしません?

我が家の
『ピエロに扮したパウロ』
もちろんニセモノ

本物は
1925年作品
130×97cm
ピカソ美術館蔵


Jul.19.2003

外出は少しも疲れなかった。たまには自分の楽しみの為だけに出掛けないとね。こうちゃん、お留守番と猫のお世話を有り難う。明日は一緒に出掛けようね。

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